KSWeb

鉄道やバスなど、公共交通に関するディープな話題をお届けしています。

etc...

エトセトラ

2017.05.30

狭い街区の中をちょこまかと走るリスボン市電はその配線もすごい! ってことで、Twitterに掲載したらなかなか好評だったので、こちらにも改めて掲載したく思う。ちょっと強引に敷かれたリスボン市電の線路をご覧あれ。

※文末に緯度経度を掲載しましたので、何かに活用してください。

​最狭区間のガントレット
X60724.jpg

リスボン市電のすごい配線
2016.2.13/**

▲28系統の交互通行区間の一部で使われているガントレット。2組のレールが交わるようで交わらない

​当たり前のことだが、一般的な鉄道では2本の平行なレールの上を車両が走り、複線であれば平行なレールは2組敷かれることになる。ところが、この2組のレールが互いに食い込むように敷かれるガントレット(狭窄線)というものが存在する。日本においては名鉄瀬戸線の旧名古屋城外堀区間の事例を最後に消滅しているが1)、リスボンでガントレットの現物を拝むことができた。場所は、前回の記事でもご紹介した28系統の交互通行区間。この区間の一部がガントレットになっている。

​ガントレットが出現する条件としては、まずは狭いということが挙げられる。要するに通常の複線分のレールを敷くだけの幅員が確保できないために、このような特殊な線形が採用される。狭いんなら通常の単線でもいいじゃん〜と思わないでもないのだが、機構が複雑で整備の必要もある分岐器の使用を避けたいという意図があるようだ。とは言え、リスボンの事例では通常の単線も併用しているので、明確な基準のようなものはないように思われる。[38.712834, -9.129033]

​これもガントレット・・・?
X60769.jpg

リスボン市電のすごい配線
2016.2.13/**

▲左の線路が右側の線路に食い込んでから左へ
X60764.jpg

リスボン市電のすごい配線
2016.2.13/**

▲反対側から見る。この先は一方通行となり、互いに異なる通りを走る

この2組のレールが互いに食い込むように敷かれる線路をガントレットというのだから、これもガントレット・・・なのだろう。たぶん。これも28系統が走る線路で、西行き電車と東行き電車が一方通行の異なる通りを走ることにより生じたもの。片方の線路が先行して交差点を曲がるのだけども、曲線の半径をかせぐためにもう片方の線路にいったん食い込んでから曲がっていく。それにしてもおとぎ話から飛び出してきたかのような線路である。

この程度の食い込みでなおかつ見通しもよいので、ガントレット部分には特に信号などは設置されていない。双方向の電車がこの区間に同時に接近した場合は運転士どうしのアイコンタクトで空気を読み合いながら通過していく。[38.707963, -9.142046]

狭小​交差点の90度渡り線
X59580.jpg

リスボン市電のすごい配線
2016.2.9/**

▲バイシャ地区、コンセイサン通りとプラタ通りの交差点。手前の複線軌道から奥へ向かう単線軌道への渡り線が歩道に食い込みながら大きくカーブしている

​1755年のリスボン大地震の震災復興で街そのものが作り直されたバイシャ地区は街区が綺麗にブロック状になっており、地区内を南北方向と東西方向ともに市電が走る。その南北方向と東西方向の線路の交点に渡り線が設置してあるのだが、狭い交差点の中に設置された渡り線がちょっと強引。

手前の複線軌道から奥へ向かう単線軌道へと接続する渡り線だが、ここでも曲線の半径をかせぐために大きくカーブしている。よく見ると歩道に乗り上げてるし! この渡り線は12系統が使用しており、13分に1回の頻度で電車が歩道に乗り上げながら通過する。[38.709790, -9.136459]

  • ​1)1976年、瀬戸線の栄町乗入れ工事開始に伴い当該区間は廃止

関連記事

ポルトガル周遊の記 17 - リスボン市電28系統、狭隘路を走る

ポルトガルの首都、リスボンを走るリスボン市電。最後に、28系統の狭隘区間を見に行ってみた。リスボンを東西に走る28系統はところどころに狭い路地を走る区間が存在している。特に狭いのがアルファマ地区...

ポルトガル周遊の記 17 - リスボン市電28系統、狭隘路を走る
ポルトガル周遊の記 16 - リスボン市電あれこれ(路線篇)

前回の記事につづいてリスボン市電をば。今回は路線についてご紹介しよう。​2017年現在、リスボンで運行されている路面電車は12、15、18、25、28の5系統。系統番号の数字が飛び飛びになって...

ポルトガル周遊の記 16 - リスボン市電あれこれ(路線篇)
ポルトガル周遊の記 15 - リスボン市電あれこれ(車両篇)

ポルトガルの旅もそろそろ終盤である。これまでポルトガルにおける様々な公共交通をご紹介してきたが、満を持して(?)リスボンの路面電車を取り上げる。​リスボン市電の存在を知ったのは、初めて海外に...

ポルトガル周遊の記 15 - リスボン市電あれこれ(車両篇)
ポルトガル周遊の記 14 - リスボンのケーブルカー グロリア線

リスボンを走るケーブルカー、ビッカ線に続いてグロリア線をば。リスボンの中心に位置するレスタウラドーレス広場の脇から、丘の上のバイロ・アルト地区へとあがっていくのがグロリア線のケーブルカーである...

ポルトガル周遊の記 14 - リスボンのケーブルカー グロリア線
ポルトガル周遊の記 13 - リスボンのケーブルカー ビッカ線

リスボンを走るケーブルカー、ビッカ線に乗る。ケーブルカーというと山の中を走っていて、山麓から山の中のある程度のところまで運んでくれる楽ちんな乗りものという印象があるが、リスボンのケーブルカーは...

ポルトガル周遊の記 13 - リスボンのケーブルカー ビッカ線

海外の鉄道海外 路面電車