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エトセトラ

2020.10.30

ちばグリーンバス随一の変わりモノ、水害に沈む。

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ちばグリーンバス CG-157号車
2017.8.10/墨入口

▲ちばグリーンバスで唯一無二のエアロスターだったCG-157号車。写真は酒々井プレミアム・アウトレット線で走る姿を捉えたものだが、急行の表示が実に似合う車両であった
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ちばグリーンバス CG-157号車
2017.8.10/酒々井プレミアム・アウトレット

▲うしろ側

ちばグリーンバスを襲った豪雨災害から1年が経った。弊サイトではこれまでに災害に伴う復旧車両の話題を取り上げてきたが、今回は水害で沈んでしまった側の車両を追悼の意を込めてご紹介しようと思う。

ちばグリーンバスCG-157号車は、三菱ふそうのエアロスター(KL-MP35JM)である。2005年に導入された車両で、メトロ窓にハイバックシートといういわゆるワンロマ仕様が採用された。京成バス佐倉営業所の時代からいすゞを中心に導入してきたちばグリーンバスで、三菱ふそうの車両が導入されたのは異例なこと。同仕様の車両はこの1台のみとなり、ちばグリーンバスにおけるエアロスターは今のところこの車両が最初で最後となっている。メーカーの選択といい仕様といい、きわめて特異な1台であった。

CG-157号車がワンロマ仕様で導入されたのは、深夜急行バスで使うためであった。日中時間帯には一般路線で、夜になると深夜急行バスで走るという1台2役を担った。ただ、酔客の利用も多い深夜急行バスにおいて、しかも銀座〜佐倉という比較的長距離の路線でトイレなしというのは不評だったようで、深夜急行バスは後年のダイヤ改正でトイレ付きのハイデッカー車が担当するようになっている。

深夜急行の任を外されたCG-157号車は佐倉市内の一般路線で使用されるが、ここでもその仕様が仇となってしまう。着席を重視したハイバックシートが並ぶ車内では乗客の詰め込みがきかず、このことが嫌われて晩年は比較的閑散な京成酒々井駅発着の路線で使用されるようになった。さらに、最晩年には一般路線での営業も外れて、貸切用車両として主に企業輸送で動いていたようである。

そして発生した、2019年10月の豪雨災害。営業所の近くを流れる鹿島川の水が大量に流れ込む中、逃げ遅れて水没したCG-157号車は再起不能と判断され、無念の廃車となった。こうして振り返ってみると、当初の役目を全うすることができず、最後は水没するという、ちょっとツイてない車両だったかもしれない。いずれにせよ、唯一無二の個性的な車両がこのような形での引退となってしまったのはたいへん残念なことである。

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