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エトセトラ

2019.11.30

10月26日ダイヤ改正でデビューした京成電鉄の新型車両3100形(3150形)。ようやくあれこれ観察することができたので、今さらながら営業運転の様子とデビューまでの動きをまとめてみた。さらに、3100形の今後について・・・果たして京成カラーの3100形の登場はあるのかどうかなど、少しばかり考えてみたい。

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京成3150形 3151編成
2019.11.8/松飛台

▲10月26日より営業運転を開始した3100形(3150形)。オレンジ色の車体が表すとおり、専ら成田スカイアクセス線を走るアクセス特急として使用されている
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京成3150形 3152編成
2019.11.27/大 町

▲3152編成も3151編成と同日デビュー。3100形の機器配置は3000形を踏襲した6M2Tとなっており、将来的には4M2Tの6両編成が登場することも考えられる

プレスリリースにおいて告知があったとおり、3100形(3150形)が10月26日ダイヤ改正より営業運転を開始した。3151編成は宗吾参道出庫の09K運行に、3152編成は前日に宗吾参道から高砂へ臨時回送(S43運行)した上で05K運行にそれぞれ充当1)。成田スカイアクセス線のアクセス特急だけではなく、エアポート快特としてデビュー初日より都営浅草線・京急線にも直通した。出発式の類やヘッドマークなどの記念装飾は実施されず、華々しいデビューとまでにはならなかったものの、一般向けの体験乗車ツアーの開催や公式Webサイトで特集ページが設けられるなど、2003年の3000形デビューの時と比べると大きな盛り上がりを見せていたように思う。

すでに運行を開始して1ヶ月が経っているが、大きなトラブルもなく運転できているのは、基本的には3000形の機器配置を踏襲するなどし、質実さや実用本位を重視した「受け継ぐ伝統」のコンセプトが活きている結果と言えよう。ただし、現時点においても北総線と芝山鉄道線への乗入れ許可が得られていない状態のようで、その旨を示すテプラが3151・3152両編成の運転台に貼られている2)。このため、アクセス運用のうち北総線列車として走るものに関係する平日07K、05K、土休日01K、03Kの各運行には今のところ充当不可となっており、限定運用が組まれている。

3100形(3150形)デビューまでの動き
  • 3151編成(日本車両製)
    9月22〜23日:日本車両(豊川)から総合車両製作所(逗子)まで輸送
    9月26、27、30日:金沢八景より回送、京成入線(2131K、3600形による牽引)
    10月9日:八千代台〜東成田にて試運転(S51、S53運行)、宗吾参道〜成田にて試運転(S63運行)
    10月11日:宗吾参道〜成田湯川にて関係者試乗会(S03運行)
    10月13日:佐倉〜宗吾参道にて試運転(S57運行)
    10月14日:(押上〜)八広〜宗吾参道にて乗車体験ツアー(S05運行)、佐倉〜宗吾参道にて試運転(S67運行)
    10月15日:宗吾参道→西馬込にて回送(35K運行、貸出)
    10月23日:西馬込→宗吾参道にて回送(35K運行、返却)
    10月26日:営業運転開始(09K運行)
  • 3152編成(総合車両製作所製)
    7月24〜26日:金沢八景より回送、京成入線(2131K、3600形による牽引)
    8月31日:成田スカイアクセス線にて試運転(23K運行、終電後)
    9月4日:京成本線・押上線・千葉線にて試運転(S27運行、終電後)
    9月6日:京成本線にて試運転(S25運行、終電後)
    9月17、18日:八千代台〜宗吾参道にて試運転(S49、S57、S29運行)
    9月19日:八千代台〜宗吾参道にて試運転(S49運行)
    9月20、21日:宗吾参道〜空港第2ビル〜印旛日本医大にて試運転(29K運行)
    9月25日:八千代台〜東成田にて試運転(S51、S53運行)
    10月9日:宗吾参道→金沢文庫にて回送(33K運行、貸出)
    10月16日:金沢文庫→神奈川新町にて回送(回45運行)
    10月17日:神奈川新町→宗吾参道にて回送(33K運行、返却)
    10月18日:宗吾参道→印西牧の原にて回送(37K運行、貸出、成田スカイアクセス線経由)
    10月23日:印西牧の原→宗吾参道にて回送(37K運行、返却、成田スカイアクセス線経由)
    10月25日:宗吾参道→高砂にて回送(S43運行)
    10月26日:営業運転開始(05K運行)
3100形の今後について

さて、3100形については、今年度の2編成に加えて来年度以降も継続して5編成を製造、すなわち計7編成が登場予定であるという情報が一部報道より出てきている。10月上旬に実施された3100形の報道公開の場で関係者が明らかにしたものだそうだが、3100形全体で7編成だけなのか、あるいは成田スカイアクセス線仕様の3150番台だけで7編成なのか、具体的な数字ではあるもののなんとも不透明といった印象だ。

京成が2019年6月に提出した有価証券報告書3)によれば、来年度も16両の車両を新造するようなので、増備ペースを8両編成2本/年程度とすると3100形は2022年度にも7編成が出揃うものとみられる。確かに3100形が7編成あれば、無線設備更新用に確保した予備車分と合わせて3668編成を除く3600形と3400形を淘汰することが可能となっており、無線設備の更新が完了する2022年度末には、3600形は3668編成だけが残り、3400形は形式廃止になっていることが容易に想像できる。

他方、3151・3152編成の導入により京成本線に転用される3050形は1本であることが、これも報道等で明らかになっている。3100形を2本導入したのだから転用される3050形は2本・・・にはならないことは、大きなポイントであろう。すなわち、今後アクセス運用は予備1本を加えた8両編成7本で運用されるということを示している。そして、これは先に挙げた3100形の導入予定数とも一致していることから、少なくともその7編成は3150番台として製造されるものと考えられる。そうすると、7編成という数字は、あくまでも3150番台として製造される予定数であり、3100形全体としては7編成以上が製造される可能性が浮上してくる。

なぜそういった可能性が出てくるか。京成は3600形と3400形を廃止した後、3500形更新車の置換えに着手するものと思われるが、この3500形をどのようにして置き換えるかということに繋がる。現在、3500形は52両が4両編成4本・6両編成6本の体制で運用されているが、特に2018年12月ダイヤ修正以降、検査時を除いて編成組換えはほとんど行なわれておらず、ほぼほぼ固定編成のような格好で使用されている。

仮に3100形とは別の4両編成の新型車両を作るにしても、それで3500形52両全てを置き換えるとは考えにくい。現行ダイヤにおいて4両編成の運用は3本しかなく、もはや4両編成は4〜5本あれば十分だからだ。とすれば、6両編成を組んでいる3500形6本はそのまま6両固定編成で置き換えることも十分に可能と考えられ、ここに3100形を7編成以上製造する余地が残されている。2022〜2023年度以降、3500形を置き換える際に、オレンジ色ではない、赤と青の京成カラーの3100形が登場する可能性が大いにあるというわけだ。

・・・あとは単純に、3000形に代わる新たな標準車両という位置付けのものをたった7編成、3〜4年で終わらせるわけがないよねっていう、私の勝手な思い込みもなきにしもあらず。とはいえ、3000形みたいに増えすぎるのも趣味的には困りものではあるのだが・・・笑

  • 1)この日は京急線内の遅延により、運行途中で09K運行と05K運行が入れ替わっている。
  • 2)「アクセス特急・京成本線・都営浅草線・京急線 限定運用(北総線・芝山線内 行先運用不可)」と書かれたテプラが運転台に貼られている。
  • 3)有価証券報告書 - 第176期(平成30年4月1日〜平成31年3月31日)

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