KSWeb

鉄道やバスなど、公共交通に関するディープな話題をお届けしています。

Article

記事

2016.08.26

ポルトからコインブラと回って、いったんリスボンへ帰還。以前の記事でポルト=サン・ベント駅を取り上げたが、今回はリスボンを代表してリスボン=オリエンテ駅を紹介しよう。

X60622.jpg

リスボン=オリエンテ駅 外観
2016.2.13/**

▲ダイナミックなデザインのリスボン=オリエンテ駅

オリエンテ駅は比較的新しい駅で、開業は1998年。同年に開催されたリスボン万博に合わせて開業した駅だが、リスボンにおける鉄道の新しい玄関口としてつくられた駅となっているようで、リスボンに乗入れる全ての特急列車が停車、市内中心部や空港へ向かう地下鉄も接続するほかバスターミナルも併設しており、オリエンテ駅はリスボンの一大交通ターミナルを形成している。将来的には隣国スペインからの高速鉄道がオリエンテ駅に乗入れるようになるんだとかで、現在はやや閑散として少し持て余し気味な4面8線の広い駅構内も、高速鉄道が発着するようになればよりターミナル駅らしいにぎわいを見せることになろう。

もとよりリスボンの新しいターミナル駅としてつくられたこともあって、駅舎のデザインには相当の力が入っており、駅そのものにシンボル性を持たせた設計となっている。何と言ってもまず目に入るのは軽やかなデザインのホーム上屋。駅の設計は構造家のサンティアゴ・カラトラバで、氏の得意とする構造の美しさと繊細なデザインが融合したホーム上屋は間違いなくこの駅のシンボルとなっている。一方、ホームの下のコンコースはダイナミックなデザインの高架橋に覆われており、マッシブなコンクリートがむき出しの空間はホームのそれとは実に対照的。駅全体を植物に例えるならば、それはまるで土の中にしっかりと張っている根のようである。利用者がコンコースからホームに上がるという行動が、いわば土の中から芽生える植物というストーリーとなっているわけだ。

X60618.jpg

リスボン=オリエンテ駅 ホーム
2016.2.13/**

▲上屋のデザインが美しいオリエンテ駅のホーム。ガラスブロックが多用されているのも特徴的
X60655.jpg

リスボン=オリエンテ駅 コンコース
2016.2.13/**

▲ホームとは対照的なコンコースの大空間
X60607.jpg

リスボン=オリエンテ駅 コンコース
2016.2.13/**

▲高架橋を支えるコンクリートの隙間を通路が巡っている

◆ ◆ ◆

たまたま夜のオリエンテ駅も訪れたが、ナトリウムランプでやわらかく照らされた空間にうっとり。特徴的なホーム上屋を強調するかのようなライティングが美しい。建築と言えば昼間に見に行くことが多いけれども、こういった夜の建築もまた乙なものである。

X60524.jpg

リスボン=オリエンテ駅 ホーム
2016.2.12/**

▲夜のリスボン=オリエンテ駅。ナトリウムランプによるライティングが美しい

関連記事

ポルトガル周遊の記 8 - リスボン首都圏の近郊列車

せっかくポルトガルまで来たのだから、ヨーロッパ大陸最西端のロカ岬にレッツラゴ〜〜(死語) ってなわけで、ヨーロッパ大陸最西端のロカ岬へ。ヨーロッパ大陸最西端っていうと果てしなく壮大なイメージだが...

ポルトガル周遊の記 8 - リスボン首都圏の近郊列車
ポルトガル周遊の記 6 - コインブラのトロリーバス

ポルトガルの中部の都市、コインブラをブラブラ・・・(ぉ ポルトガルの中部に位置する都市、コインブラ。丘の上にあるコインブラ大学を中心に発展し、ポルトガル中央部を代表する都市である。コインブラ大学...

ポルトガル周遊の記 6 - コインブラのトロリーバス
ポルトガル周遊の記 5 - 特急「インテル・シダーデス」

ポルトガルその5。再びポルトガル鉄道(CP)の話題に戻って、特急「インテル・シダーデス」(Intercidades)をば。インテル・シダーデスという名称だが、インテルはinterのポルトガル語...

ポルトガル周遊の記 5 - 特急「インテル・シダーデス」
ポルトガル周遊の記 4 - ポルト市電

ポルトガルその4はポルトを走る路面電車、ポルト市電をご紹介。ポルトもかつては市内を路面電車がくまなく走る都市だったようだが、やはりモータリゼーションの波を受けて路線バスへの置換えが進み...

ポルトガル周遊の記 4 - ポルト市電
ポルトガル周遊の記 3 - ポルトメトロのトラム・トレイン

ポルトガルその3はポルトの都市交通、ポルトメトロ(Metro de Porto)をば。ポルトメトロは2004年に開業したポルトの交通システムである。メトロという名前ではあるが、日本語でいう...

ポルトガル周遊の記 3 - ポルトメトロのトラム・トレイン

最新記事

2025.05.05

北総9100形 デビュー30周年記念ヘッドマークを掲出

走り続けて30年。北総鉄道では、4月1日に同社が管理を行っている9100形がデビュー30周年を迎えたことを記念して、ヘッドマークの掲出を実施している。ヘッドマークを掲出しているのは9100形の...

北総9100形 デビュー30周年記念ヘッドマークを掲出

2025.04.30

京成線 駅別乗降人員ランキング(2024年度)

2024年度の京成線の駅別乗降人員ランキング! 京成線の全69駅において、どの駅の利用が多いのか少ないのか。京成電鉄が毎年公表しているデータを基に、2024年度の駅別乗降人員をランキング形式で...

京成線 駅別乗降人員ランキング(2024年度)

2025.04.26

京成電鉄バスグループ バス事業の大再編を実施

表現するならば、「激震」。4月1日、京成グループでは傘下のバス事業会社の再編を実施した。京成電鉄の完全子会社となる京成電鉄バスホールディングスを持株会社として新たに設立。その上でグループ15社...

京成電鉄バスグループ バス事業の大再編を実施

2025.04.20

北総9800形 臨時特急「ほくそう春まつり号」運転(2025年)

今年も春がやってきた4月20日、臨時特急「ほくそう春まつり号」が運転された。同日に北総鉄道がイオンモール千葉ニュータウン提携駐車場で開催するイベント「ほくそう春まつり」に合わせて運転される恒例の...

北総9800形 臨時特急「ほくそう春まつり号」運転(2025年)

2025.04.15

京成グループ 車両の動き(2024年度)

京成グループにおける2024年度の車両の動きをまとめてみよう。2024年度の車両の動きの目玉は、やはり3100形以来6年ぶりの新型車両となる3200形が登場したことであろう。今年度は日本車両製の...

  • 京成
  • タグはありません
京成グループ 車両の動き(2024年度)