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エトセトラ

2018.08.09

バンコクを走るBTSスカイトレイン。交通渋滞の激しいバンコク中心部を移動するには大変便利な乗りものだが、既存市街地の中を高架で建設しただけあってところどころにちょっとこれ強引じゃね? と思ってしまいたくなるような箇所が存在する。そんなスカイトレインのちょっと強引な線形を見ていこう。

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バンコクBTS
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▲チョン・ノンシー駅付近の急カーブを走るBTSスカイトレイン

その3は、シケイン。まずは、シケインという言葉を説明する必要があろう。シケインとは、自動車レースなどで強制的に減速させるためコースに設置される障害物である。半径の小さなS字カーブがこれに該当し、300km/hをゆうに超すF1マシンも低速での通過を強いられる。こうすることで、サーキットを走るマシンのスピードが抑制されて安全につながるとともに、レース中の1番の見どころであるマシンどうしの追い抜きが発生しやすいようになっているそうなのだ。

自動車レースには有用なシケインだが、そんなものが鉄道に適しているわけがないのは自明の里であろう。大量高速輸送機関は、なるべくスムーズに走ることに越したことはないのである。ところが、道路の上を高架で走るバンコクのスカイトレインは、構造物を道路の直上の空間に収めなければならない都合で、シケインとも言える線形が出現してしまっている。シーロム線、チョン・ノンシー駅付近の連続急カーブがそれだ。

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チョン・ノンシー駅付近の航空写真

▲チョン・ノンシー駅付近の航空写真。豪快にS字を描いているのがBTSの高架線。中央にあるのがチョン・ノンシー駅
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バンコクBTS
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▲ビルの隙間からヌッと現れて・・・
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バンコクBTS
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▲電車はチョン・ノンシー駅に滑りこんでくる

そのえげつない線形は航空写真を見ていただければ一目瞭然。見事なS字急カーブを描いた高架の軌道はまさしくシケインだ。しかも、曲線半径をかせぐため本カーブに入る前にいったん反対方向に振っているというのも見どころである。サイアムのジャンクションでスクンヴィット線から分岐したシーロム線の軌道は、 ラーチャダムリ通りを南下した後、サラデーンの交差点からシーロム通りを西向きに走る。ところが、この先シーロム通りは行き止まり、チャオプラヤ川を渡る橋は1本南のサートン通りにある。そこで、幅員に余裕のあるナラティワート・ラチャナカリン通りを利用して、走る通りを南に1本ずらしているというわけ。

繰り返しになるが、やはりこれもスカイトレインが高架を走る鉄道だからこその事象であろう。これが地下鉄だったなら、建物の下にトンネルを構築するなどしてもっとマシな線形にできた可能性がある。とは言え、ビル群のはざまを右に左に抜けていくスカイトレインの姿は、まさしく都市の中を走る鉄道ならではの光景になっている。

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