KSWeb

鉄道やバスなど、公共交通に関するディープな話題をお届けしています。

Article

記事

2019.04.07

東京都交通局、京成電鉄(芝山鉄道)、京急電鉄、北総鉄道(千葉ニュータウン鉄道)の様々な車両が入り乱れ、百花繚乱の直通運転を行っている"四直"。その中でも、唯一無二の形態を持つ車両たちが我々をさらに楽しませてくれている。そんな「四直の異端車たち」を適当に紹介していこう。

Y53404.jpg

京急新1000形 1367編成
2018.3.7/杉 田

▲2015年度に登場した新1000形1367編成。見た目はフツーの1300番台の6両編成だが・・・?

2002年度にデビューした京急新1000形は現在に至るまで増備が続けられ、いまや京急を代表する通勤型車両となっている。最初に登場したのは車体がアルミ製の8両編成だったが、4両編成の1400番台や6両編成の1300番台・1600番台、先頭車どうしを貫通幌付きで連結できるようにした1800番台が登場。また、2006年度末に登場した6次車から車体をステンレス製にして床下機器を一新するなど、もはやこれら全部が同一形式と言っていいのかわからなくなるくらいバリエーションに富んだ形式となっている。

そんな新1000形の中で、異端車となっているのが1367編成である。2015年度に15次車として製造された1367編成は、見た目こそフツーのステンレス製6両編成であるものの、東芝製の4in1VVVFインバーターと全閉型永久磁石同期電動機(PMSM)を採用1)し、他の1300番台とは一線を画す車両となった。当時、PMSMは京王8000系や東武30000系、西武6000系でも機器更新によって搭載車両がお目見えしており、関東大手私鉄でにわかに流行りを見せていたものが京急にも登場したのだった。

PMSM搭載車の特徴は、やはりその走行音に現れよう。東芝製VVVFインバーターとPMSMが奏でる独特なサウンドは、聴いただけでそれと分かるもの。そして、何たる静粛性。京急のことを路地裏の暴走族超特急とはよく言ったものだが、静かに駆け抜けるその様はまさに新時代の京急・・・!

京急新1000形デハ1371 神奈川新町→仲木戸

京急新1000形デハ1371 井土ヶ谷→弘明寺

・・・かと思ったら、PMSMを搭載した新1000形は後には続かなかった。翌2016年度には車体にフルラッピングを施したマイナーチェンジ仕様の16次車が登場するが、8両編成が制御装置にフルSiCを適用したVVVFインバーターを新しく採用したのに対し、6両編成は番号こそ1600番台に移行したものの床下機器はほとんど従来のままとなった。1600番台は800形を置換えるべく猛烈な勢いで増備が進められているが、いずれの編成でも走行時で聴こえてくるのは東洋電機製VVVFインバーターの凡庸な音である。また、新1000形では更新によってVVVFインバーターの換装が進み、一部の編成では東芝製のものが採用されているが、主電動機はPMSMではなく通常の誘導電動機になっている。

結果的に京急におけるPMSMはいまのところこの1367編成のみとなり、新1000形の中で唯一無二の形態となっている。京急線を利用する際に運良くこの編成に乗れたならば、ぜひその音に注目してみてほしい。

関連記事

四直の異端車たち 3 - 北総鉄道(千葉ニュータウン鉄道)9200形・9800形

東京都交通局、京成電鉄(芝山鉄道)、京急電鉄、北総鉄道(千葉ニュータウン鉄道)の様々な車両が入り乱れ、百花繚乱の直通運転を行っている"四直"。その中でも、唯一無二の形態を持つ車両たちが我々を...

四直の異端車たち 3 - 北総鉄道(千葉ニュータウン鉄道)9200形・9800形
四直の異端車たち 1 - 都営5300形5327編成

東京都交通局、京成電鉄(芝山鉄道)、京急電鉄、北総鉄道(千葉ニュータウン鉄道)の様々な車両が入り乱れ、百花繚乱の直通運転を行っている"四直"。その中でも、唯一無二の形態を持つ車両たちが我々を...

四直の異端車たち 1 - 都営5300形5327編成
京急新1000形 16次車マイナーチェンジ車両

京急電鉄では2002年より新1000形を導入しているが、このほど仕様を一部変更したマイナーチェンジ車両が2016年11月より走っている。この新1000形マイナーチェンジ車両について、特徴などを...

京急新1000形 16次車マイナーチェンジ車両
京急新1000形1800番台 登場

京急電鉄では2002年より新1000形を導入しているが、このほど車両デザインを一部変更した1800番台が登場した。3月4日より4両編成2本が営業運転に入っている。1800番台の最大の特徴は貫通形...

京急新1000形1800番台 登場
京急新1000形6両編成 登場

京急では2002年より新1000形を導入しているが、このほど新1000形としては初めてとなる6両編成が登場した。1301編成が4月25日より、1307編成が5月2日より運用に入っている。京急に...

京急新1000形6両編成 登場

最新記事

2025.05.05

北総9100形 デビュー30周年記念ヘッドマークを掲出

走り続けて30年。北総鉄道では、4月1日に同社が管理を行っている9100形がデビュー30周年を迎えたことを記念して、ヘッドマークの掲出を実施している。ヘッドマークを掲出しているのは9100形の...

北総9100形 デビュー30周年記念ヘッドマークを掲出

2025.04.30

京成線 駅別乗降人員ランキング(2024年度)

2024年度の京成線の駅別乗降人員ランキング! 京成線の全69駅において、どの駅の利用が多いのか少ないのか。京成電鉄が毎年公表しているデータを基に、2024年度の駅別乗降人員をランキング形式で...

京成線 駅別乗降人員ランキング(2024年度)

2025.04.26

京成電鉄バスグループ バス事業の大再編を実施

表現するならば、「激震」。4月1日、京成グループでは傘下のバス事業会社の再編を実施した。京成電鉄の完全子会社となる京成電鉄バスホールディングスを持株会社として新たに設立。その上でグループ15社...

京成電鉄バスグループ バス事業の大再編を実施

2025.04.20

北総9800形 臨時特急「ほくそう春まつり号」運転(2025年)

今年も春がやってきた4月20日、臨時特急「ほくそう春まつり号」が運転された。同日に北総鉄道がイオンモール千葉ニュータウン提携駐車場で開催するイベント「ほくそう春まつり」に合わせて運転される恒例の...

北総9800形 臨時特急「ほくそう春まつり号」運転(2025年)

2025.04.15

京成グループ 車両の動き(2024年度)

京成グループにおける2024年度の車両の動きをまとめてみよう。2024年度の車両の動きの目玉は、やはり3100形以来6年ぶりの新型車両となる3200形が登場したことであろう。今年度は日本車両製の...

  • 京成
  • タグはありません
京成グループ 車両の動き(2024年度)