2014.07.16
ソウル首都圏の交通事情、続いてはバスの話題を取り上げてみよう。韓国は鉄道よりもバスの国という感じで、都市内で完結する路線バスはもちろん、都市間バスや高速バス、そしてかの有名な軍団が乗ったウドゥンゴソシンヤポス(優等高速深夜バス)に至るまで、バス網が異常に発達している。

ソウルのバス
2014.3.7/서울역
ソウル市内だけに目を向けても、バスはあっちへこっちへとにかく走りまくっている。ソウル市内で多く見かけるのは、青色のバスと緑色のバスだろうか。最初、これらを見て比較的大きな規模の2つのバス会社がソウル市内でしのぎを削っているのかと思ったのだが、どうやらそうではないらしい。いずれもソウル市のバスということで、色が違うのはバスの種別が違うからのようだ。
家に帰ってからあれこれ調べてみると、ソウル市では実に4種類の色のバスが走っているらしい。そして、それぞれに役割が与えられており、それは次のようである。
- 赤バス:広域バス...ソウルとソウル郊外をほぼ直行で結ぶ。
- 青バス:幹線バス...ソウルとソウル郊外などを結ぶ。
- 緑バス:支線バス...地下鉄駅等を基点としたある地域内を走る。
- 黄バス:循環バス...都心等のある地域を循環する。
ソウル市のバスは2004年に大改変が実施されており、これらはその時に登場したということである。この時に路線番号(ソウル市内を走るバス路線には全て番号が付いている)も改められ、ソウル市内を8つの地域に分けた上で1〜8の番号を割当て、その地域番号を基にした2桁から4桁の数字を路線番号として用いるようになった。余所者には何だかよく分かったようなよく分からないような感じではあるが、それ以来主要なバス通りにはバス専用レーンが整備され、また、主要な駅では鉄道との乗換の利便性を向上させたバス乗換センターなるものも設置されており、マイカーの増加を背景とした市内の道路交通事情の悪化を受けた公共交通の利便性向上への施策が、ソウル市の主導によって行なわれてきているという理解で間違いあるまい。

ソウルのバス
2014.3.7/서울역
なお、これらのバスは、厳密に言えば市バスではない模様である。実際のバスの運行は、ソウル市の委託を受けたいくつもの小規模なバス会社が行なっているとのこと。とは言え、全体としてはソウル市の主導によってバスの運行は成り立っているし、バスの色も4種類に統一されているので、ソウル市のバス事業は"準公営"とでも言えようか。ここでも利用者は、鉄道がそうであったように、バスにおいても細かなバス会社の違いを特に意識することなく利用することができるようになっている。
運賃は、初乗り運賃がバスの色によって異なる上に、初乗り区間となる10km以上を乗る場合は5kmごとに運賃が加算されるという、ソウルのバスに乗り慣れていない者にとってはいくら支払ったらいいのかちょっと不安になるようなシステム。しかし、ソウルのバスでは韓国のIC乗車券T-moneyに対応しているので、T-moneyを使えばそこらへんのややこしい運賃計算を勝手にやってくれるので気が楽だ。さらに、T-moneyで乗車すれば現金運賃よりも割安なT-money運賃が適用される上に、バスを乗換えたとき、さらにバスから鉄道へ乗継いだときに通しの運賃として計算される(要するに初乗り運賃が1回しか取られない)ので、やはりここはT-moneyを使うのに越したことはない。
ここで鋭い方はお気づきになられると思うのだが、以前ご紹介したように鉄道は鉄道で首都圏電鉄として共通運賃となっているので、全体としてみれば公共交通をいくら乗継いでも運賃が割高にならないようなっているわけだ。バスから鉄道に乗換える時に、また直通運転において運行事業者が変わるごとにその事業者の初乗り運賃を徴収される日本の運賃制度とは大きく事情が異なっている。ここらへんの運賃の仕組みをふまえると、ソウル市としてもできるだけ公共交通を使ってもらいたいという考えなのだろう。

ソウルのバス
2014.3.7/서울역
(黄バスには1度も遭遇せず。どこらへんを走ってるんだろう???)
- ツイート
- #
- 海外のバス
- 海外
関連記事
韓国 ソウル首都圏の交通事情 6 - バスあれこれ@ソウル駅前
さて、ソウル駅前で見かけたバスを適当に掲載してみよう。帰りの空港へ向かう前の時間調整を兼ねてものの2〜30分の撮影といったところだったが、前回の記事でご紹介したようにバスはひっきりなしにしかも...
韓国 ソウル首都圏の交通事情 5 - ソウル駅バス乗換センター
ってことで、帰りの空港行までの時間調整を兼ねて、ソウル駅前のバス乗換センターの様子を小一時間ばかり観察してみた。バス乗換センターと言っても、基本的にはバス専用レーン上に方面別の乗降ホームが...
韓国 ソウル首都圏の交通事情 3 - 首都圏電鉄の電車あれこれ2
前回に引き続き、韓国ソウルの首都圏電鉄の電車の走行音を適当にアップしていこう。走行音その2は、ちょっと古めの車両篇である。まずはKORAIL311000系の走行音。311000系は前回の記事でも...
韓国 ソウル首都圏の交通事情 2 - 首都圏電鉄の電車あれこれ
KTXに続いて、ソウル首都圏を走る首都圏電鉄の車両たちを見てみよう。なお、諸事情により写真をあまり撮っていないので、車両の外観や駅の様子などは他所のWebサイトを参照してくだされ(ぉ 首都圏電鉄...
韓国 ソウル首都圏の交通事情 1 - 韓国高速鉄道KTX@ソウル駅
3月のある数日間、お隣の国、韓国に行ってきたので。韓国の、特に首都ソウル周辺の交通事情について適当に記しておきたいと思う。ソウルの空の玄関口、仁川(インチョン)国際空港を降り立った私は。その足で...
最新記事
京葉線 幕張豊砂駅で勝手にE231系・209系撮影会
3月18日に開業した京葉線幕張豊砂駅。先日、訪れる機会があったのでレポートしてみたいと思う。幕張豊砂駅の最遅レビュー。京葉線新習志野~海浜幕張間に開業した幕張豊砂駅。駅は幕張新都心の西側、千葉市...
都営5300形 四直各線を走り回った日々 その2
都営5300形の活躍を振り返る。その2。都営5300形の2月23日の営業運転終了から早くも半年。本稿では、そんな5300形の長年の功績を讃えて同車が走り回った日々を簡単に振り返ってみたい。第2回...
東洋バス路線図 2023年9月1日版
当Webサイトでは、2022年10月の「東洋バス路線図 2022年10月1日版」と題する記事にて東洋バスの路線図を公開していたところであるが、約11ヶ月ぶりに改訂版を発行する。東洋バスでは9月...
京急1000形1001編成 6年半ぶりの直通運用
京急1000形、1001編成が6年半ぶりに直通運転に復帰。2002年4月に営業開始した京急1000形。導入開始から21年を経て今なお製造が続けられ、先ごろには今年度導入の22次車となる1500...
京急線 普通列車の走り方の変化
京急線の普通列車の走り方を見る。京急線で2022年11月26日に実施されたダイヤ改正。日中時間帯の運行パターンの刷新は、京急自ら「23年ぶりの大幅ダイヤ改正」と表現するほど大きなものであった...