KSWeb

鉄道やバスなど、公共交通に関するディープな話題をお届けしています。

Article

記事

横須賀・総武快速線 E217帝国崩壊の始まり

2020.12.27

E217系、終焉へのカウントダウンが始まる。

X79843.jpg

JR東日本E217系 横クラY-48編成ほか
2020.8.2/錦糸町

▲錦糸町の電留線に集う横須賀・総武快速線のE217系。今ならまだこういった風景が見たい放題見られる

12月21日、E235系が横須賀・総武快速線で営業運転を開始した。同線はE235系にとって山手線に続く第2の投入線区となり、分割・併合を伴う15両編成で運転する初めての事例となる。デビューの翌22日にドア故障が発生して山手線のデビュー時のことが頭をよぎったが、そのほかに大きなトラブルはなく、順調な滑り出しを見せている。

E235系の運転開始について、まずはおめでとうございますと言っておこう(何様)。総武線の快速を利用する機会が多い私としても、新型車両の登場は素直に嬉しいことである。何せ、E217系は209系と同じくJR東日本が「寿命半分」をコンセプトに車両をつくっていた時代の産物。2007年より実施された更新工事ではVVVFインバーター装置をはじめとした床下主要機器類が一新されたものの、車体は基本的に製造時のままを保つ。経年劣化で床がベコベコになっている車両も存在し、コスト重視で設計が簡略化された薄暗い内装は、お世辞にも快適な車内空間を提供してもらっているとは言えない。それだけに、横須賀・総武快速線が山手線に続くE235系の投入先となることが発表された際は小躍りしたものである。

D34153.jpg

JR東日本E217系 横クラY-2編成
2020.6.20/物井〜佐倉

▲佐倉の田園地帯を走るE217系。E235系がデビューしたということは、E217系の終焉へのカウントダウンが始まったということでもある

E217系はJR東日本の中でもまれに見る専用形式である。黎明期の湘南新宿ラインでは新宿まで走ったり、一部の編成が一時的に東海道線に転属したりしたことがあったものの、基本的には横須賀・総武快速線のみで見られる車両という認識で間違いあるまい。その総数、実に745両。同車はまさに横須賀・総武快速線にひとつの帝国を築いたと言っても過言ではない。E235系がデビューしたということは、E217系の終焉へのカウントダウンが始まったということ。帝国の崩壊が始まったのだ。

JR東日本と言えば、車両の置換えスピードのえげつなさが広く知られているところである。グループ傘下の鉄道車両メーカーである総合車両製作所(J-TREC)を使って、古い車両をゴリゴリと淘汰していく。古くは中央線の201系や京浜東北線の209系、最近では山手線のE231系500番台などなど、あれだけたくさんいたはずの車両があっという間に数を減らしていった。E217系も例外ではない。数年後、E217系が残りわずかとなったときに慌てることがないように、やれることは今のうちにやっておきたい。

関連記事

2025.03.17

さようなら JR東日本E217系

さようなら、E217系。3月15日、JR各社を始めとした3月の全国的なダイヤ改正が実施された。列車や車両が新しく生まれ、または消えていく。そんな季節が今年もやってきた。JR東日本の横須賀・総武...

さようなら JR東日本E217系

2020.10.24

さようなら 武蔵野線205系

さようなら、武蔵野線の205系。10月19日、武蔵野線の205系として最後の1本となっていたケヨM20編成が運用を離脱。武蔵野線を走る205系は終了した。武蔵野線の205系と言えば、当時の豊田...

さようなら 武蔵野線205系

2020.01.27

さようなら 山手線E231系500番台

山手線の世代交代、完了す。かねてよりE231系500番台からE235系への置き換えが進められていた山手線だが、このほどE231系として最後まで残っていたトウ506編成が中央総武線への転用改造の...

さようなら 山手線E231系500番台

2019.04.16

JR東日本209系1000番台 中央快速線を走る

ほんと、世の中なにが起きるか分からんで。春は出会いの季節でもあり、別れの季節でもある。鉄道趣味の世界においては、JRグループとその直通各社で実施される春のダイヤ改正がそれに相当しよう。名門の...

JR東日本209系1000番台 中央快速線を走る

2018.04.12

さようなら 横須賀・総武快速線「エアポート成田」

​JR東日本では、2018年3月のダイヤ改正にて横須賀・総武快速線で使用していた「エアポート成田」の愛称を廃止した。今さらながら、「エアポート成田」とはどんな列車だったのか、簡単に振り返って...

さようなら 横須賀・総武快速線「エアポート成田」

最新記事

2025.05.05

北総9100形 デビュー30周年記念ヘッドマークを掲出

走り続けて30年。北総鉄道では、4月1日に同社が管理を行っている9100形がデビュー30周年を迎えたことを記念して、ヘッドマークの掲出を実施している。ヘッドマークを掲出しているのは9100形の...

北総9100形 デビュー30周年記念ヘッドマークを掲出

2025.04.30

京成線 駅別乗降人員ランキング(2024年度)

2024年度の京成線の駅別乗降人員ランキング! 京成線の全69駅において、どの駅の利用が多いのか少ないのか。京成電鉄が毎年公表しているデータを基に、2024年度の駅別乗降人員をランキング形式で...

京成線 駅別乗降人員ランキング(2024年度)

2025.04.26

京成電鉄バスグループ バス事業の大再編を実施

表現するならば、「激震」。4月1日、京成グループでは傘下のバス事業会社の再編を実施した。京成電鉄の完全子会社となる京成電鉄バスホールディングスを持株会社として新たに設立。その上でグループ15社...

京成電鉄バスグループ バス事業の大再編を実施

2025.04.20

北総9800形 臨時特急「ほくそう春まつり号」運転(2025年)

今年も春がやってきた4月20日、臨時特急「ほくそう春まつり号」が運転された。同日に北総鉄道がイオンモール千葉ニュータウン提携駐車場で開催するイベント「ほくそう春まつり」に合わせて運転される恒例の...

北総9800形 臨時特急「ほくそう春まつり号」運転(2025年)

2025.04.15

京成グループ 車両の動き(2024年度)

京成グループにおける2024年度の車両の動きをまとめてみよう。2024年度の車両の動きの目玉は、やはり3100形以来6年ぶりの新型車両となる3200形が登場したことであろう。今年度は日本車両製の...

  • 京成
  • タグはありません
京成グループ 車両の動き(2024年度)