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エトセトラ

2019.04.12

ついにベールを脱いだ京成電鉄の新型車両、3100形(3150形)。京成電鉄では、かねてより2019年度中における新形式通勤型車両の導入を明らかにしていたが、このほどその新型車両が3100形として正式に発表された。プレスリリース1)などを読んで、新型車両と新型車両の導入で起こりうる車両の動きなどを考えてみよう。

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京成3150形 イメージ

▲秋のデビューを目指す新型車両3100形。今年度に登場する車両は成田スカイアクセス線仕様として導入されることから、同線のラインカラーとなっているオレンジ色の帯を巻いているのが特徴。番号も3150番台となっている(画像は京成公式HPより)

まずは、今回の新型車両発表で新たに明らかになったことを整理しておこう。大雑把にまとめると以下のような感じだろうか。

  • 形式は3100形
  • ただし今年度に導入するのは成田スカイアクセス線仕様の車両で、3150番台を名乗る。
  • 今年度は8両編成2本を導入。来年度以降も継続して導入予定。
  • 車体は3000形と同じ日車式ブロック工法を採用。
  • カラーリングは、3050形とは別の、成田スカイアクセス線のラインカラーであるオレンジ色の帯を巻いた新しいものを採用。
  • 制御装置にはSiCを適用したVVVFインバーターを採用。
  • 車内設備として、折り畳み座席を活用したスーツケース置場やフリースペース、無料Fi-Wiサービス、防犯カメラなどを導入。
  • IR無線を搭載。SR無線は準備にとどまる。
  • 新京成電鉄と共同設計。合わせて新京成仕様の80000形も登場。
新型車両は成田スカイアクセス線仕様の3150形

今回の京成電鉄からの発表で、新型車両が成田スカイアクセス線仕様で導入されるということに驚かされたという方も少なくあるまい。かくいう私もそのひとり。てっきり新型車両は3600形と3400形の置換え用として京成本線に入るものとばかり思っていたので、成田スカイアクセス線のオレンジ色の帯を巻いた新型車両のイメージ図を目の前にした瞬間、思わずそっちか〜〜い!! と叫んでしまったものである。

何はともあれ、新型車両は3100形ということになった。ただし、少なくとも今年度に導入される2編成は成田スカイアクセス線仕様として導入され、3100形は1次車からして3150番台を名乗っている。成田スカイアクセス線仕様の3000形、すなわち3000形7次車が3050形と通称されていることに倣えば、この2編成は3150形ということになるだろうか。各車両の付番方はイメージ図の中で3151-1という番号が読み取れることから、第1編成を3151編成として上野方から3151-8、3151-7、・・・、3151-1というふうになる模様。要するに3000形・3050形の数え方を踏襲しているということである。

制御装置は半導体素子にSiC(炭化ケイ素)を適用したVVVFインバーターが採用されることがプレスリリースに明記されている。これにより、IGBT-VVVFである3000形と比べて消費電力を約15%削減するとのこと。京成では2016年12月より3003編成でSiC素子を適用したVVVFインバーター(東洋電機製)を試用しており、3100形ではこれあるいはこれに準じたものが搭載されるのが有力だろうか。プレスリリースにおいて"フルSiC"と書かれていないこともポイントであると思われる(3003編成のSiC-VVVFはフルSiCではなくハイブリッドSiCである)。

車体は3000形と同じ日車式ブロック工法を用いたものとなり、車体側面のカラーリング以外の見た目は3000形とほぼほぼ同じ感じ。ブロック工法に東洋電機製のVVVFインバーター・・・、やっぱりそうなるよねと思わせてくれる安心感(?)は、まさに3100形のコンセプトのひとつである「受け継ぐ伝統」が如実に現れたものと言えよう。

他方、設備面では「新たな価値の創造」にふさわしい新機軸も導入されている。中でもスーツケース置き場が新設されたことに注目だ。これはロングシートの一部に折り畳み座席を導入した上で、座席を折り畳んで捻出したスペースをスーツケース置き場として使用するというものである。座席数が減ってしまうという点ではビミョーだが、混雑時間帯のアクセス特急では車内がスーツケースで埋まっているという状況も珍しくないので、空港輸送を担う車両としてこういった設備も致しかたないといったところだろうか。また、ドア上カモイ部のLCD案内表示器が2枚になるなど、案内類の強化も行なわれている。イメージ図を見る限りだとLCDはコイト電工製(パッとビジョン)ではなく、三菱電機製(ヌルヌル動くやつ)となる模様。このほかにもフリースペースや無料Wi-Fi、防犯カメラなども導入されるが、これらは時代の要請に応えたものと言える。

前述のとおり、カラーリングはオレンジ色の帯を巻いたものとなっており、3050形より一層成田スカイアクセス線を走ることが強調された車両になっている。オレンジ色のカラーリングについて、プレスリリースによれば「京成本線との誤乗車防止を図る」とのことであるが、これは3150形を京成本線で走らせないという宣言であるようにも思える。3050形では2011年春ごろからなし崩し的に京成本線の運用に入るようになってしまっていた2)が、従来の京成カラーに比較的近い3050形ならギリギリごまかせたところも、明確に色が異なる3150形ではさすがにそうはいかないと思われ、ここらへんについて3150形をどのように運用していくのか気になるところである。

3150形導入に伴う車両の動きは・・・?

さて、やはり気になってくるのは3100形導入に伴う車両の動きであろう。そもそも、なぜ3100形は初っ端から成田スカイアクセス線仕様の3150形として導入されるのだろうか。

ひとつは単純に成田スカイアクセス線の一般列車、すなわちアクセス特急の増発ということが考えられよう。アクセス特急を増発するにあたり、現在の3050形6編成だけじゃ足らなくなるので、3100形を成田スカイアクセス線仕様で導入し、これを増発分に充てようというものである。

しかし、京成では今年度秋におけるスカイライナーの増発こそ明らかにしているものの、アクセス特急については特に何も触れられていない。また、3150形がアクセス特急増発用であるのなら、プレスリリースにおいてそのことについての言及があってもよいはずである。それがなかったということは、アクセス特急は増発されないし、3150形もそのための導入ではないという可能性が高い。

そうすると、必然的に3150形は3050形の置換え用という可能性が高まってくる。この場合、3150形は少なくとも6編成の導入が必要となることから、「2020年度以降も継続して導入」というプレスリリースの記述とも合致する。デビューしてから10年そこらの3050形をもう置換えるなんてなんとも贅沢な話だが、それは成田スカイアクセス線がいまや京成の屋台骨を支える重要な収益源になっているためというほかあるまい。

3150形により余剰となった3050形の行先は、もちろん京成本線であろう。3050形を何らかの形で京成本線に転用し、これによって3600形や3400形を置換える。成田スカイアクセス線の車両が新しくなる一方、古い車両の淘汰を進めることもできる。京成としては万事OKというわけだ。

・・・と、それっぽいことを思いついたがままに書いたけど、当たり前だがこの通りになる保証はどこにもないのであしからず。京成では目下のところ列車無線の更新によりイレギュラーな車両の動きが発生しまくっている最中だし、来年には東京オリンピック・パラリンピックの開催も控えている。オリンピック期間中だけ列車の増発を行なうという可能性だってあるだろうし、今後何がどうなるかは中の人のみぞ知る。

新京成80000形も登場

京成3100形の発表に合わせて、新京成においても新型車両の登場が明らかにされている。形式は80000形で、京成グループでは初めて5桁の番号を用いた車両が登場することになった。付番方は、イメージ図において80016や80012という数字が確認できることから、第1編成は松戸方から80016、80015、・・・、80011、第2編成は80026、・・・という具合になるだろうか。N800形が最大でも9編成までしか導入できないような番号の付け方だったのに対し、80000形では999編成までの導入に対応した点が大きな進歩と言えよう。

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新京成80000形 イメージ

▲京成3100形とともに京成グループ標準車両として導入される新京成80000形。コーポレートカラーであるジェントルピンクを用いたカラーリングはN800形に準じているが、屋根肩にもピンク色が配されていることが目新しい(画像は新京成公式HPより)

冗談はさておき、プレスリリース3)の内容で気になったのは2点。1つめは制御装置について。「8800形リニューアル車より採用している最新の半導体を使用したフルSiC-VVVF制御装置を搭載」と書かれている。これをそのまま読めば、8800形リニューアル車に搭載されている三菱電機製のVVVFインバーター、あるいはそれに準じたものが採用されるということになる。前述したように京成の3100形は東洋電機製のSiC-VVVFインバーターが搭載される可能性が高いことから、このことは3100形と80000形の大きな違いになりそう。80000形は3100形とともに京成グループ標準車両としながらも、N800形と3000形の関係以上に独自仕様が盛り込まれていそうな雰囲気である。

2つめは、2019年冬に予定されている営業運転開始時の運用範囲を「松戸〜京成津田沼」としている点。新京成の車両なのだから当たり前のことと思われるかもしれないが、これまでラッピング電車などのプレスリリースで京成線に直通する場合にはきちんと松戸〜千葉中央と記載していたことから、京成津田沼までと言ったら京成津田沼まで、京成線には乗入れないということなのだろう。80000形のイメージ図に京成線への直通に必要なIRアンテナが見当たらないことからも、少なくとも1次車である80016編成は京成線直通に非対応の仕様で登場する可能性が高い。

このことからすると、80016編成の導入で廃車となるのは8000形ではなく8800形となる可能性がある。8000形は8512編成と8518編成とも検査期限まで2年近くある4)ことと、京成線への直通運転に対応した8000形を非対応の車両で置換えるというのは考えにくいことがその理由である。一方、8800形はというと、リニューアル工事が進められているもののその対象は16編成中9編成であることが明らかにされており、このことは逆にリニューアル対象外の8800形が7編成存在することを意味している。そして、この7編成をどうにかしていかなきゃいけないことを考えると、いよいよ8800形が廃車対象の候補となっても不思議ではない状況。この場合、京成線直通非対応でかつ80000形がデビューする冬ごろに検査期限を迎える編成ということで、8805編成あたりが80016編成導入に伴う廃車候補の筆頭になるだろうか。

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