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2017.05.07

​東京スカイツリーが大盛況だからなのか、大手私鉄の中では絶好調の東武鉄道。ここのところ日比谷線直通用の新型車両70000系や特急"リバティ"500系の導入に加えて、日光地区ではSLの運行を始めてしまおうというのだからそれは軽くバブル状態。わんこそばのごとく次から次へと新しいものが供給され、追いかけられている方からは歓喜を通り越して嬉しい悲鳴が聞こえてきそうなところである。

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東武6050系 6163編成ほか
2006.2.13/梅 島

▲​快速列車として浅草まで乗入れていた東武6050系。通勤型車両が多く走る複々線区間では異質の存在であった

​他方、新しい列車が登場すれば消える列車もあるわけで、6050系の快速・区間快速である。6050系については車体こそ1980年代に新製されたものであるが、一部の車両の足回りは6000系から引き継いだ骨董品のようなものも混ざっており、6050系を使用した浅草発着の快速列車をどうするの問題がくすぶっていた。これに対して東武鉄道が出した答えは「新型特急車両を導入し、それによって6050系の快速・区間快速と同じく老朽化している300系ともども置き換える」。こうして500系が導入され、さる4月26日のダイヤ改正で華々しくデビュー。同時に6050系の運用は大幅に削減され、浅草を発着する快速・区間快速が廃止になった。

​東武の沿線でない者から見た6050系の快速・区間快速はやはり異質な存在。通勤電車が行き交う複々線区間をボックスシートの急行形車両のような電車が走って行くのはなにがどうしたって特異な光景に映った。自分の中で妄想鉄道会社を作った時、東武の快速のような列車を設定した方も多いのではないだろうか(笑)。それは同時に長大線区を抱える東武鉄道らしい存在でもあったように思う。複々線区間の駅なんぞ相手にしないで爆走し、北千住の次が春日部という潔さも気持ちがよかった。ちょいと東武方面に出かけた時には、この1駅間だけでも快速・区間快速をわざわざ狙って非日常感を味わったものである。こうした味のある列車が途絶えてしまうのは残念だが、日光や鬼怒川観光がようやく大衆化してきた時代の産物だとしたら、もうその役目を終えたということなのかもしれない。

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東武6050系 6154編成ほか
2009.1.12/姫宮〜東武動物公園

▲​​冬の風物詩、霜取りパンタグラフを上昇して走る6050系。残念ながら写真の編成は5基だが、条件が揃えば2x3で6基のパンタグラフで走る列車も見られた

​さて、今週は快速・区間快速がなくなって初めての大型連休であったわけだが、これがなかなか大変なことになっていたようで・・・。快速・区間快速の廃止を受けて浅草〜東武日光を走る臨時列車を2往復設定したものの、途中の駅で積み残しがあるなど輸送力が圧倒的に足りなかったらしい。新設した"リバティ"を含む特急も軒並み満席という状況の中、都心から東武日光まで直通する2本の臨時列車に行楽客が集中したのが原因のようだ。東武鉄道ではこれまでも大型連休に合わせた臨時列車を1800系にて運転していたが、それはそもそも定期の快速・区間快速を補完する存在だったので、そこまでの状況にはなっていなかったという記憶。皮肉にも快速・区間快速の存在感を示すことになってしまったかのようである・・・。

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