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エトセトラ

2012.06.08

大手私鉄の看板車、その2は阪神5311形である。

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阪神5311形 5314ほか
2010.4.11/香櫨園

▲方向板を使用していた5311形

阪神電車では2010年10月まで5311形が行先の表示に看板を使用して走っていた。先に紹介した阪急電車とは異なり、こちらは本線で看板を堂々と掲げていた。しかしながら、方向幕未装備の古い車両がここまで生き延びたのは1995年の阪神大震災の影響が大きいようなので、古い車両が生き残ってくれるのは嬉しいことではあるが、震災によって苦しい車両のやりくりをせざるを得なかった阪神電鉄のことを考えると、やや複雑ではある。

5311形と言っても、5311形なのは神戸方の2両(5313-5314)のみで、梅田方に5131形2両(5143-5144)を連結した4両編成での運行となっていた。元々5311形のみで4両編成を組成していたが、1998年度にそのうちの2両(5311-5312)を廃車した際にこのような異形式を連結した4両編成となったようだ。5131形は方向幕を装備した車両であったが、5311形が方向幕を装備していないために、ペアとなった5143-5144の方向幕が使用できず、5143も巻き添えを食らう形で方向板を掲出していたのであった(方向幕は「普通」表示で固定)。

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阪神5131形 5143ほか
2009.8.21/淀 川

▲梅田方に連結されていた5143も方向板を使用
D02822.jpg

阪神5311形5314の方向板
2009.8.21/**

▲5314の方向板

この方向板がなかなか面白い構造で、行先を両方向矢印の両側に差込む形となっている。このような方向板、他に例があっただろうか。これにより、通常は「梅田」と「高速神戸」をセットして折返し駅での板交換の手間を省いていたほか、少数派の「元町」や「東須磨」、入庫列車の「尼崎」や「石屋川」などにも対応していた。

5550系の登場により、前述のように2010年10月に運用を離脱、廃車となっている。5311形は同年1月に検査を受けており、もう数年の活躍が見られるかとも思ったが、バンドン式連結器も交換されずそのままだったし、廃車は大方の予想通りの結果であった。これにより、看板を使用する営業車は阪神から消滅となっている。

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