KSWeb

鉄道やバスなど、公共交通に関するディープな話題をお届けしています。

etc...

エトセトラ

2017.11.15

昨年の秋に訪れたバンコクで開通したばかりのMRTパープルラインに乗ってきてみたので、そこらへんのことをレポートしたいと思う。後編。(前編はこちら

X63083.jpg

バンコクMRT タオプーン駅のホーム
2016.10.24/**

▲MRTパープルライン、タオプーン駅の様子。車両が2本停まっているが、左側のは留置車両で日中時間帯は右側のホームから10分間隔で列車が発着する

パープルラインのバンコク側の今のところの起点となっているタオプーン駅はブルーラインとの接続駅。パープルラインもブルーラインも地上区間はBTSスカイトレインと同じく幹線道路の直上に建設されており、道路上で十字型にパープルラインとブルーラインが立体交差するタオプーン駅はまさに要塞駅といった様相である。バンスー駅からの無料シャトルバスはその要塞駅の足元に到着。エスカレーターで駅に入っていくが、すでに人がまばら。大丈夫かこれ。

ホームに上がるとちょうど列車が到着したところであった。おお、人がいる! 人がいるではないか! それなりに利用があるのだな。折返しのクロン・バンパイ行も、タオプーンの時点では座席が5割埋まった状態で発車。ガラガラということを聞いていたので、思っていたよりも乗っているという印象であった。しかし、その喜び(?)はつかの間。当たり前だが郊外方面に進むにつれて乗客は減る一方、ノンタブリー・シビックセンター駅を過ぎた頃には1両で、終点のクロン・バンパイ駅の時点では編成全体で片手で数えられる程度であった。こういうのをガラガラと言うのだろうか・・・言うんだろうなあ。

列車は幹線道路上に建設された高々架上を進んでいく。パープルラインは今のところ全区間が高架で、ブルーラインのほとんどの区間が地下であるのとは対照的だ。BTSスカイトレインも幹線道路上の高架を走るが、スカイトレインが都心部に林立した高層ビルの隙間を縫っていくのに対し、郊外を走るパープルラインは周辺の建物も低く、見晴らしがたいへんよくて気持ちがいい。バンコクのベッドタウン化が進むノンタブリーの様相を観察するにはちょうど良さそう。

ということで、タオプーンから乗って35分、終点のクロン・バンパイに到着。クロン・バンパイ駅の周辺には何もないので、さっさと折返して帰ってきた。

X63056.jpg

バンコクMRT クロン・バンパイ駅の外観
2016.10.24/**

▲郊外側の終点、クロン・バンパイ駅の外観。幹線道路の直上に巨大なコンクリート構造物が建つ様子は日本ではなかなか見られない。道路の広さが郊外っぽさを感じさせる
X63059.jpg

バンコクMRT クロン・バンパイ駅のコンコース
2016.10.24/**

▲がらんどうとしたクロン・バンパイ駅のコンコース。MRTでは乗車の際にセキュリティチェックを受ける必要があるが、セキュリティのスタッフが暇そうにしている
X63070.jpg

バンコクMRT ウォンサワン駅のホーム
2016.10.24/**

▲ホームの様子。混雑激しいスカイトレインの反省からか、各駅とも広く作ってある。駅の構造は各駅ともだいたい同じで、将来の乗客増に備えて6両までの増結に対応
X63064.jpg

バンコクMRT パープルライン車両基地
2016.10.24/**

▲クロン・バンパイ駅に隣接するパープルラインの車両基地を車内から眺める。車両基地は高架式となっているが、これは洪水対策ということのよう

◆ ◆ ◆

さて、乗客が少ない理由はいくつか指摘されている。まずはやはり都心方面への接続の悪さであろう。タオプーンで接続予定のブルーラインもこの時点ではまだ開通しておらず、ブルーラインに乗り継ぐ場合は無料シャトルバスを利用する必要があった。現在ではブルーラインのバンスー〜タオプーン間が開通し、パープルラインはブルーラインと接続しているが、ブルーラインはバンコクの東側へ大きく回って都心に向かう路線であり、都心方向への短絡ルートを採るのであればバンスー駅で国鉄へ、チャトチャック公園駅でBTSへなどの乗換えを強いられる。

加えて、運賃が高いらしい。運賃が高い上に都心方向にも直通しないのであれば、多少時間がかかっても運賃が安くて都心に直通するバスを利用してしまいたくなるところであろう。ただし、運賃については開業して早々の2016年9月に値下げしたのに加え、2017年3月からは土日に限っては全線均一15バーツという出血大サービスが実施されているようなので、多少はマシな状況になっている模様。ここらへんのフットワークの軽さはさすがというべきか。

もっとも、現在では日中時間帯でも混雑の激しいBTSの2線も最初はこんな感じだったようなので、パープルラインの閑散っぷりも時間が解決してくれることであろう。パープルラインの都心方向への延伸やバンコクの経済成長に伴う沿線の開発が進めば乗客は増えていくはずである。そういう意味では、現在ではだいぶ持て余している3両編成も将来的にはそれで大丈夫なの? と逆に心配にならないでもないところ。

◆ ◆ ◆

走行音を録ってきたので掲載する。VVVFインバーターは東芝製。

バンコクMRT1002 Bang Son→Wong Sawang

バンコクMRT1002 Bang Krasor→Yaek Nonthaburi 1

バンコクMRT1002 Talad Bang Yai→Khlong Bang Phai

関連記事

タイ バンコク交通見聞 2016年秋 4 - 建設中のバンスー新ターミナル駅

MRTパープルラインを1往復し、シャトルバスでバンスー駅に戻ってきた。そのついでにタイ国鉄のバンスー駅を少しばかり観察。タイ国鉄のバンスー駅は、巨大な車庫や貨物駅も併設するタイ国鉄の要所のひとつ...

タイ バンコク交通見聞 2016年秋 4 - 建設中のバンスー新ターミナル駅
タイ バンコク交通見聞 2016年秋 2 - MRTパープルラインに乗る

昨年の秋に訪れたバンコクで開通したばかりのMRTパープルラインに乗ってきてみたので、そこらへんのことをレポートしたいと思う。2016年8月6日に開通したパープルラインは、MRTとしては...

タイ バンコク交通見聞 2016年秋 2 - MRTパープルラインに乗る
タイ バンコク交通見聞 2016年秋 1 - バンコク都バス モーチット2車庫

ちょうど1年前のことになってしまったのだが、タイに行ってきましたよっ。バンコクを中心にブラついてきたので、例によって備忘録的にあれこれ記していきたいと思う。さて、今回はバスネタから。前回の...

タイ バンコク交通見聞 2016年秋 1 - バンコク都バス モーチット2車庫
タイ 灼熱のバンコク交通見聞 6 - バンコクのバスあれこれ2

バンコクの交通見聞、前回に引き続き戦勝記念塔の大ロータリーにて撮影したバンコクのバスをご紹介。直営エアコンバス(ユーロ2バス) BMTA直営のエアコンバスである。1998年から2000年代初頭に...

タイ 灼熱のバンコク交通見聞 6 - バンコクのバスあれこれ2
タイ 灼熱のバンコク交通見聞 5 - バンコクのバスあれこれ

というわけで、バンコクでも適当にバスを撮ってみた。帰りの飛行機までの時間調整を兼ねてバンコクの交通における要所の1つ、戦勝記念塔(Victory Monument)の大ロータリーに行ってみた...

タイ 灼熱のバンコク交通見聞 5 - バンコクのバスあれこれ

最新記事

京成3100形・3050形「成田スカイアクセス線開業10周年」ヘッドマーク

祝・成田スカイアクセス線開業10周年。京成電鉄では7月17日に成田スカイアクセス線開業10周年を迎えるにあたりさまざまな記念施策を実施している。AE形にヘッドマークを掲出していることをお伝えした...

京成3100形・3050形「成田スカイアクセス線開業10周年」ヘッドマーク
京成線の終電繰り上げと始発繰り下げ 新ダイヤを予想する

新型コロナウイルス感染症の流行による深夜の鉄道利用の減少と、夜間の保守作業の時間確保を目的に、JR東日本を始めとした首都圏の各鉄道事業者では終電の繰り上げがひとつのトレンドになっている。このほど...

京成線の終電繰り上げと始発繰り下げ 新ダイヤを予想する
京成AE形「成田スカイアクセス線開業10周年」ヘッドマーク

祝・成田スカイアクセス線開業10周年。7月に開業10周年を迎えた成田スカイアクセス線。京成電鉄ではこれを記念したさまざまな施策が実施されているところであるが、この一環としてAE形がヘッドマークを...

京成AE形「成田スカイアクセス線開業10周年」ヘッドマーク
京成電鉄「2020年度 鉄道事業設備投資計画」を読む

11月10日、京成電鉄より2020年度の鉄道事業設備投資計画が発表された。これを読んで、同社の今後の動きを探ってみよう。例年は5月中旬頃に発表されている京成の鉄道事業設備投資計画だが、今年度は...

京成電鉄「2020年度 鉄道事業設備投資計画」を読む
四直珍列車研究 111 - 平日 1111T

ある列車で起こったミラクルな話。平日1111Tレはかつて運転されていた羽田空港国内線ターミナル発印旛日本医大行である。日中時間帯に設定されている羽田空港〜北総線系統の一列車にすぎず、見た目的には...

四直珍列車研究 111 - 平日 1111T

海外の鉄道新線開業 海外 走行音