2018.09.17
バンコクを走るBTSスカイトレイン。交通渋滞の激しいバンコク中心部を移動するには大変便利な乗りものだが、既存市街地の中を高架で建設しただけあってところどころにちょっとこれ強引じゃね? と思ってしまいたくなるような箇所が存在する。そんなスカイトレインのちょっと強引な線形を見ていこう。
最後にご紹介するのは、ボトルネック。都市の中を走る大量高速輸送機関として建設されたバンコクBTSは全線にわたり複線となっているが、ごくわずかながらに単線区間が存在する。単線なのは、シーロム線のサパーン・タクシン(タクシン橋)駅の前後約400メートルの区間。京成金町線のように終点付近だけ単線になっているというパターンはときどき見かけるが、BTSの路線図を見てみるとサパーン・タクシン駅はれっきとした中間駅。サパーン・タクシン駅まではもちろん複線だし、同駅を過ぎれば再び複線に戻る。どうしてこんなことになっているのだろうか。
サパーン・タクシン駅は、1999年にシーロム線が最初に開業したときに設けられた暫定の終点駅であった。この場所に暫定の終点として駅が設けられた理由は、近くを流れるチャオプラヤ川の水上交通機関であるチャオプラヤ・エクスプレス・ボートとの接続を考慮したため。交通渋滞が名物とまで言われるバンコクでは、渋滞の影響を受けない水上交通が多くの人々に利用されており、チャオプラヤ・エクスプレス・ボートとBTSの乗り継ぎポイントが必要だったのである。
暫定の駅であるため、駅の構造も強引である。高架橋の南側半分にホームを構築し、複線分のスペースを1面1線の駅として使用。サパーン・タクシン駅を潰せば通常の複線として使える構造になっている。
ところが、2009年にシーロム線がウォンウィアン・ヤイ駅まで延伸してもサパーン・タクシン駅は廃止とならなかった。それどころか、2018年の現在もいまだにサパーン・タクシン駅は存在し続けている。実際に、チャオプラヤ・エクスプレス・ボートとBTSとの乗り継ぎは現在も大いに活用されており、私がこの時に訪れたプミポン国王崩御直後のバンコクでは、弔問の場となっていた王宮前広場に渋滞を避けてチャオプラヤ川からアクセスする人も多く、サパーン・タクシン駅は終日大混雑となっていた。
サパーン・タクシン駅を発着する電車は、原則的に都心方面行と郊外方面行の交互発着となっているようである。しかし、混雑激しいBTSでは増発しようにもサパーン・タクシン駅があるおかげで列車間隔をこれ以上詰めることができず、まさしくボトルネックの様相を呈している。本当にどうするんだろうか、これ。
いちおう、ひとつ隣のスラサック駅からここまで動く歩道を整備する計画もあるようだが、計画が進んでいるようには見えなかった。こんなことになるのなら、初めから動く歩道を整備しておくか、サパーン・タクシン駅をちゃんとした駅としておけばよかったのにと思う。
(完)
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