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エトセトラ

2012.09.29

2012年9月24日深夜に発生した京急線追浜〜京急田浦間における土砂崩れとそれに伴う脱線事故。現場はその後2日以上にわたり不通となり、京急線や直通各線に影響を及ぼした。本稿は、この事故の影響による翌25日と翌々26日の運行状況を主に京成線方面について簡単にまとめてみたものである。

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京成線押上駅 発車標
2012.9.26/**

▲混乱の様相が伺える押上駅2番線の発車案内
事故発生から現場区間の開通までのタイムライン
  • 9月24日
    - 23:55ごろ:土砂崩れが発生
    - 23:59:1500形1701編成1)の脱線事故が発生
  • 9月25日
    - 11:20ごろ:1701編成の品川方4両を切り放し
  • 9月26日
    - 0:00ごろ:1701編成の品川方5両を撤去(自走)
    - 10:20ごろ:サハ1919号車を撤去(800形826編成による牽引)
    - 18:10ごろ:デハ1702号車を撤去(同)
  • 9月27日
    - 6:30ごろ:デハ1701号車を撤去(同)
    - 7:00ごろ:現場区間において試運転(800形と2100形)
    - 7:25:運転再開

被災したのは高砂22時36分発の特急三浦海岸行2268Hで、当該の車両は1500形1701編成であった。同列車は線路上にまで流れた土砂に乗り上げた後、脱線しながら約80m進んで停止(脱線したのは浦賀方の3両)。停止した位置は船越第1トンネル内であった。この際、脱線した車両が土砂や沿線の構造物を巻き込んでいたことや、停止した場所がトンネル内だったためにクレーン車などの大型重機が使えなかったことから、当該車両の撤去は困難を極めた。結果的に被災車両を全て撤去したのは27日の6時半ごろであり、運行再開までに2日以上の時間を要した。

事故の大きさからして、現場区間が長時間にわたり不通になるだろうということは素人目にも明らかであった。そして、翌日の運行計画に特に大きな影響を与えたのは事故発生のタイミングである。京急線のダイヤは、大雑把に言うと、輸送力のある8両編成を前日の終電までに久里浜の車庫(車両管理区)に収容しておき、翌日朝の通勤ラッシュ時間帯にそれらを都心方向に輸送力列車としてどんどん送り出すという構成になっている(加えて、大半の列車は金沢文庫で4両を増結して12両編成になる)。事故が発生した24時ごろは、すでに大半の8両編成が車両管理区に入庫済の状態であった。すなわち、現場区間が開通しない限り、輸送力があって、かつ都営浅草線方面への直通運転の主力である8両編成の大半が三浦半島に閉じ込められてしまったことを意味する。そういった状況の下、翌日以降の運行を余儀なくされたのである。

翌25日、翌々26日の京急線内の運行状況

事故の翌25日、翌々26日の京急線内の運行状況を簡単に触れておく。

  • 羽田空港系統は概ね通常通り
  • 横浜方面からの都営浅草線直通快特・特急は品川〜金沢文庫で運転(都営線への直通運転を中止)
  • A快特は泉岳寺〜金沢文庫で運転
  • 普通車は品川〜金沢文庫、金沢文庫〜新逗子でそれぞれ折返し運転(後者はA快特との実質的な直通運転をしていた模様)
  • 久里浜方面については、逸見〜浦賀(普通)と堀ノ内〜三崎口(特急)でそれぞれ折返し運転

前述のように久里浜方に大量の8両編成が閉じ込められてしまったので、品川方では車両に窮した。そこで、従来は金沢文庫からの増結車に使用している4両編成をかき集めてこれを2本繋げた8両編成を組成し、品川方面の快特・特急に充てることにした。12両運転の中止により輸送力は圧倒的に不足するものの、京急線内においてはひとまずは列車の運転を確保することができた。一方、8両編成は都営浅草線に直通できない4+4の編成が主力となったことから、京成線方面に直通する快特・特急を品川までの運転とした。これにより、都営浅草線と京成線、北総線に列車の運休が生じる事態となった。

囚われの京急600形604編成

京急の車両不足により都営浅草線や京成線方面にやってくるはずの京急車がほとんど全滅するなか、どういうわけか600形604編成だけがまるで直通先に囚われたかのように終日にわたり京成線、北総線方面で使用された。京成線、北総線方面で京急車が担当する列車が軒並み運休となるなか、604編成はその穴を埋めるようにして走った(もちろんたかが1編成で運休列車の穴が全て埋まるはずもないのだが、ないよりマシ)。604編成は25、26日とも同じ動きをした。その動きを以下に記す。

新町○、527H成田空港行→726H羽田空港行→927H成田空港行→1126H押上行(所定は羽田空港行)→27Hのまま普通高砂行(臨時列車?)→99Hで印西牧の原まで回送、印旛△。印旛○、1678H羽田空港行→1879H泉岳寺行?(所定は青砥行)→1972H西馬込行→1973H印旛日本医大行→2172H高砂行(所定は三崎口行)→2071H印西牧の原行→2270H羽田空港行→2471H→2470H、新町△

押上線の運行状況

前述のように、京急線横浜方面から青砥・高砂に発着する快特・特急が品川までの運転とされてしまったので、これらの列車は軒並み運休となった。単純な相互直通運転であれば、直通先から来ない列車の穴を自社線内の折返し運転にすることで埋めることができるが、運行系統が複雑な都営浅草線系統ではそう簡単にはいかない。​特に押上線では、早朝と夕方、深夜時間帯を除いて三崎口・京急久里浜〜青砥・高砂系統の列車が押上線内を普通として走っており、押上線内各駅に対する何らかの救済が必要になった。

ラッシュ時間帯においては快速特急など一部の優等列車を押上線内各駅停車とした。日中時間帯においても一部のアクセス特急と快速が押上線内各駅への臨時停車を行なったほか、押上〜高砂にて臨時普通列車を運行した。それでも京急車が来なかった分の穴は全て埋められず、特に日中時間帯において20分電車が来ないという状況が発生していた模様である(通常、押上線の各駅では最大でも10分待てば次の電車がやってくる)。

​成田スカイアクセス線・北総線の運行状況

​成田スカイアクセス線および北総線においても同様にして京急車の担当する列車に運休が見込まれたため、その対応に追われた。成田スカイアクセス線と北総線に直通する京急車の運用は、京成線列車のアクセス特急として27Hが3往復分と83Hが2往復分、北総線列車として朝に11H、日中運用で79H(2往復分)、夜間時間帯に73Hと97H、77H、71Hがそれぞれ設定されている。両線ではもとより列車の本数が少ないので、できるだけ列車の運休をしないようなやりくりが行なわれた。

アクセス特急は27Hの527H〜1126Hが新町出庫の604編成で通常通りに運転されたが、それ以外の27Hのもう1往復分と83Hの2往復分は全て京成車による代走になった(783Hは横浜方面からの列車で品川止になったため)。また、日中時間帯に走る羽田空港行の一部を高砂止あるいは押上止とし、押上・高砂〜成田空港のみの運行することで、京急車が来ないための列車の運転本数と定時運行を確保した。

北総線列車は、11Hと97H、77Hのそれぞれ1往復分は所定通り京急車による運転。77Hは京急線の横浜方面より直通してくる運用だが、北総線列車の列車本数確保のためこの運用に限って品川止にはならなかったようである。79Hの779H〜1178Hの1往復は京成車が代走、1678Hと73H、71Hは前述のように27Hから流れた604編成が充当した。1279Hは北総車による代走になった(このため、13時台に北総車1本が91Nとして印西牧の原→高砂で回送)。なお、北総線では夕方以降に京急久里浜方面に直通する列車が何本か設定されているが、これらは1714T(京急久里浜行)を含めて全て始発駅から金沢文庫行として運転された。

27日の運行状況

京急線内当該区間の運転再開を受け、京成線と北総線はともに順次平常運転に戻った。

※この記事は2017.9.28に公開し、9.29に加筆・訂正しました。

  • 1)編成は浦賀方より1701-1702-1919-1920-1703-1704-1705-1706。

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