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2019.12.05

JR西日本では秋の行楽シーズンにおける臨時列車として、特急「まほろば」を新大阪〜奈良にておおさか東線・大和路線経由で運転している。2019年3月に全線開業したおおさか東線を走る初めての特急列車ということで注目を集めているところだが、やはり思い出されるのは9年半前に運転された「まほろば」の方。撮影しっぱなしになっていた写真の在庫整理を兼ねて、2010年春に運転された臨時特急「まほろば」を簡単に振り返ってみることにする。

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JR西日本381系 大ヒネC603編成
2010.4.11/大 正

▲2010年春に運転された臨時特急「まほろば」。日根野電車区所属の381系国鉄色が使用された

2010年春の臨時特急「まほろば」は、平城宮跡をメイン会場として開催された「平城遷都1300年記念祭」へのアクセス列車として運転されたものである。運転区間は2019年の列車と同じ新大阪〜奈良だが、JR特急不毛の地と言われて久しかった奈良に向けた特急列車が走るとあって、驚きの声が大きかった。なんでも奈良県内にJRの特急列車が走るのは21年ぶりのことだったそう。この時運転された「まほろば」は、その中でも特に以下の2点において注目された列車であったように思われる。

  • 日根野車両センターの381系(国鉄色)を使用
  • 大和路線経由

まず、何と言っても381系の国鉄色編成が使用されたことである。当時、381系の国鉄色編成は日根野電車区(現・吹田総合車両所日根野支所)にC編成として4本が在籍していたが、その定期運用は阪和線の「はんわライナー」と大和路線の「やまとじライナー」だけで、平日朝晩のみの運転だった。そんな381系国鉄色に白羽の矢が立てられたのは自然な流れだが、381系国鉄色が臨時特急として定期的に走るというのは、嬉しいニュースであった。運転日は4月〜6月の土曜・休日のみと限られていたが、方向幕などもしっかりと整備。前面に「まほろば」の愛称幕を掲げて走る姿は、381系国鉄色にとってまさに晴れ舞台になった。

そして、興味深かったのはその経由線区。おおさか東線はまだ開通していなかったので、新大阪〜奈良を梅田貨物線・大阪環状線・大和路線経由で結んでいたのはこの時の「まほろば」の大きな特徴であった。特に大和路線の一部区間に特急列車が走るのは初めてのこととなり、大和路線の実質的な初の特急列車としてなおさら注目されたのであった。

平城遷都1300年記念という奈良の一大イベントの勢いを借りて運転された臨時特急「まほろば」だったが、実際の営業成績がよかったかどうかは・・・その後、2019年になるまでまるで音沙汰がなかったことからすると、まあそういうことだったのだと思う。おおさか東線経由となった2019年の「まほろば」も、せっかく新しく走り出したのだから、そうならないことを願うばかり。

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