2017.05.30
狭い街区の中をちょこまかと走るリスボン市電はその配線もすごい! ってことで、Twitterに掲載したらなかなか好評だったので、こちらにも改めて掲載したく思う。ちょっと強引に敷かれたリスボン市電の線路をご覧あれ。
※文末に緯度経度を掲載しましたので、何かに活用してください。
最狭区間のガントレット
当たり前のことだが、一般的な鉄道では2本の平行なレールの上を車両が走り、複線であれば平行なレールは2組敷かれることになる。ところが、この2組のレールが互いに食い込むように敷かれるガントレット(狭窄線)というものが存在する。日本においては名鉄瀬戸線の旧名古屋城外堀区間の事例を最後に消滅しているが1)、リスボンでガントレットの現物を拝むことができた。場所は、前回の記事でもご紹介した28系統の交互通行区間。この区間の一部がガントレットになっている。
ガントレットが出現する条件としては、まずは狭いということが挙げられる。要するに通常の複線分のレールを敷くだけの幅員が確保できないために、このような特殊な線形が採用される。狭いんなら通常の単線でもいいじゃん〜と思わないでもないのだが、機構が複雑で整備の必要もある分岐器の使用を避けたいという意図があるようだ。とは言え、リスボンの事例では通常の単線も併用しているので、明確な基準のようなものはないように思われる。[38.712834, -9.129033]
これもガントレット・・・?
この2組のレールが互いに食い込むように敷かれる線路をガントレットというのだから、これもガントレット・・・なのだろう。たぶん。これも28系統が走る線路で、西行き電車と東行き電車が一方通行の異なる通りを走ることにより生じたもの。片方の線路が先行して交差点を曲がるのだけども、曲線の半径をかせぐためにもう片方の線路にいったん食い込んでから曲がっていく。それにしてもおとぎ話から飛び出してきたかのような線路である。
この程度の食い込みでなおかつ見通しもよいので、ガントレット部分には特に信号などは設置されていない。双方向の電車がこの区間に同時に接近した場合は運転士どうしのアイコンタクトで空気を読み合いながら通過していく。[38.707963, -9.142046]
狭小交差点の90度渡り線
1755年のリスボン大地震の震災復興で街そのものが作り直されたバイシャ地区は街区が綺麗にブロック状になっており、地区内を南北方向と東西方向ともに市電が走る。その南北方向と東西方向の線路の交点に渡り線が設置してあるのだが、狭い交差点の中に設置された渡り線がちょっと強引。
手前の複線軌道から奥へ向かう単線軌道へと接続する渡り線だが、ここでも曲線の半径をかせぐために大きくカーブしている。よく見ると歩道に乗り上げてるし! この渡り線は12系統が使用しており、13分に1回の頻度で電車が歩道に乗り上げながら通過する。[38.709790, -9.136459]
- 1)1976年、瀬戸線の栄町乗入れ工事開始に伴い当該区間は廃止
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