KSWeb

鉄道やバスなど、公共交通に関するディープな話題をお届けしています。

etc...

エトセトラ

2018.03.01

さて、泰緬鉄道を訪ねてみようってことでバンコクからの1dayトリップ。バンコク=トンブリー駅からナムトック行の鈍行列車257レに乗る。

X62953.jpg

タイ国鉄 客車列車
2016.10.23/**

▲タイ国鉄の客車列車。木製のサボが現役で使用されている

列車は機関車+客車6両という構成。最後尾の1両が業務用車を兼ねているほかはごく一般的な客車である。牽引機は4000番台を名乗るGE製のディーゼル機関車で、1960年代に導入されたタイ国鉄では最古参級のもの。本日の257レを牽引するのは旧塗装の4018号機だが、更新により新塗装になった車両もいるらしい。それにしても、支線に行く列車として6両というのはなかなか重量級の編成のように思われる。

せっかく客車列車に乗るのだから、列車の最後部で風景を過ぎ行く線路とともに眺めたいと思って最後尾の車両に乗ろうとしたら、前の5両に行けと言われてしまった。やはり業務用車だから? と思いきや、僧侶専用ということらしい。後から調べると、僧侶専用車や僧侶専用席というのは、僧侶に対する尊敬の念が強い仏教国タイではよくある措置のようだ。

X62875.jpg

タイ国鉄 4000形ディーゼル機関車
2016.10.23/Thon Buri

▲少々年季の入ったタイ国鉄4000形ディーゼル機関車。本日お世話になるのは1963年製の4018号機
X62861.jpg

タイ国鉄 3等客車
2016.10.23/Thon Buri

▲タイ国鉄の3等客車群。日本製とベルギー製のほかタイ国鉄のマッカサン工場製が混ざる
X62912.jpg

タイ国鉄 3等客車の車内
2016.10.23/**

▲3等車の車内の様子。ボックスシートは3人がけと2人がけが並ぶ詰め込み仕様。座席が木製の車両もあったが、お尻が破壊されそうなのでさすがにそちらへは乗らず

8時になってようやくナムトック行257レはトンブリー駅を出発。定刻だと7時50分発だから、始発時点で10分の遅れである。バンコク=トンブリー〜タリンチャン・ジャンクション間は南本線の支線といった趣きで、単線の線路は状態もあまりよくなく、列車は速度を落として運転している。おかげさまで揺れが酷い。こんなんがあと7時間1)も続くのかよ・・・と出だしから不安になってしまったが、タリンチャン・ジャンクションでフアランポーン方面からやってくる南本線に合流すると、さすがは本線ということもあってこちらは複線、かつ整備状況もよく、列車は快調に飛ばし始めた。

これだけ蒸し暑い中で非冷房の客車はどうだろうと思っていたが、窓全開で走る客車の中には涼しい風が入ってきてなかなか心地が良い。風を直に浴びながらの列車旅は、まさに旅をしている気分にさせてくれる。ただし、異国の地の列車旅に舞い上がって窓から手や顔を出すのはくれぐれもNG。線路際ギリギリのところまで雑草が生い茂っている箇所がところどころにあって、これはフツーにあぶねえ。

257レは快調に進み、世界一大きな仏塔があるというナコーンパトムを過ぎると再び単線区間に突入する。この日は対向列車の遅れによる長時間交換待ちも特に発生せず、運行はそこそこ順調。日によっては遅れが遅れを呼んで大変なことになると聞いていたので、ラッキーであった。ノーンプラドゥック・ジャンクションから南本線と別れ、ナムトック支線に突入。そこからさらに1時間ほど走って、ひとまずカンチャナブリーに到着。時刻は10時35分、これだけ走って10分の遅れを維持したままだったのは、タイ国鉄にしてはかなり優秀な成績かと思われる。

X62888.jpg

タイ国鉄 257レの車窓から
2016.10.23/**

▲鈍行なのでこういった小さな駅にも停車していく
X62901.jpg

タイ国鉄 257レの車窓から
2016.10.23/**

▲カンチャナブリー駅に到着。バラストを積んだ工事列車が停まっている。奥に見える客車は観光列車915レで、当駅より257レの前方に併結

ナムトック支線・・・もとい、泰緬鉄道の本丸はここカンチャナブリーからと言える。クウェー川鉄橋やチョンカイの切り通し、アルヒル桟道橋などの見どころが続いているのはここからなのだ。と同時に、乗客が一気に爆増。カンチャナブリーから乗り込んできた人々で車内の空席がみるみるうちに埋まっていった。最初の方で疑問に感じた6両でも、まさかのまさかで大混雑。泰緬鉄道ってそんなに人気の観光地だったのね・・・。さらに、257レはカンチャナブリーでナムトック方に915レという5両の観光列車2)を併結する。列車は機関車+客車11両というおおよそ支線を走るとは思えない陣容となり、さらにナムトック方面へと進んでいく。

  • 1)バンコク=トンブリー→ナムトック→カンチャナブリーという行程で7時間。細かいことは前回の記事を参照。
  • 2)観光列車915レは乗車料金300バーツで全席指定制。スナックとソフトドリンクが付く模様。車両は257レのような一般客車が用いられる。

関連記事

タイ国鉄 泰緬鉄道の旅 3 - ナムトック支線を行く

泰緬鉄道を訪ねてみようってことでバンコクからの1dayトリップ。バンコクのトンブリー駅から客車に揺られて3時間弱、泰緬鉄道観光の要所カンチャナブリーに着いた。ここからさらに4時間ほど列車に乗り...

タイ国鉄 泰緬鉄道の旅 3 - ナムトック支線を行く
タイ国鉄 泰緬鉄道の旅 1 - 早朝のバンコク=トンブリー駅

タイ国鉄の列車に乗って1dayトリップ。2015年2月にタイを訪れた時はメークローン線の線路市場を見に行ったけど、今回はさらに足を延ばして泰緬鉄道を訪ねてみた。泰緬鉄道とは、字のごとくタイと...

タイ国鉄 泰緬鉄道の旅 1 - 早朝のバンコク=トンブリー駅
タイ バンコク交通見聞 2016年秋 6 - 14系・24系改造の豪華車両

バンコクのフアランポーン駅。14系・24系客車が留置されているホームにてさらに歩を進めると、なにやら凄い雰囲気の客車がいるではないかっ。14系・24系を改造した豪華車両である。JR西日本より...

タイ バンコク交通見聞 2016年秋 6 - 14系・24系改造の豪華車両
タイ バンコク交通見聞 2016年秋 5 - タイ国鉄の14系・24系

ところ変わってフアランポーン駅である。今回はホテルがフアランポーン駅の近くだったもんで、これ幸いにと駅の様子をちょくちょくと見に行くことができた。前回の記事にてバンスー新ターミナルをご紹介したが...

タイ バンコク交通見聞 2016年秋 5 - タイ国鉄の14系・24系
タイ バンコク交通見聞 2016年秋 4 - 建設中のバンスー新ターミナル駅

MRTパープルラインを1往復し、シャトルバスでバンスー駅に戻ってきた。そのついでにタイ国鉄のバンスー駅を少しばかり観察。タイ国鉄のバンスー駅は、巨大な車庫や貨物駅も併設するタイ国鉄の要所のひとつ...

タイ バンコク交通見聞 2016年秋 4 - 建設中のバンスー新ターミナル駅

最新記事

北総7300形 臨時特急「ほくそう春まつり号」運転(2024年)

今年も春がやってきた。4月21日、北総鉄道が主催する「ほくそう春まつり」の開催に合わせて臨時特急「ほくそう春まつり号」が運転された。昨年、八千代台始発として5年ぶりに運転された当列車だが、今年は...

北総7300形 臨時特急「ほくそう春まつり号」運転(2024年)
千葉シーサイドバス路線図 2024年4月1日版

当Webサイトでは、2023年3月の「千葉シーサイドバス路線図 2023年3月1日版」と題する記事にて千葉シーサイドバスの路線図を公開していたところであるが、約1年ぶりに改訂版を発行する。千葉...

千葉シーサイドバス路線図 2024年4月1日版
京成グループ 車両の動き(2023年度)

京成グループにおける2023年度の車両の動きをまとめてみよう。まずは京成。ここ数年は列車無線のデジタル化に伴う予備車の存在や2度にわたる脱線事故の影響などでイレギュラーな車両の動きが続いていたが...

京成グループ 車両の動き(2023年度)
北総7500形 「北総1期線開業45周年記念」ヘッドマーク

北総線開業45周年記念。北総鉄道では、3月上旬より7500形おいて「北総1期線開業45周年記念」ヘッドマークの掲出を行っている。表題のとおり北総1期線(新鎌ヶ谷〜小室)の開業45周年を記念した...

北総7500形 「北総1期線開業45周年記念」ヘッドマーク
タイ国鉄 フアランポーン駅の現在

クルンテープ・アピワット中央駅に続いて、かつての中央駅、フワランポーン駅も訪ねてみた。2023年1月にバンコクの中央駅の地位をクルンテープ・アピワット中央駅に譲ったフアランポーン駅。中央駅の移転...

タイ国鉄 フアランポーン駅の現在