KSWeb

鉄道やバスなど、公共交通に関するディープな話題をお届けしています。

Article

記事

2010.10.04

ブダペストを後にした私は、国際特急列車でオーストリアの首都ウィーンに向かったのであった。

P11178.jpg

オーストリア連邦鉄道 「Railjet」
2010.9.15/Wien Westbahnhof

▲オーストリア連邦鉄道が誇る国際特急列車「Railjet(レイルジェット)」

ヨーロッパ主要都市間の移動は鉄道が便利だ。「TGV」や「ICE」をはじめとした高速鉄道が多く整備されている西欧はもちろんのこと、そうでない中東欧においても国際特急列車「EuroCity(ユーロシティ)」によって結ばれている。私が今回移動したブダペスト〜ウィーン間はと言うと、オーストリア鉄道によって「Railjet」という国際特急列車が走っており、今回はこれに乗車した。

2008年の冬に運転を開始したばかりとあって、車内は綺麗だし、案内類も充実。海外旅行に不慣れな私でも安心して乗車することができた。ドイツ語と英語を話すことができるスタッフにより車内販売も行われており、オーストリア鉄道の「Railjet」への力の入れようがうかがえる。一方で、座席のリクライニング機構が無かったのが印象的であった。日本国内の特急車両では当たり前の設備となっているリクライニング機構だが、国が違えば何とやら。ただしシート自体は大型かつゆったりしたもので、ウィーンまでの約3時間を非常に快適に過ごすことができた。

P11174.jpg

「Railjet」 Economy車内
2010.9.15/**

▲「Railjet」車内の様子

車両は、機関車+客車7両というスタイルで、機関車はヨーロッパでは汎用型の1116型"Taurus(タウルス)"という車両が牽引する。客車は「Railjet」用に製造されたもので、機関車ともどもドイツのSiemens製となっている。客車の最後尾には機関車のデザインに合わせた運転台(上の写真を参照)を設けており、機関車を最後尾にしても走ることのできる方式が採られている。なお、「Railjet」の最高速度は160km/hだが、"Taurus"は加速っぷりも凄いし、その上に160km/h運転(しかもこれが楽々と、なのである)となると、海外には日本国内では考えられないようなモンスターマシンがいたもんである。

現状の最高速度は160km/hだが、将来的にはさらなるスピードアップを予定しているということで、今後都市間移動がますます便利になることは間違いない。

頭端式のウィーン西駅に到着した「Railjet」は進行方向を変え、さらに西のザルツブルグまで走る。私はここで下車し、ウィーンの街へ吸い込まれていったのであった。

◆ ◆ ◆

P11175.jpg

「Railjet」 案内表示
2010.9.15/**

▲列車の情報を液晶モニターで表示
  • 「Railjet」第42列車、ブダペスト東駅始発、ザルツブルグ中央駅行
  • 現在、160km/hで走行中。
  • 左側の時刻は所定の運行予定時刻で、右側の時刻が実際の到着予定時間。つまり、この列車は20分弱遅れている...。
  • 右上の「253」という数字は、現在走っている線区に付する固有の番号らしい(線区番号、とでも言えばいいのかな?)。

関連記事

中央ヨーロッパ交通見聞録 6 - チェコ地方都市の路線バス

České Budějovice(チェスケー・ブジェヨヴィツェ)からチェコのある田舎町まで、今度はバスで移動する。バスに乗るまでの少しの時間に、バスターミナルにやってくるバスを観察してみた...

中央ヨーロッパ交通見聞録 6 - チェコ地方都市の路線バス
中央ヨーロッパ交通見聞録 5 - 中距離普通列車に乗る

次なる目的地に移動するため、まずはチェコ南部の都市チェスケー・ブジェヨヴィツェ(České Budějovice)に向かう。ウィーンとチェスケー・ブジェヨヴィツェを直通する列車はないので...

中央ヨーロッパ交通見聞録 5 - 中距離普通列車に乗る
中央ヨーロッパ交通見聞録 4 - ウィーン地下鉄

前回に続き、ウィーンの公共交通について見てみよう。今回は地下鉄を取り上げる。ウィーンの地下鉄はドイツ語圏のためメトロでもなくサブウェイでもなくU-Bahn(ウー・バーン)と呼ばれる。2010年...

中央ヨーロッパ交通見聞録 4 - ウィーン地下鉄
中央ヨーロッパ交通見聞録 3 - ウィーンの路面電車・バス

ウィーンでは観光に路面電車、地下鉄、バスをガッツリと使ったので、それぞれ気がついたことを書いてみよう。オーストリアの首都であるウィーンも、ブダペストと同様に市中を路面電車が縦横無尽に走りまわる...

中央ヨーロッパ交通見聞録 3 - ウィーンの路面電車・バス
中央ヨーロッパ交通見聞録 1 - ブダペスト市電

当Webサイト始まって以来、初の海外篇。今月の中旬に所用と旅行を兼ねて中央ヨーロッパを訪れたので、現地で体験した中央ヨーロッパの交通事情を簡単にご紹介しよう。まず最初はハンガリーの首都ブダペスト...

中央ヨーロッパ交通見聞録 1 - ブダペスト市電

最新記事

2025.05.05

北総9100形 デビュー30周年記念ヘッドマークを掲出

走り続けて30年。北総鉄道では、4月1日に同社が管理を行っている9100形がデビュー30周年を迎えたことを記念して、ヘッドマークの掲出を実施している。ヘッドマークを掲出しているのは9100形の...

北総9100形 デビュー30周年記念ヘッドマークを掲出

2025.04.30

京成線 駅別乗降人員ランキング(2024年度)

2024年度の京成線の駅別乗降人員ランキング! 京成線の全69駅において、どの駅の利用が多いのか少ないのか。京成電鉄が毎年公表しているデータを基に、2024年度の駅別乗降人員をランキング形式で...

京成線 駅別乗降人員ランキング(2024年度)

2025.04.26

京成電鉄バスグループ バス事業の大再編を実施

表現するならば、「激震」。4月1日、京成グループでは傘下のバス事業会社の再編を実施した。京成電鉄の完全子会社となる京成電鉄バスホールディングスを持株会社として新たに設立。その上でグループ15社...

京成電鉄バスグループ バス事業の大再編を実施

2025.04.20

北総9800形 臨時特急「ほくそう春まつり号」運転(2025年)

今年も春がやってきた4月20日、臨時特急「ほくそう春まつり号」が運転された。同日に北総鉄道がイオンモール千葉ニュータウン提携駐車場で開催するイベント「ほくそう春まつり」に合わせて運転される恒例の...

北総9800形 臨時特急「ほくそう春まつり号」運転(2025年)

2025.04.15

京成グループ 車両の動き(2024年度)

京成グループにおける2024年度の車両の動きをまとめてみよう。2024年度の車両の動きの目玉は、やはり3100形以来6年ぶりの新型車両となる3200形が登場したことであろう。今年度は日本車両製の...

  • 京成
  • タグはありません
京成グループ 車両の動き(2024年度)