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エトセトラ

2020.06.26

めっちゃガラガラなスカイライナーに乗ってみた。

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京成AE形 車内
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▲5月末のある日の昼下がりのスカイライナーの車内の様子。この号車の乗客は私しかおらず、貸切になってしまった

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は、社会や暮らしに大きな影響を与えている。4月7日に政府より発令された新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言においては不要不急の外出自粛が要請され、人々の移動も制限されることになった。これにより、公共交通機関は特に大きな影響を受けることになった。

成田空港アクセス輸送を担う京成電鉄では、それがゆえとりわけ大きなダメージを受けている。同社が毎月末に公表している月次営業概況1)によれば、2020年4月分の成田空港を発着する輸送人員は前年比で約7割の減、有料特急の運輸収入に至っては約9割の減という驚異的な数字を記録した。スカイライナーは傍から見ても乗客がいないのがまる分かりで、とにかくガラガラ状態。ついには乗客0のスカイライナーも走ったとか走らなかったとか・・・。

そんなスカイライナーの様子を伺うべく、乗ってみた。5都道県(北海道、埼玉県、千葉県、東京都および神奈川県)の緊急事態宣言が解除され、外出自粛が緩和された5月末のある日の昼下がりのことである。乗車区間は京成上野→成田空港、果たしてどのような光景が広がっていただろうか。

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京成上野駅 スカイライナー券発売カウンター
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▲閑古鳥の鳴く京成上野駅のきっぷうりば。窓口の係員は暇そうであった
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京成上野駅 案内表示器
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▲スカイライナーの列車案内表示器。スカイライナーは5月1日より一部列車の運休を実施しているため、表示されている列車の号数が飛び飛びになっている

スカイライナーに乗るべく、まずは京成上野に降り立つわけだが、この時点で人の姿はまばらであった。インバウンドで盛況だったスカイライナー券の発売カウンターには誰も並んでおらず、閑古鳥が鳴いている。スカイライナー券が購入できる券売機にて表示されるスカイライナーの残席数は、列車の発車15分前で370ほど。AE形の定員は8両編成で398名だが、車掌持ちの座席や車いす専用席があるはずなので、実際に売れている座席の数は20かそこらといったところだろうか。このまま走れば乗車率は5%ほどということになる。

ホームに降りてみても、スカイライナーの発車前とは思えないほど閑散としている。周囲を見渡しても大きなスーツケースを抱えていかにも今から飛行機に乗りますというふうな人はほとんどおらず、緊急事態宣言が明けたので軽くお出かけしてみようといった層がスカイライナーの主な乗客になっていたように思われた。

車内整備が終わり、列車に乗り込む。私が座席を指定した車両はというと・・・乗客は見事に私だけ! 次の停車駅である日暮里でもほかに乗客は現れず、終点までの貸切が確定した。シティライナー以来の有料特急の1両丸ごと貸切という快挙(?)を達成したのだった。

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京成上野駅 ホーム
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▲閑散としたホームの様子。スカイライナーが発車する数分前でこれなのだから、スカイライナーの乗車率も推して図るべしである

ガラガラとは言えども、当たり前ながらスカイライナーの走りっぷりは以前と変わらない。上野線のクネクネ区間を抜けて京成高砂より北総線に転線し、新柴又を過ぎれば快調にスピードを上げていく。千葉ニュータウンを駆け抜け、印旛日本医大から160km/h運転区間に突入する。AE形の本気の走りはいつ乗っても気持ちがよいものだ。

成田湯川を通過すると、あと5分ほどで空港第2ビル到着のアナウンス。日暮里発車から35分30秒、列車は20秒の早着で空港第2ビルに滑り込んだ。続いて終点の成田空港に到着。乗客が少ないスカイライナーは、終始どことなく持て余し気味であった。

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成田空港駅 ホーム
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▲成田空港駅もご覧のとおり。同駅では新型コロナウィルスによりホームドアの設置工事がストップするといった影響も出ている

というわけで、めっちゃガラガラなスカイライナーに乗ってみた。スカイライナーが従来通り20分間隔で運転されていたとて、このような空気輸送列車が走りまくるだけだから、京成にとって辛抱たまらんのはもっともだ。40分間隔に減便したのは妥当な判断だと言える。

新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」が求められながらも、世の中は徐々に日常を取り戻しつつある。京成としても、スカイライナー券を特別割引価格で販売する「ライナーでGo!キャンペーン!!」2)の実施や京成線全線で使える1日乗車券が3日(人)分セットになった「京成沿線おでかけきっぷ」3)を発売するなど、冷え切った消費マインドからの回復を後押ししてくれている。コロナ禍以前の日常に完全に戻るかというと難しいところだが、そこらへんは上手く楽しみたいところだ。

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