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エトセトラ

2019.04.30

まもなく天皇陛下の退位と皇太子さまの即位が行なわれ、時代は平成から令和に移ろうとしている。そこで、京成電車の平成史と題して、平成31年の間に京成界隈で起こったさまざまなできごとを簡単に振り返ってみたい。趣味的な観点から特に印象に残っているものをピックアップしてみたので、平成という時代を回顧する際の一助となれば幸いである。(前編はこちら

新京成線の京成千葉線乗入れ開始(平成18年12月)
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新京成8000形 8508編成
2006.12.10/幕張本郷〜幕張

▲2006年12月ダイヤ改正で始まった新京成の京成千葉線への直通運転。8000形と8800形、N800形が京成線を走る車両に加わった

船橋駅付近の高架化完成に伴う2006年12月ダイヤ改正も比較的大きなダイヤ改正であった。快特(現在の快速特急)が新設されて特急が佐倉〜成田で各駅停車になったほか、スカイライナーが船橋に停車するようになった。さらに、新京成線の京成千葉線への乗入れが開始され、新京成の車両が京成線内を走るようになった。

新京成車の中でも、8800形が6両編成になって直通運転に参加したのには驚いたものだった(試運転で最初に入ってきたのも8800形だった)。新京成線が京成千葉線に直通運転を行なうというのはそれ以前から報道等により明らかになっていたが、当時8800形は8両編成しかおらず、当然直通運転から外されるものとばかり思っていた。逆に、一部の鉄道趣味誌に書かれていた800形の京成線直通対応は実現せずに終わっている。

京成パンダ爆誕(平成19年2月)
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京成パンダ
2017.10.14/幕張メッセ

▲さまざまなイベントに出没してはいちいち調子にのる京成パンダ

2007年2月、ヤツが登場する。京成パンダである。覚えているだろうか、ヤツは最初はクレジットカードの単なる宣伝キャラクターだったことを。しかし、折からのゆるキャラブームという時流に乗って、あれよあれよという間に人気者に。いつの間にやら京成からも公式キャラクターというお墨付きをもらい、果てはチーバくんや上野のパンダとのコラボレーションが実現するなど、ますます活動の場を広げている。この快進撃はどこまで続くだろうか。

創立100周年(平成21年6月)
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京成3300形 3356編成
2009.6.30/町屋〜千住大橋

▲2009年6月30日に運転された「創立100周年記念列車」。この列車は特急金町行として運転され、史上初めて金町線に特急が走った

京成電鉄は2009年6月に会社創立100周年を迎えた。同社ではこれを記念したさまざまな事業を行なったが、その中でも趣味的に楽しかったのはやはり3300形で実施したリバイバルカラーであろう。3356編成が"青電"に、3324編成が"赤電"に、3312編成が"ファイアーオレンジ"に塗り替えられ、それぞれの編成が廃車されるまでリバイバルカラーとして走った。創立100周年の当日には「創立100周年記念列車」として3356編成を使用した特急金町行という臨時列車が運転された。金町線に特急が走ったのは、今のところこの時が最初で最後である。

成田スカイアクセス線開業(平成22年10月)
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成田スカイアクセス線開業 花束の贈呈
2010.7.17/上 野

▲成田スカイアクセス線開業初日の1番列車、スカイライナー1号の出発前に行なわれた乗務員への花束贈呈。このあと私はこの列車の乗客になったが、印旛日本医大を過ぎて160km/h運転に達した時の感動は今でも忘れない

かねてより計画が進められていた都心と成田空港を結ぶ新たなルートが完成し、2010年7月に京成の成田スカイアクセス線として開業した。京成にとっては1978年5月の空港新線開通、1991年3月の空港ターミナル直接乗入れに次ぐ、3回目の成田空港駅開業と言える。同時に、新線経由のスカイライナーとしてAE形がデビュー。国内の在来線で最速となる160km/h運転を行なうことで、日暮里〜空港第2ビル間がわずか36分という超絶強大な武器を手にすることになった。

成田スカイアクセス線の開業がその後の京成にどのような影響を及ぼしたのかは、ほぼダイヤ改正ごとにスカイライナーが増発されていることからして明らかであろう。観光立国の実現を目指した政策によるインバウンドの増加にも支えられ、絶好調だ。駅のトイレが綺麗になったりホームに冷暖房の効いた待合室が設置されたり、以前とは明らかにお金の使い方が違ってきていることからしても、好調っぷりが伝わってくるというものである。京成の成田空港輸送と言えばスカイライナーが燃やされるなど苦難の歴史だったが、それらを乗り越えてきたからこそ今日の成田スカイアクセス線があるのである。

東日本大震災と臨時ダイヤ(平成23年3月〜)

2011年3月11日に発生した東日本大震災は、京成線にも大きな影響を及ぼした。13日にはいったんほとんど平常運転に戻ったものの、東京電力による計画停電の実施で再び混乱に。電車が安定的に走るようになったのは、地震から5日後となる16日からであった。その後も電力逼迫などの事情から、しばらくは震災臨時ダイヤなる特別ダイヤが実施され、列車本数を削減しての運行が続いた。通常ダイヤに戻ったのは12月のことであるが、一部のシティライナーは運休のままとされ、震災以前の状態に完全に戻ることはなかった。

京成本社が市川市八幡に移転(平成23年9月)

1960年代から長らく墨田区押上に本社を構えていた京成だが、市川市八幡の京成百貨店跡地に移転した。京成の本社は押上以前にも何度か移転していたが、千葉県内となるのは初めて。京成グループの主たる経営基盤である千葉県において、より地域に密着した事業展開を図るためということである。これにて、京成電鉄は名実ともに千葉県の企業になった。

3300形が引退(平成27年2月)
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京成3300形 3344編成+3304編成
2015.2.28/佐倉〜大佐倉

▲3300形のさよなら運転は、8両編成の臨時特急「成田山号」として運転された。まもなく北総7260形も引退し、3300形は形式廃止となった

2007年度より廃車が始まり、徐々に数を減らしていた3300形がいよいよ引退することになった。最終列車はリバイバル「成田山号」として運転された臨時特急成田行で、空気バネ台車の編成と金属バネ台車の編成を混結させてまで実現した3300形の8両編成で有終の美を飾ったことは記憶に新しい。また、リース車両である北総7260形も翌3月に引退し、3300形は形式廃止となった。

3300形の廃止は、初代3000形より続いた3000系列のいわゆる"赤電"世代の時代が終わったことを意味する。まさに一時代の終焉。幼少の頃から慣れ親しんできた丸みを帯びたスタイルの電車が消えることに一抹の寂しさを感じたのであるが、これも時代の流れというものなのだろう。

◆ ◆ ◆

以上、簡単ではあるが平成の時代における京成電車を振り返ってみた。こうして見てみると、北総線の直通運転や現行塗装などずいぶんな昔話と認識していたことが、実は平成が始まってからのものだったということに改めて驚かされる。昭和が長かっただけに平成はとかく短い時代という印象を持たれがちであるが、平成も長かったのである。

まもなく新しい令和の時代がやってくる。令和における世の中ははたしてどのようになっていくだろうか。

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