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エトセトラ

2011.02.28

旅も終盤、チェコの首都プラハである。

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プラハ市電 8274
2010.9.19/Karlovy lázně〜Staroměstká

▲プラハ市電の主力として走るタトラカー(Tatra T3、低床化更新車)

プラハも路面電車がたくさん走っている都市で、2010年現在23の系統が設定されており、市民あるいは観光客の足として活躍している。さらに、プラハ市電はNight Serviceと称する終夜運転を通年で実施しているのが大きな特徴で、こちらは日中とは経路の異なる50番台の系統が8つ設定されている。この他、公共交通としては地下鉄が3路線、バス、そしてチェコ国鉄による近郊列車があり、都市の規模を踏まえるとかなり充実した公共交通網が形成されている。なお、プラハは比較的小さい都市の規模の中に密な路面電車の路線網を持っていることから、バスはさほど都市中心部に乗入れてこない。バスを中心部に乗入れさせないことで、渋滞と環境悪化の抑制を図る交通政策となっているようである。

車両はT3、KT8D5、T6A5、14T、15Tの5種類が走っており、T3、KT8D5、T6A5はTatra(タトラ)製、14T、15TがŠkoda(シュコダ)製となっている。いずれもチェコ国産である。特筆すべきはTatra T3で、旧共産圏を中心になんと10000両以上製造された路面電車のベストセラー。いわゆるタトラカーと言えばこのT3を差すことが多い。プラハはそのTatra社の本社を構える都市ということで、いわば将軍様のお膝元。Škoda 14Tや15Tなどの新型車両が増える中でも依然として活躍を続けており、T3を街のいたる所で見かけることができる。車両はウィーン市電と同様に、運転台が片方の先頭部にしかない車両が使用されているが、KT8D5だけは日本の路面電車と同じように両向きに運転できるような車両となっている。

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プラハ市電 8615
2010.9.19/Malostranské náměstí

▲Tatra T6A5

プラハ市電も車両の低床化が進められており、低床の新製車両としてはŠkoda 14T、15Tが導入されている。14Tは5連接の部分低床車、15Tは3連接のフルフラット・ノンステップ車で、現在は15Tの導入が進められている。15Tはちょうど私がプラハを訪ねた頃に営業運転を開始するかしないかぐらいのタイミングだったようで、偶然にも試運転を行なう15Tを見かけることができた(写真は撮れなかったが)。このほか前述のT3、KT8D5を改造して部分低床とした更新車と思しき車両も走っており、新型車両の導入と並行して古い車両もまだまだ使うようである。

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プラハ市電 9128
2010.09.19/Pohořelec〜Malovanka

▲ポルシェデザインによる独特なエクステリアが目を引くŠkoda 14T

例によって走行音も録ってみた。以下、14Tの走行音を2区間だけ掲載する。

プラハ市電 9146 Drinopol→U Kaštanu

プラハ市電 9146 Malý Břevnov→Obora Hvězda

かなり独特なモーター音。何となく近未来的なサウンドである。車内放送はチェコ語のみ、電停に到着する直前に到着電停名とその次に止まる電停の案内が行なわれる。

運賃はゾーン制で、路面電車や地下鉄の走るゾーン(P+0ゾーン)は均一料金である。ゾーン内で有効なものとしては1回乗車券のほか、90分、24時間、72時間乗車券などの種類がある。

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プラハ市内P+0ゾーン共通乗車券(24時間有効)

▲P+0ゾーンの24時間チケット

◆ ◆ ◆

以上、ブダペスト、ウィーン、プラハと中欧3都市の路面電車(あるいは地下鉄、バス)に乗ってみて、日本と決定的に異なると感じたのは乗車方法に関することである。いわゆる信用乗車制を採用しており、乗客は駅や電停の券売機できっぷを購入し、そのきっぷを車内に設置してある刻印機に乗客自身が通すことで、改札を省略するものである。日本では路面電車あるいはバスの運転士が運賃の支払いをきちんと確認するが、信用乗車制では運転士は運転に従事するのみである。

これにより、路面電車・バスでは入口と出口を分ける必要が無くなり、基本的にはどの停留所でも全てのドアから乗降りができる。ブダペストでは6連接の長大トラムが走っていることを紹介したが、車両が長大になっても乗降りに時間がかからないのがメリットの1つで、定時運行がしやすくなることや、停留所で長時間停車しないことによる乗客へのストレス低減にも繋がっている。日本でもここ最近LRTという言葉が流行って路面電車が復権しつつあるが、こうした乗車制度がより使いやすい路面電車を作る1つの鍵になるものと思われる。

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