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エトセトラ

2018.03.15

​国鉄型車両を訪ねて、その23はJR北海道のキハ183系をば。

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JR北海道キハ183系 国鉄色リバイバルカラー
2009.11.21/伊香牛

▲2009年11月に運転された団体臨時列車「ありがとう30周年183系国鉄色号」

今年もJR各社のダイヤ改正の時期がやってきた。JRのダイヤ改正においては、どれそれの車両や列車が新しく走り始めるだの引退するだの、大きな動きが発生するまさに一大イベント。春のダイヤ改正は例年12月中に発表されるが、その時点からそわそわされる方も多いのではないかと思われる。

JR北海道では、キハ183系のいわゆるスラントノーズといわれる先頭形状の車両が引退するとのこと。これに便乗して以前に撮影したキハ183系の国鉄特急色リバイバルカラーの写真を出してみようと思う。

2009年11月に運転された団体臨時列車「ありがとう30周年183系国鉄色号」である。列車名にある30周年とは、キハ183系が登場してから30周年という意味で、これを記念した列車となっていた。使用されたのは、当時国鉄色のリバイバルカラーとなっていたキハ183-2+キハ182-2+キハ182-1+キハ183-1の4両編成であった。

・・・とまあ、これだけならこの頃流行っていたリバイバルカラーの車両を使用したありがちなイベント列車のように見えるが、「ありがとう30周年183系国鉄色号」が凄いのはその行程。3日間をかけて北海道を1周してしまおうという壮大なものであった。以下にその行程を記す。

  • 11月21日:旭川→遠軽→北見→網走→北浜→知床斜里→川湯温泉→摩周→釧路
  • 11月22日:釧路→池田→帯広→新得→追分→苫小牧→東室蘭→長万部→函館
  • 11月23日:函館→長万部→倶知安→小樽→札幌→岩見沢→滝川→深川→旭川

。いやはや、凄い行程である。旭川を起点にして北海道をぐるぐる、一生分のキハ183系という感じである。3日間の走行距離は、営業キロで1400km弱にも及ぶ。北海道はでっかいどうなのだ。

さらに、キハ183系の節目を祝う列車らしく、各区間ごとに異なる愛称幕を掲出しての運転となった。これは以下のとおり。

  • 旭川→遠軽:おおとり
  • 遠軽→網走:オホーツク
  • 網走→釧路:北海道鉄道百景スタンプラリー1)
  • 釧路→帯広:おおぞら
  • 帯広→新得:とかち
  • 新得→苫小牧:まりも
  • 苫小牧→函館:北斗
  • 函館→長万部:ミッドナイト
  • 長万部→旭川:北海
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JR北海道キハ183系 国鉄色リバイバルカラー
2009.11.22/新得〜十勝清水

▲「とかち」の愛称幕を掲出して根室本線を走るキハ183系

そして私はというと、この時たまたま北海道に行く用事があったので、ついでに撮影できるじゃん〜ってことで、追っかけ・・・るはずが、ダイヤがよくわからなかった2)こともあって、撮影できたのは3発のみ。今ならもう少し上手いことやっていると思うが、あのころは若かった(たぶん)・・・。しかし、結果的にキハ183系の国鉄色リバイバルカラー編成はこの団臨が最後の営業運転になってしまったようなので、撮影できただけでも御の字・・・ということにしておこう。

◆ ◆ ◆

さて、JR北海道についてはその窮状が報道等によって伝えられるところである。車両や設備は老朽化すれども、満足に更新できない状況が続いているという。2009年で30周年だったキハ183系もこの記事を掲載した時点で39年目となっているが、経年車両の引退を車両の新造だけでなく列車の減便を合わせて実施して行っていることからして、切実さが伝わってくる。

このような状況では、こういったイベント列車の運転もしづらかろうと思う。実に不幸なことである。外野の人間にはその推移を見守ることしかできないが、せめてフワフワした状況にある北海道の鉄路の方向性だけでも、早いところ定まってくれればと願う。元気なJR北海道が帰ってきてほしい。

  • 1)2001年か2002年くらいに運転された団臨用の幕だったかと思う。
  • 2)頼りのダイヤ情報誌の団臨ダイヤ情報欄もこの列車に限って時刻が非掲載であった。

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