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エトセトラ

2010.07.17

ついに・・・この日がやってきた。成田スカイアクセス線の開業である。この記念すべき日をどのように迎えようかと思案したが、京成好きの端くれとしてここはやはり新生スカイライナーの1番列車であるスカイライナー1号に乗っておかねばならぬ。ということで、成田スカイアクセス線経由となった新しいスカイライナーに早速乗ってきましたよっ。

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2010年7月17日スカイライナー1号 スカイライナー券

▲スカイライナー1番列車、スカイライナー1号のスカイライナー券

最寄駅からの初電で上野に到着すると、そこには既にスカイライナー1号となるAE形と大勢のギャラリーの姿が。私もその群衆に紛れてあれこれと観察させていただく。ちなみに、本日スカイライナー1号を担当するのはAE形のトップナンバーAE1編成、まさしく1番列車にふさわしい編成を充ててきた格好だ。

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京成上野駅 発車標
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▲上野駅の発車標。新しく設けられた経由欄に線区経由を表示する
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京成AE形 スカイライナーロゴ
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▲一新されたスカイライナーのロゴ。この新しいロゴもDesigned by 山本寛斎
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京成AE形 行先表示(側面)
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▲AE形の行先表示も経由表示に対応。これらは数秒おきに切り替えて表示される

新生スカイライナーの出発式は日暮里で実施されるようだった。始発駅の上野ではなく、成田スカイアクセス線に合わせて改良を行ないターミナル機能を強化した日暮里で、というのは当然の流れではあろう。しかし、相対的に上野の地位が低下していることを表しているようでもあり、ちと寂しい。ここ上野では、鉄道本部運輸部長と上野駅長からスカイライナー1号を担当する乗務員への花束贈呈が簡単に執り行われた。

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スカイライナー1号 花束贈呈
2010.07.17/上 野

▲運輸部長と上野駅長から担当乗務員へ花束の贈呈
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スカイライナー1号 花束贈呈
2010.07.17/上 野

▲一列に並んで広報用的記念撮影
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京成AE形 車内
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▲青系でまとめられた車内の様子

車内に入る。新車特有の臭いが我々を誘う。インテリアは、エクステリアと同様に青系でまとめてあり、アルミ合金の露出が多いデザインの座席と相まってまさしく「凛」と引き締まった印象を受ける。AE形用として採用した岡村製作所製の座席は、表面が黒色でまとめられており、知的なイメージ。座面は川島織物セルコンが開発した「バネックス」という自動車向けの新素材が用いられ、快適性と軽量化を両立したものなのだそう。実際に座ってみるとやや固めといった印象を受けるが、乗車時間が36分から長くとも50〜60分ということを考えると、まあ妥当といったところだろうか。そして、全席のシート下部に電源のコンセントが設けられている。これだけモバイル機器が発達した現代の新型車両として、ここらへんは抜かりがない。

◆ ◆ ◆

ほどなくして出発合図のベルが鳴り、先頭車の方から聞こえるミュージックホーンの麗しい音色とともにスカイライナー1番列車たる6AE01スカイライナー1号は定刻で上野を出発。車内からはまばらな拍手が起こる。出発式が実施されていた日暮里にも停車して、いよいよスカイライナー1号は成田空港へ向けて走る。とは言え、高砂まではさほど速度もあがらず、ここらへんはまだまだいつもの京成電車の範疇といった謎の安心感。

高砂から北総線区間に入る。ここで京成本線とはいったんおさらば、新ルートへ突入する。高砂駅の東方で京成本線から北総線に転線し、左手に高砂検車区の車両群を見ながら北総線の高架へ上がっていく。これまで北総線には何度も乗れども、特急型車両で乗る北総線はいつもと違って新鮮に気分になる。新柴又まではいわくつきの速度制限によって思うように速度が上がらないが、そこを過ぎれば130km/hの区間へ。ぐんぐんとスピードを上げていく。これでも十分に速いが、流石最高速度160km/hのAE形とあって、130km/hの走りでもずいぶんと余裕が感じられる。

新鎌ヶ谷より千葉ニュータウンの掘割区間へ。いちおう、引き続き130km/hで走っているはずなのだが、ここの区間は風景が広大な分、疾走感はあまり感じられない。しかしながら、並走する国道を走る自動車をどんどん追い抜いていくのが見えるあたり、やはり速いのだろう。北総線をまたぐ陸橋にはスカイライナーを見に来たと思しきギャラリーがちらほら見え、あちらこちらから我々のスカイライナーに手を振ってくれている。スカイライナーの1番列車に乗っているという充実感も加わって、実に気分が良い。

印旛日本医大からいよいよ160km/hの区間に突入する。ここから空港第2ビルまでは新設の区間であり、文字通り未知の世界。否が応でも気分が高まる。印旛日本医大駅の折返し線を過ぎたあたりから再加速・・・ってこりゃなんつー強烈な加速!! 130km/hから160km/hに到達するまで30秒かかったかどうか、あっという間にトップスピードの世界へ。AE形は160km/hで走るために作られた車両だということを改めて実感する。ここまで130km/hで走ってきたことすら序奏にすぎなかったわけだ。

それは、京成の成田空港アクセスに対する歴史と重なっているかのようである。本来の用途で走るまで紆余曲折あった先代AE形、決して良好なルートと言えない中で成田空港アクセスを担ったAE100形、そして今まさに160km/hで走っている新AE形・・・上野からここまで至る道のりがまさにスカイライナーそのものの歴史を体現しているようで、深い感動を禁じ得ない。

160km/hでの走行がしばらく続き、成田スカイアクセス線では唯一の完全なる新駅、新幹線の駅のような成田湯川を通過。それと同時に空港第2ビル到着のアナウンスが流れ始め、スカイライナーの旅が終わりに近いことが告げられる。しばらくしてJR成田線と合流、並走の後、スカイライナーは空港第2ビル駅に吸い込まれる。日暮里から空港第2ビルまでのタイムは35分10秒、やや早着気味であると思われるものの、宣伝文句である最短36分の看板には偽りなしといったところ。続いて、終着の成田空港駅に到着。ホームにはたくさんの関係者や報道陣が我々のスカイライナーの到着を待ち受けており、やはり今日が特別な1日であることを改めて実感した次第。かくしてスカイライナー1号の旅は終了となった。

◆ ◆ ◆

ということで、新型スカイライナーの乗車記のようなものをだらだらと綴ってみたが、これから試しに新型スカイライナーに乗ってみようと思われる方にはぜひとも下り方向(上野→成田空港)の乗車をオススメしておく。のんびり走る上野線、130km/hで走る北総線、からの〜160km/h高速運転という物語を体験してほしい。反対方向はいきなり160km/h運転から始まって、出オチになってしまうので(笑)。

惜しむらくは、これが新型スカイライナーの記念すべき1番列車であるかのような車内アナウンスが一切なかったことである。記念品の配布等もなかった。まるで新型スカイライナーが以前よりずっと運転されてきていたかのようなふるまいであった。まあそれが京成らしいと言えば京成らしいけれども・・・。

そしてもっとも謎なのが、私の隣の席に日暮里から乗ってきて、途中居眠りすらしていたOLという感じのお姉様・・・。スカイライナー1号の乗車券は1ヶ月前に物好きな野郎どもで即日完売じゃなかったのかい。いったいどうなってんのやら???

こちらもどうぞ → 成田スカイアクセス線開業初日 スカイライナー1号の山側車窓(YouTube)

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