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エトセトラ

2021.03.26

29年間、おつかれさまでした。

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京成3400形 3428編成
2020.12.22/志 津

▲通勤特急京成佐倉行として運転される平日2361K。京成本線の下り終電であると同時に平日1本のみの珍列車でもある
  • [平日]2361K 通勤特急京成佐倉
  • 始発:西馬込2335 → 終着:京成佐倉2459
  • ダイヤ:2019.10.26改正
  • 備考:

平日2361Kは、西馬込始発通勤特急京成佐倉行である。京成本線の下り終電として走る同列車だが、3月27日に実施される終電繰り上げ・始発繰り下げに伴うダイヤ変更により運転を終了することとなった。平日1本のみという珍列車でもある通勤特急京成佐倉行の、これまでの歩みを簡単に振り返ってみよう。

京成佐倉を24時59分に到着する下り最終列車が設定されたのは、千葉急行線開業に伴う1992年4月ダイヤ改正のこと。2373K通勤特急京成佐倉行が西馬込23時37分発→京成佐倉24時59分着というダイヤで新設され、京成本線下り終電が9〜16分ほど繰り下がった。当時のダイヤ改正の案内によれば、終電繰り下げは社会的要請によるとのこと。1980年代からのバブル景気とともに生活様式が変化して人々の活動時間が拡大し、各鉄道事業者とも終電が繰り下がっていた時期であった。他方、京成線では前年1991年11月に経営改善を目的とした運賃値上げが実施されているが、終電繰り下げはこの運賃値上げとのバーターという側面もあったらしい。

通勤特急と言っても、この通勤特急は先代の通勤特急であった。停車駅は、押上までの各駅と、青砥、京成高砂、京成八幡、京成船橋、京成津田沼、八千代台、勝田台、終点・京成佐倉である。また、設定当初は月曜〜金曜運転という条件が付いていたのが特筆される。いやいや、平日ダイヤの列車なのだからそんなの当たり前だろと思われるかもしれないが、当時は土曜日も平日ダイヤだったための措置だった。土曜日は普通京成高砂行として運転された。この措置は休日ダイヤが土曜・休日ダイヤになる1994年4月ダイヤ改正まで続けられたので、結果的に通勤特急京成佐倉行が土曜日に運転されることは1度もなかった。

京急線羽田空港駅開業に伴う1998年11月ダイヤ改正で通勤特急が廃止されたため、種別が変更されて特急京成佐倉行になった(停車駅は変わらず)。

現行と同じ通勤特急京成佐倉行になったのは2002年10月ダイヤ改正でのことである。同改正で現行の通勤特急が新設され、これに伴い最終の特急京成佐倉行も通勤特急京成佐倉行に変更された。再び通勤特急となった格好だが、停車駅が増えたので、西馬込の発車時刻が2分ほど早まった。そして、8両編成で運転されるようになったのもこの時。今となっては信じられないが、それまでは車両運用の都合で6両編成だったのである。1992年の運転開始当初は6両編成でも十分だったかもしれないが、時代が下るにつれて6両編成ではかなりきつかったものと思われる。

◆ ◆ ◆

種別が2回変わった一方で、運転開始当初から一貫して変わらなかったのは、終着駅京成佐倉の24時59分という到着時刻。なぜ、24時59分なのだろうか。これは列車の運行を24時台までとする労使間の取り決めがあるためとされる。したがって、キリがいいからと言って1時ちょうど到着などということにはできなかったようだ。

ただし、ダイヤとしてはその時々の最速スジで引かれており、各駅の停車時間は必要最小限、京成佐倉の到着時刻は24時59分50秒というギリギリいっぱいの設定であった。しかし、なにせ終電である。いくら混雑していよう何していようが、お客さまを列車に詰め込んで目的地まで送り届けねばならぬ。そんなわけで、遅延するのは日常茶飯事であった。特に、宴会シーズンは10〜20分の遅延もザラ。結局は1時を越えて京成佐倉に到着することも少なくなかった。ご苦労さまである。

◆ ◆ ◆

以上、通勤特急京成佐倉行について簡単に振り返ってみた。運転開始から実に29年。列車はまもなくその役割を終えようとしている。設定の理由が前述のように社会的要請ならば、終了の理由も社会的要請なのはまことに皮肉なことである。

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