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エトセトラ

2021.03.18

京急電鉄では、3月27日にダイヤ改正を行う。今回のダイヤ改正について、京急電鉄や直通各社局のプレスリリース、16日に公式Webサイトで公開された全線時刻表1)などを参照しながら、その内容を見てみよう。

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京急1500形 1517編成
2014.10.24/平和島

▲新型コロナウイルス感染症の影響で昨年の5月上旬から運休が続いていた蒲田ローカルは、ダイヤ改正で正式に運転が取り止められることになった
1.平日ダイヤにおける終電繰り上げ

新型コロナウイルス感染症の流行で深夜時間帯の利用状況が変化していることや、夜間における保守作業時間の確保などを目的に、平日ダイヤにおいて終電繰り上げを行う。

終電繰り上げの幅は、品川→京急川崎で9〜17分、京急蒲田→羽田空港第1・第2ターミナルで5分、京急川崎→金沢文庫で20分、金沢文庫→逗子・葉山で約15分、金沢八景→堀ノ内で17〜22分、堀ノ内→浦賀で8分、堀ノ内→京急久里浜で30分、京急久里浜→三浦海岸で17分となり、大師線を除いたほぼ全線に影響が及ぶ。上り終電は逗子・葉山→金沢八景で24分、羽田空港第1・第2ターミナル→京急蒲田で10分の繰り上げ。なお、逗子・葉山発の終電が金沢文庫行に変更される関係で、金沢八景→金沢文庫のみ終電が8分繰り下がる。

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京急線 終電繰り上げ

▲京急線3月27日ダイヤ改正に伴う各区間における終電の繰り上げ状況。記載してある数字(分)は、現行ダイヤ(緊急事態宣言発出に伴う終電繰上げ分を除く)と新ダイヤとで単純にその区間を走る最終列車どうしを比較したもの

終電繰り上げは平日ダイヤのみとなり、土休日ダイヤの変更はない。また、他の事業者で実施されているような始発列車の時刻繰り下げも実施されない。

京成成田スカイアクセス線の上り終電と京急線の下り終電を兼ねた2324Hアクセス特急→特急金沢文庫行は京成高砂で列車を分割し、2324Haアクセス特急京成高砂行・2324Hb普通品川行として運転されるようになる。車両は直通。同列車は緊急事態宣言の発出に伴い1月20日よりアクセス特急品川行として運転されているが、それも見られなくなる。

2.終電前に神奈川新町行を2本増発

終電繰り上げが実施される一方、3密回避のため終電前に列車の増発が行われる。増発列車として案内されているのは、青砥23時18分発特急神奈川新町行(2386H)と羽田空港第1・第2ターミナル23時48分発エアポート急行神奈川新町行(2412D)の2本。

2386Hは現行ダイヤで羽田空港第1・第2ターミナル行として運転している列車で、行先変更となる。もともと87H運行は京急蒲田1番線で停泊となる運用だが、2430Dエアポート急行神奈川新町行の運転取り止めに伴い京急蒲田止となる31H運行と入庫する場所を交換する格好。なお、2386Hは京成線内快速運転のため、京成線内で快速神奈川新町行2)が見られるようになる。

2412Dも2313H品川行からの行先変更により神奈川新町行となる。13H運行は現行ダイヤで品川入庫となっているが、代わりに前述の25H運行が同駅入庫となる。

3.品川〜京急蒲田間普通列車(蒲田ローカル)の運転取り止め

新型コロナウイルス感染症の影響で昨年の5月上旬より運休となっている品川〜京急蒲田間の普通列車(通称:蒲田ローカル)が正式に運転が取り止められる。蒲田ローカルはもともと2012年10月ダイヤ改正で日中時間帯の品川方面エアポート急行が快特に格上げされるのに伴ってエアポート急行停車駅を救済するために設定された運行系統だが、8年半で終止符が打たれることになった。品川〜京急蒲田の快特通過駅については、他の区間と同様に普通列車が毎時6本停車するだけとなる。

なお、運用の都合で5月以降も運休を免れていた平日の蒲田ローカル3本(1070京急蒲田行、1577・1571品川行、詳しくはこちら)については、1070は消滅、1577と1571は列車番号を変えて平和島始発に変更される。後者の平和島始発というのはなかなか妙ちくりんな列車だが、新町検車区からの回送の都合でこういう形になったものとみられる。

土休日ダイヤにおいても蒲田ローカルは運転取り止めとなるが、蒲田ローカルへの送り込みを兼ねていた快特京急川崎行増結車4本はそのまま維持される。813A〜903Aは引き続き京急川崎まで12両編成で運転される。

4.モーニング・ウィング3号を12両編成化(5月6日より)

5月6日より、モーニング・ウィング3号(653A三浦海岸6時9分発品川行)の12両編成化を行う。三浦海岸→金沢文庫を4両編成とし、金沢文庫始発の8両編成と連結して品川まで12両編成で運転する。三浦海岸始発の4両編成には話題の新車・新1000形1890番台が使用される予定で、同車ご自慢のデュアルシートがさっそく活用されることになった。4両編成のウィング号は初登場となる。

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京急新1000形1890番台 イメージ

▲モーニング・ウィング3号に使用されることとなった新1000形1890番台。3月3日の終電後に1891編成が総合車両製作所(J-TREC)より京急へ入線し、デビューに向けて調整が進められている

これに伴い、715C特急羽田空港行が金沢文庫〜神奈川新町で前4両増結を取り止め、全区間8両編成単独での運転になる。すなわち、モーニング・ウィング3号の12両編成化は、715Cの増結取り止めで捻出した4両分を活用する格好になっている。

なお、モーニング・ウィング3号の12両編成化をもって1890番台を5月デビューとしている報道も一部で見られるが、京急としてはあくまで同列車に使用するとしか言っていない点に注意。言わずもがな1890番台の強みはロングシート車両として一般の列車にも使用できるところなので、モーニング・ウィング3号の12両編成化とは無関係なタイミングでしれっと営業運転を開始する可能性はなきにしもあらず。

5.イブニング・ウィング20号・22号を臨時列車化

イブニング・ウィング20号(2272A、品川22時17分発三崎口行)と同22号(2276A、品川23時ちょうど発京急久里浜行)を臨時列車化する。運行情報は公式Webサイト「KQuick」や駅の掲示で確認してくださいとのことだが、今のところ運転日の設定はなし。

6.日中時間帯下り普通列車の待避パターンを変更

プレスリリースには記載されていない事項だが、日中時間帯の下り普通列車について、待避パターンが変更される。従来は生麦で快特を、神奈川新町でエアポート急行と快特をそれぞれ待避していたが、新ダイヤでは生麦で快特とエアポート急行を、神奈川新町で快特をそれぞれ待避するようになる。生麦→神奈川新町でエアポート急行が普通に対して先行する格好となり、神奈川新町で普通→エアポート急行の乗換えができなくなる。

◆ ◆ ◆

以上、3月27日のダイヤ改正をざっくりと概観した。社会の情勢を受けてネガティブな内容が目立つのは悲しいところが、新時代の京急を体現した新1000形1890番台がまもなく登場するなど楽しみな面もある。そして、やはり珍列車と呼べるような列車も現れているので、それは別途紹介していくことにしよう。

  • 1)全線時刻表 - 京急電鉄公式Webサイト
  • 2)京急の全線時刻表では青砥〜押上も特急として掲載されているが、京成側の時刻表では快速となっているので、誤植とみられる。

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