2012.08.23
有料特急を走らせていない事業者で、京阪ほど特急のブランドにこだわっているものもないだろう。
京阪特急と言えば、やはり鳩の特急ヘッドマークであろう。1950年代に公募によってデザインされたという鳩の特急マークが、現在も脈々と使われ続けている。1990年代以降、停車駅追加や一般車特急の増加で特急そのものの地位は低下しているものの、特急車の特急では鳩の特急マークを掲出しており、京阪特急まだここにあり! という風格が感じられる。特に、3000系から8000系に編入された8531編成においては、特急運転時に前面に掲出するのは鳩の特急マークだけ。前面だけだと行先が分からないが「特急ゆうたら、行先は出町柳か淀屋橋しかないやろ! 枚方市? 樟葉? そんなもん知らん!」ってな感じで、京阪間がノンストップだった頃の、まさしく特急たる特急の面影を残すものとなっている。
現在の鳩の特急マークは貫通扉内側から差込む形になっていて、特急運転時以外は鳩のマークを外せるようになっている。8531編成では、鳩のマークを取り外すと通常の種別・方向幕が見えるようになっており、特急以外での運転ではこの方向幕による表示を行なう。特急運転時以外では鳩マークを使用しないことと、特急以外における行先種別の表示を、3000系本来のデザインを損なうことなく両立させた、素晴らしいアイデアだ。
さて、そんな8531編成も、京阪電鉄より2013年春の引退が公式に発表されている。既に8531編成惜別の公式Webページが開設され、車両には引退に向けた副標が掲出されるなど、早くもお別れムードである。引退まであと半年、事故を起こすことなく、有終の美を飾って欲しいと思う。
- ツイート
- #
- 京阪
- ヘッドマーク
関連記事
大手私鉄の看板車 番外編 - 京阪8000系30番台"クラシックタイプ"
"名車"を引退させるのは大変である・・・。大手私鉄に残る看板車として、以前に京阪8000系の8531編成を取り上げたが、その8531編成が引退を前にしてパワーアップ。なんと、2012年9月末より...
大手私鉄の看板車 5 - 京阪2600系「おりひめ」「ひこぼし」
前回の記事で京阪特急の鳩の特急マークを取り上げたが、京阪と言えば"副標識"を見逃すわけには行くまい。京阪の副標識、公式Webサイト等ではヘッドマークと称しているように、一般的な鉄道事業者の...
大手私鉄の看板車 3 - 阪神2000系 高校野球特急板
阪神電車、春夏の風物詩。"看板車"というとちょっとズレるかもしれないが、高校野球の特急板を掲げて走る阪神2000系である。高校野球と言えば甲子園、甲子園と言えば阪神電車というわけで、春の...
大手私鉄の看板車 2 - 阪神5311形
大手私鉄の看板車、その2は阪神5311形である。阪神電車では2010年10月まで5311形が行先の表示に看板を使用して走っていた。先に紹介した阪急電車とは違ってこちらは本線で看板を堂々と掲げて...
大手私鉄の看板車 1 - 阪急今津線3000系
・・・"看板車"と言っても、看板娘のような電車ではない。方向幕を装備していないなどの理由で、文字通り看板を掲げた車両のことである。方向幕が普及する前は当たり前のように走っていたが、今はもう風前の...
最新記事
北総7300形 臨時特急「ほくそう春まつり号」運転(2024年)
今年も春がやってきた。4月21日、北総鉄道が主催する「ほくそう春まつり」の開催に合わせて臨時特急「ほくそう春まつり号」が運転された。昨年、八千代台始発として5年ぶりに運転された当列車だが、今年は...
千葉シーサイドバス路線図 2024年4月1日版
当Webサイトでは、2023年3月の「千葉シーサイドバス路線図 2023年3月1日版」と題する記事にて千葉シーサイドバスの路線図を公開していたところであるが、約1年ぶりに改訂版を発行する。千葉...
京成グループ 車両の動き(2023年度)
京成グループにおける2023年度の車両の動きをまとめてみよう。まずは京成。ここ数年は列車無線のデジタル化に伴う予備車の存在や2度にわたる脱線事故の影響などでイレギュラーな車両の動きが続いていたが...
北総7500形 「北総1期線開業45周年記念」ヘッドマーク
北総線開業45周年記念。北総鉄道では、3月上旬より7500形おいて「北総1期線開業45周年記念」ヘッドマークの掲出を行っている。表題のとおり北総1期線(新鎌ヶ谷〜小室)の開業45周年を記念した...
タイ国鉄 フアランポーン駅の現在
クルンテープ・アピワット中央駅に続いて、かつての中央駅、フワランポーン駅も訪ねてみた。2023年1月にバンコクの中央駅の地位をクルンテープ・アピワット中央駅に譲ったフアランポーン駅。中央駅の移転...