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エトセトラ

2011.07.13

プラハへは長距離バスで入ったが、やはり鉄道の様子が気になったのでプラハ本駅(Praha hlavní nádraží)を訪れてみた。

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プラハ本駅 ホーム
2010.9.19/**

▲大きな屋根が架けられたホーム

プラハにおいてターミナルとなる駅は、この本駅と、プラハ・マサリコヴォ(Praha Masarykovo)駅とがある。後者が主に都市近郊列車Sバーンのターミナルであるのに対して、本駅はポーランド、ドイツ、オーストリアなどへ向かう国際列車の発着するターミナルとなっており、名実ともにプラハの中心駅となっている。本駅ではチェコ鉄道の車両だけでなく、直通してくるドイツやオーストリア、ハンガリーなどの客車や機関車などが見られ、実に華やか。ヨーロッパでは鉄道が国と国とを結んでいるということを強く実感することができる。

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オーストリア鉄道1216形 236号機
2010.9.19/Praha hlavní nádraží

▲オーストリア鉄道の機関車がチェコの客車を牽引

ちなみに、プラハから直通で行くことのできる主要都市と所要時間を挙げていくと、次の通りである。ウィーン(オーストリア)まで約4時間45分、ベルリン(ドイツ)まで5時間、ブラチスラヴァ(スロバキア)まで約5時間10分、ブダペスト(ハンガリー)まで約7時間、ワルシャワ(ポーランド)まで約8時間30分、ベオグラード(セルビア)まで約15時間。さらに夜行列車であれば、フランクフルト(ドイツ)まで約9時間30分、チューリッヒ(スイス)まで約14時間、ザグレブ(クロアチア)まで約15時間30分、ミンスク(ベラルーシ)まで約16時間、アムステルダム(オランダ)まで約18時間、モスクワ(ロシア)まで約33時間、それぞれ直通で行くことができる。ヨーロッパの鉄道網、恐ろしや・・・。

以前に記したように、中東欧においては西欧で見られるような高速鉄道はまだ発展していないので、国際特急列車は機関車が客車を引っ張るスタイルの"Euro City(ユーロシティ)"が主役である(夜行列車は"Euro Night"と称する)。直通で行くことのできるところが広域であるということは、逆に、客車がプラハまで直通してくるということでもある。客車は当然、チェコ鉄道のものが多く見られるが、ドイツ鉄道やオーストリア鉄道、国として隣接していないハンガリー鉄道のものも頻繁に見られ、1つの列車の中に複数の国の客車が繋がっているなんてことは日常である。例えば、ドイツ鉄道とオーストリア鉄道の客車で組成された編成を、チェコ鉄道の機関車が引っ張るという光景が展開される。以前にイベント列車でJR貨物の機関車がJR旅客会社の客車を引っ張る・・・ということがあったが、それとはひと味もふた味も違う光景がここでは日常的に繰り広げられているのであった。

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チェコ鉄道111形 11号機
2010.9.19/Praha hlavní nádraží

▲構内をうろついていた入換用と思われる凸型電機

(完)

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