2014.12.27
士別の方に行ったついでに、士別市内を走る士別軌道のバスの様子をば。
士別軌道は、士別を中心にバス事業を行なうバス会社である。社名に"軌道"の文字が入っているのは、その昔木材を輸送するための軽便鉄道を運営していたためとのことだが、今はバスのみ。路線としては、士別市街を循環する市内線のほか、北は風連、西は温根別、東は朝日まで足を延ばしている。風連、温根別、朝日方面行のバスは本数も少なく、車両も主にトップドアのものが使われるというまさしくローカルバスといった趣だが、市内線については関東の都市部(東京都交通局や横浜市交通局)から移籍してきた車両により、前乗り前払い160円均一料金といった都会的な一面も見せているのがおもしろい。
市内線は[1]市内循環外回りと[2]市内循環内回り、[3]市内循環東西回りの3系統が設定されている。ただし、通年で運転されるのは[1]内回りだけで、[2]外回りと[3]東西回りは11月頭から4月末までの冬ダイヤでのみの運転。各系統とも30分に1本の頻度の運転で、[1]外回りは士別駅前を毎時00、30分、[2]内回りと[3]東西回りは同15、45分に出て行く。規則正しいダイヤとなっており、とても分かりやすい。
市内線の車両は、前述のように関東都市部から移籍してきた中古車が活躍している。渋谷や新宿をバリバリ走ってきた車両が第一線を退いて、地方でのんびりと余生を過ごしているといった雰囲気。市内線は概ね25分程度で1周するので、1つの系統につき1台の車両がぐるぐるするという算段。乗務員の交代は士別駅前で済ませてしまうため、車両はその系統を朝から晩まで走り通すという運用になっているようだ。すなわち、お目当ての車両が走っていなければその車両はその日お休みということになるが、その場合は士別駅の至近にある本社営業所を訪ねてみるのもいいかもしれない。
移籍車の活躍が目立つ中、最新型に近いハイブリッド車両も1台だけ在籍しているという懐の深さも見せる。2010年に導入された10007号車は士別市の補助のもと導入された車両ということで、[1]市内循環外回りはもっぱらこの車両での運行となっている。東京都交通局や横浜市交通局からの移籍車両は[2]市内循環内回りと[3]市内循環東西回りに充当されるほか、市内線が[1]外回りだけの運行になる夏季にはローカル方面にも顔を見せることもあるそう。
士別軌道と言えば、道内最後のモノコックバス"K-RC301P"を今も走らせ続けているということで有名だが、今回営業所を訪ねた際は蔵の中に入れられていてその姿を拝むことができなかった。今年に入って外装のリニューアル(旧塗装化)をし、その後は中多寄線30線西3号7時50分発の便で定期的に運転されているということであったが、冬の訪れとともに定期運用はいったんお休みということらしい。とても大切にされているようで喜ばしいのだが、モノコックをお目にかかるのはまた別の機会ということに・・・。
- ツイート
- #
- バスその他
- タグはありません
関連記事
しずてつジャストラインの古参エアロスター
2015年初秋の静岡、時間に余裕があったので静岡駅にて小一時間バスも観察してみた。静岡市内を走るバスは静岡鉄道系列のしずてつジャストラインがそのほとんどを独占しており、静岡駅のバスターミナルを...
旭川のバス 2014年冬 2 - 道北バスあれこれ
旭川で適当に撮ったバスの写真その2。道北バスである。道北バスも旭川電気軌道と同じく旭川市内を中心に路線網を展開しているが、北は名寄、東は層雲峡方面へ郊外バスを運行しているのが特徴的。また、旭川を...
旭川のバス 2014年冬 1 - 旭川電気軌道あれこれ
旭川で適当に撮ったバスの写真をば。まずは旭川電気軌道である。以前ご紹介した士別軌道と同様に社名に"軌道"という文字があるが、これは旭川から東川町方面に向かう軌道を運営していた名残。現在は...
広島バス2012年秋 2 - 富士重工7Eの車両あれこれ
少し間が開いてしまったが、広島バスの続きをば。5Eが来るまでの間に撮ったものを適当に羅列。広島バスは富士重工大好きっ子ちゃんということで、5Eが来るまでに目の前に現れた車両はものの見事に全て7E...
広島バス2012年秋 - 富士重工5Eボディの古参車両
広島はJRも路面電車もボロいが、バスもボロいぞ(※褒め言葉)。広島のバスのボロの象徴と言えば、広島バスの富士重工5Eボディ架装車だろうと思う。全国的に数を減らしてきている同型車だが、ここ広島では...
最新記事
四直珍列車研究 132 - 平日 2300
押上線の6両編成、しれっと復活してしれっと消える。平日2300レは、かつて運転されていた普通押上行である。2022年2月ダイヤ改正で設定された、押上線を走る唯一の6両編成の列車であった。押上線の...
国鉄型車両を訪ねて 26 - JR東日本201系 通勤快速成東・勝浦行
さようなら、「なるかつ」。「へー、京葉線なのに勝浦まで行くヤツがあるんだ。」ある時に時刻表の京葉線のページを眺めていて「発見」した勝浦という文字は、私の中で驚きとともにやけに魅力的に映った...
北総線 タブレット端末を活用した自動放送を導入
北総線で自動放送始まる。北総鉄道では、2月16日より列車内における自動放送の使用を開始した。対象となるのは、他社局線からの直通車両を含む北総線の全ての列車となっている。京成線と京急線で実施して...
新潟交通新潟駅万代口バスターミナル 最後の勇姿
本州における日本海側で最大の都市、新潟。新潟で見るべきもの言えば、重要文化財に指定されている萬代橋でも越後一宮・彌彦神社でもなく、新潟駅万代口のバスターミナルである。2月末に新潟に行く機会が...
京成AE形 「スカイライナー運行開始50周年記念」ヘッドマーク
祝、運行開始50周年。京成電鉄では、12月末よりAE形において「スカイライナー運行開始50周年記念」ヘッドマークの掲出を行っている。これは2023年12月30日にスカイライナーが運行を開始して...