2018.04.12
JR東日本では、2018年3月のダイヤ改正にて横須賀・総武快速線で使用していた「エアポート成田」の愛称を廃止した。今さらながら、「エアポート成田」とはどんな列車だったのか、簡単に振り返ってみよう。
時は1991年。この年、成田空港の空港ターミナルの直下に成田空港駅が開業する。それまでは京成電鉄が独自に成田空港駅1)を空港至近に設けて空港輸送を行っていたが、バス連絡が必要で不便だったということもあり、成田空港の空港としての国際競争力のためにもアクセス改善が求められていた。そこで、成田新幹線用に建設した施設を転用することとし、JR東日本と京成をそれぞれ空港直下に乗入れさせることにしたのだった。
かくして、JR東日本としても成田空港輸送に参入することになった。空港輸送は特急列車と一般列車の2本立てとし、特急列車は「成田エクスプレス」を新設、一般列車は横須賀・総武快速線の一部を成田空港まで直通させることにした。この成田空港行の列車に与えられたのが「エアポート成田」という愛称であった。
「エアポート成田」という愛称の面白いところはその使用方。「エアポート成田」の愛称は成田空港行の列車のみに使われており、上り列車は成田空港始発であっても「エアポート成田」を名乗らなかった。また、横須賀・総武快速線の列車は横須賀線内普通、総武快速線内は快速として運転されている中で、「エアポート成田」の場合は前者が「普通『エアポート成田』」、後者が「快速『エアポート成田』」という案内がなされており、種別によらない愛称になっていたのも興味深いところであった。
このほか変わり種の列車としては、特別快速「エアポート成田」というのがあった。1991年から翌92年のわずかな間、1日1往復の臨時列車として運転されていたものである。総武快速線内の停車駅は東京、錦糸町、船橋、津田沼、千葉、成田、成田空港2)という速達列車で、従来の総武線快速とは停車駅が異なることから、この列車に限り上り方向も特別快速「エアポート成田」として走った。1994年に登場したE217系においても特別快速「エアポート成田」に関連する行先表示が用意されており3)、過去にそういう列車が走っていたことの名残をとどめている。もし仮に同列車が現在も何らかの形で運転されていたなら、「エアポート成田」の愛称の行方も違うものになっていたのかもしれない。
JR東日本によれば、「エアポート成田」の愛称廃止の理由は、特急「成田エクスプレス」との違いを明確にするためであるという。確かに、「エアポート成田」が到着する際、駅のホームでこの列車は「成田エクスプレス」ではないという旨の英語放送がしきりに流されていた。外国人旅行者を中心に誤乗が多いのだろうということを伺わせており、インバウンドが増加しているこのタイミングで愛称をなくしてしまおうというのもわかるというものだ。
とは言え、27年間使い続けてきたものを取りやめるのも今さらのように思われるのだが、冷静になって考えると「エアポート成田・成田空港行」って成田空港と2回言っているだけである。外国人にしてみたら、The Airport Narita train for Narita Airport で空港成田で成田空港?? 何言ってだこいつHAHAHAとなっている気がしないでもないので、ここらへんももしかしたら愛称の廃止に影響していたりして??
4/14加筆しました
- 1)現在の東成田駅である。
- 2)大船発着の特別快速「エアポート成田」の場合、横須賀線内は各駅に停車していた。
- 3)「特別快速エアポート成田・成田空港」、「特別快速エアポート成田・東京」、「特別快速エアポート成田・大船」の3コマが用意されている。
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