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エトセトラ

2014.06.29

前回に引き続き、韓国ソウルの首都圏電鉄の電車の走行音を適当にアップしていこう。走行音その2は、ちょっと古めの車両篇である。

KORAIL311000系

KORAIL311000系311758 독산→가산디지털단지(禿山→加山デジタル団地)

まずはKORAIL311000系の走行音。311000系は前回の記事でも登場しているが、こちらはGTO-VVVFインバーター搭載の初期車である。VVVFインバーターは、KORAILの車両だから例によって東芝と技術提携をしている韓国の宇進産電製なのだが、IGBT素子のものよりもこちらのGTO素子の方がより東芝っぽい感じで、変調パターンは同じく東芝のVVVFインバーターを搭載する阪急8000系にかなり近い。日本では聴けない音を出す電車に乗ることが海外の醍醐味・・・とは言ったけど、海外で日本と同じ音を出す電車に乗るのも逆に不思議な感じである。

ソウルメトロ4000系

ソウルメトロ4000系4864 충무로→명동(忠武路→明洞)

ソウルメトロ4000系4864 과천→정부과천청사(果川→政府果川庁舎)

ソウルメトロ4000系である。4号線を走る4000系は、GEC-AlstomというイギリスのメーカーのVVVFインバーターを採用している。韓国ではわりと最初期に登場したVVVFインバーター制御車のようで、VVVFインバーター黎明期らしいとてもい〜い音を奏でる。とても良い音なので、2区間分の音声ファイルを載せちゃいますよっ。このほか、三菱電機製のVVVFインバーターを搭載した車両(都営三田線6300形初期車のような音を出す)もいるが、こちらは省略。

なお、KORAILは日本の統治時代の流れを汲んだ左側通行、ソウルメトロやソウル都市鉄道などKORAIL以外の鉄道事業者は韓国の道路交通に合わせた右側通行なので、特にKORAILとソウルメトロが直通運転を行なっている1号線と3号線、4号線はややこしい。1号線はソウルメトロがKORAIL側に合わせる形で全線左側通行、3号線は逆に全線が右側通行となっているのだが、では4号線はと言うと、なんと途中で左側通行と右側通行が入れ替わる。南泰嶺~ソンバウィ間のトンネルでの立体交差で左側通行と右側通行が入れ替わるのだが、電化方式も同時にソウルメトロの直流1500VからKORAILの交流25,000Vに切り替わるので、直流で左側通行の電車に乗ったはずが気づいたら交流で右側を走ってましたという、妙な感覚に陥る。

ちなみに、2区間分を掲載した4000系の音声ファイルは1つめが直流区間、2つめが交流区間のもの。交流区間ではAC-DCコンバーターのものと思われるノイズが目立っているのと、起動時における加速のクセの違いからか、直流区間でみられる低速時の車体の振動が起こらないなどの違いが散見される。ゆえに、1号線と4号線を走る車両は必然的に交直流電車となっている1)わけだが、これでは車両の製作費用がいちいち高くついてしまうだろうし、ましてや大量の車両数を要する都市鉄道で交直流電車というのは色々と面倒なのではなかろうか。

ソウルメトロ2000系

ソウルメトロ2000系2882 뚝섬→성수(トゥクソム→聖水)

続いて、2号線を走るソウルメトロ2000系の走行音をば。首都圏電鉄を走る車両の形式名称は、走行線区によって決定されているようなので、一口に2000系と言ってもおおまかに4種類の2000系が走っている。この2000系は、車体断面が台形、前面が額縁スタイルの車両(写真が無くてマジすいません)で、制御方式は韓国では比較的珍しい電機子チョッパ制御の電車。このタイプの2000系は、元は4000系を名乗り4号線を走っていたが、4号線のKORAILとの直通運転開始に伴う交直流電車の導入による玉突きで、こちら2号線に移ってきたようだ。

2号線はソウル首都圏では唯一の環状運転を行なっており、ラインカラーも緑色でソウルの山手線的存在(メインの環状線のほか、聖水支線と新亭支線という支線を2本持つ)。運転系統は、方向幕の英語表記が「Inner Circle Line」「Outer Circle Line」なので、「内回り」「外回り」と案内している様子。ハイハイこれも山手線と一緒ね、などと油断しないように。前述のようにソウルメトロは右側通行なので、山手線の環状運転とは回り方が真逆ということに注意。

ソウルメトロ1000系

ソウルメトロ1000系1712 신길→영등포(新吉→永登浦)

最後はソウルメトロの1000系である。首都圏電鉄最初の車両となるKORAIL1000系と同型で、制御方式は抵抗制御。KORAILの1000系が"韓国の103系"などと言われているようで、同型であるソウルメトロ1000系も確かに音の雰囲気としては103系に似ている。車体のガタピシ感なんかは、日本の国鉄型車両そのものといった感じ。

抵抗制御という古い制御方式ではあるが、1989年に製造された車両もあるということで、KORAILの1000系とともに現在も1号線をバリバリに走っている。時に急行列車として走ることもあるようだ。他の車両と同様に自動放送に対応しているが、どういうわけかこの区間では自動放送が流れなかったので、車掌の肉声によるアナウンスになった。コンプレッサーはロータリー式のよう、作動音でわかりますね。

◆ ◆ ◆

あとソウルの電車に乗っていて驚いたのは、物売りだろうか。話には聞いていたけれど、ほんとうにいるんだなあれ、という感じ。私が出くわしたのはあやしいタワシの物売りであった。「汚れヨク落ちるネ〜コウヤッテ使えば便利ニダ〜」的なこと(多分)を言いながら車内を練り歩いてくるわけだけど、誰がそんなもん買うんかいと思って見てると、それがけっこう売れてるのである(売上と思しき札束数えてるのが見えた)。まあ、確かに売れなきゃ物売りなんぞやらんわな。

余談ながら、今回のソウル訪問では、T-money Mpassという外国人旅行者向けの乗車券を使ってみた。1日券から7日券までの5種類あって、首都圏電鉄とソウル市内バスを乗車距離にかかわらず1日20回まで利用できるという乗車券である。しかしこれ、一見便利そうなシロモノなのだが・・・はっきり言って1日に20回も乗らない・・・っていうか、乗れないぞ。せいぜい5、6回、頑張って10回くらいだろうか。よほど鉄道とバスを乗り倒すみたいな変な使い方(?)をするのであれば別だが、ソウル市内を普通に観光する程度であれば、通常版のT-money(SuicaのようなIC乗車券)を使って乗ったほうが安上がりになると思われる。

  • 1)3号線は全線直流1500Vなので全車両が直流電車となる。4号線ではソウルメトロの直流区間のみを走る直流電車も在籍している。

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