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エトセトラ

2019.05.29

東京都交通局、京成電鉄(芝山鉄道)、京急電鉄、北総鉄道(千葉ニュータウン鉄道)の様々な車両が入り乱れ、百花繚乱の直通運転を行っている"四直"。その中でも、唯一無二の形態を持つ車両たちが我々をさらに楽しませてくれている。そんな「四直の異端車たち」を適当に紹介していこう。

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北総9200形 9201編成
2013.3.1/大 町

▲2013年3月にデビューした北総鉄道(千葉ニュータウン鉄道)9200形。9201編成の1本のみが在籍している
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北総9800形 9808編成
2018.7.15/立石〜青砥

▲2017年3月に登場した9800形。京成からのリース車両で、もとは3700形3738編成である。こちらも1本のみ在籍の少数派

都営浅草線を中心としたいわゆる四直における車両の種類の豊富さを私は常々百花繚乱と表現しているが、そのことに大きな影響を及ぼしているのが千葉ニュータウン鉄道であることは間違いないだろうと思う。千葉ニュータウン鉄道は第三種鉄道事業者として列車の運行はしていないものの、3形式もの車両を保有して謎の存在感を放っている。同社の車両は北総鉄道に管理を委託して北総車として営業運転を行っているが、その中で9200形と9800形はそれぞれ1形式1編成のみの在籍となっており、浅草線直通系統の異端車と言えるだろう。

千葉ニュータウン鉄道が誕生したのは2004年のこと。同社が第三種鉄道事業を行う小室〜印旛日本医大間は、もともと都市基盤整備公団の持ち物だった。ところが、都市基盤整備公団は2004年7月に都市再生機構へ組織改編するのに伴い、鉄道事業を廃止することになった。小室〜印旛日本医大間の鉄道施設をどこかが引き継がないと、この区間で列車を走らせることができなくなってしまう。本来であれば北総鉄道がこれら施設を引き受けた方がいろいろとスッキリしたところではあったのだが、同社の経営体力など諸般の事情を考慮した結果、千葉ニュータウン鉄道を京成の100%子会社として設立し、都市基盤整備公団が保有していた鉄道施設を譲り受けることにした。

2004年7月の時点で、千葉ニュータウン鉄道が保有していた車両は9000形2本と9100形3本の2形式5編成。その後、2013年になって9000形1本(9008編成)が廃車されることになり、置換え用として京成3000形の千葉ニュータウン鉄道ver.として9200形が登場した。老朽化した車両を最新鋭の車両で置換える、ごく自然なことであった。ところがその4年後となる2017年、まさかの事態が発生する。千葉ニュータウン鉄道は9000形の残る1編成(9018編成)を京成3700形のリース車である9800形で置き換えた。9000形は当然9200形で置換えられるだろうと思っていた矢先に登場した9800形には大変驚かされたものだった。かくして、千葉ニュータウン鉄道は第三種鉄道事業者ながら9100形と9200形、9800形という個性派・少数派形式を取り揃えることになった。

ところで、この千葉ニュータウン鉄道が保有する車両群、人々の目にはどう映るのだろう。なにせ千葉ニュータウン鉄道は従業員数0名1)、公式Webサイトもない陰の鉄道事業者。鉄道好きは別として、その存在すら知らない人も多いと思われる。車体に北総鉄道のプレートが取り付けられている9100形と9800形はそのまま北総鉄道の車両と認識されていることと思う。ところが9200形については社名プレートの類が一切なく、かろうじて分かるのは京成グループの車両であるということだけだ。お前は一体・・・誰だ・・・?

そもそも、9200形と9800形を千葉ニュータウン鉄道独自のカラーリングとする必要はあったのだろうか。9100形に合わせたというのは分かる。しかし、北総車と共通運用なのだから単純に7500形と7800形と同じであってもよかった気がしないでもない。もちろん趣味的には面白いことに違いないのだが、利用者の目線から考えるとはたしてこれが適当なのはよくわからないところ。

千葉ニュータウンをめぐる鉄道の事情は複雑だ。地図上ではただ1本の線が京成高砂から千葉ニュータウンに向かってのびているのが見えるが、そこには紆余曲折の歴史が詰まっている。千葉ニュータウンの開発がもっと上手くいっていたら・・・? 千葉県営鉄道北千葉線が開通していたら・・・? さまざまな歴史のifを掻い潜った結果で9200形や9800形が存在していることを考えると、そこには単なる色違いの車両では収まらない面白さがあるわけである。

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