2015.02.22
バルセロナその3。例によって地下鉄の走行音を録ってきたので、掲載したく思う。
バルセロナ地下鉄2104 Selva de Mar→Poblenou
バルセロナ地下鉄2104 Llacuna→Bogatell
まずはL4を走る2100番台車両をば。自国スペインのCAFという車両メーカー製ながら、制御装置のVVVFインバーターはフランスのアルストム製のものが採用されているとのこと。確かにVVVFインバーター制御の電車っぽい音はするのだが、減速時に電機子チョッパみたいな一定の音が鳴るのは何なんでしょ。よくわかりません。
バルセロナ地下鉄9112 Maragall→Guinardó / Hospital de Sant Pau
バルセロナ地下鉄9040 Sant Martí→Bac de Roda
続いて、バルセロナの地下鉄では最新型となる9000番台車の走行音である。こちらは電装品を含め、車両そのものがアルストム製となっている。
自動放送のアナウンスが特徴的で、男性と女性の共同作業(?)によるものとなっている。地下鉄の自動放送からして男女が情熱的に絡み合うのがラテンのノリというものなのだろう(ぉ
◆ ◆ ◆
興味深いのが、地下鉄全般の案内にスペインの公用語であるスペイン語ではなく、カタルーニャ州の公用語であるカタルーニャ語が第一言語として使われているという点。上記の走行音ファイル内で聞こえるアナウンスもカタルーニャ語である。さらに、バルセロナ交通局の公式ウェブサイトのURLも、トップレベルドメインはスペインの.esではなく、カタルーニャの.catとなっている1)。
バルセロナのあるカタルーニャ州は、18世紀までカタルーニャ君主国として独立した国家だった。1700年に勃発したスペイン継承戦争を経て、スペインに併合されたという歴史をもつ。こうしたことから、今でもバルセロナの人々の帰属意識は国としてのスペインよりもカタルーニャの方にあるという。
確かに、市内にはスペイン国旗よりもカタルーニャ州旗である黄色と赤のボーダーの方がはためいていた気がするし、スペインにおけるプロサッカーリーグであるリーガ・エスパニョーラでのFCバルセロナとレアル・マドリードの一戦がクラシコとして大いに盛り上がるのも、リーグの2強の衝突ということ以上に、ある意味ではカタルーニャのスペインに対する挑戦の縮図なのだろう。ここバルセロナは、スペインではなくてカタルーニャなのだと実感させられる。私は、書物やネット記事を読んだだけでは伝わらない、実際に現地に訪れてみないと味わえない"空気感"が存在すると考えているのだが、地下鉄に乗りながらまさにそのようなことを感じたのであった。
◆ ◆ ◆
バルセロナの地下鉄に乗る際に最も気をつけなければならないのは、スリだろうか2)。よほどスリが多いのか、駅構内の案内放送や地下鉄車内の案内ディスプレイでもスリに注意するようさかんに注意喚起がなされていた。駅構内のスリ注意喚起放送は、カタルーニャ語、スペイン語、英語はもちろんだが、それに加えて日本語が流されている。まさかこんなところで日本語の案内放送を聞くとは・・・という感じ。しかしそこで、さすが日本!! などとは言ってはいけない。それだけスリの被害に逢う日本人が多いということなのだから。

バルセロナ地下鉄 2100番台車両の車内の様子
2014.3.14/**

バルセロナ地下鉄 9000番台車両の車内の様子
2014.3.15/**
- 1)http://www.tmb.cat/。.catはカタルーニャ語圏を対象としたドメインで、カタルーニャ州やバルセロナ市など行政機関の公式Webサイトでも使われている。
- 2)もっとも海外の地下鉄全般がそうなので、ぜひともみなさま気をつけましょう。。
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