2021.06.14
平和島始発の普通品川行を見る。
新型コロナウイルス感染症の影響による利用状況の変化への対応や、夜間における保守作業時間の確保を目的として実施された2021年3月27日ダイヤ改正。そのダイヤ改正において、平日の午後に2本だけ平和島始発普通品川行という列車が設定された。平和島始発とはずいぶんと妙ちくりんな列車だが、運行の様子を見に行ってみたのでレポートしよう。
平日2本のみ、平和島発普通品川行
平日の午後に突如出現する2本の平和島始発普通品川行1571レ・1573レ。これらは、結論から言うと同改正で廃止された品川〜京急蒲田間の普通列車、通称"蒲田ローカル"の成れの果てである。もとは京急蒲田始発の蒲田ローカルとして走っていた1577レと1571レで、それぞれをダイヤ改正で平和島始発に変更したものとなっている。
蒲田ローカルと言えば、2021年3月ダイヤ改正以前より新型コロナウイルス感染症の影響で2020年5月より運休が続いていたが、蒲田ローカルの運休状況のレポートでも記したように、1577レと1571レの2本は運用の都合で運休したくてもできない列車だった。したがって、蒲田ローカルの廃止に際してもやはり運用の都合でこれらの列車を完全に消し去るわけにはいかず、平和島始発という格好で中途半端に残っちゃったというわけである。
平和島始発の列車は、2003年7月から2010年5月まで走っていた1032レ普通浦賀行1)以来の設定となる。この時の平和島始発は下り列車だったが、上り列車となるとはたして前例はあるのだろうか。
なぜ、平和島始発なのか
時刻表上では平和島始発として現れる1571レ・1573レだが、列車としては神奈川新町より新町検車区出庫の回送列車として運転されている。この2本の列車はなぜ平和島から営業運転となるのか、神奈川新町出庫の場面から追いかけてみた。
神奈川新町を出発した1571レ・1573レは、まず京急川崎まで走行。同駅7番線に入って後続のエアポート急行と快特を待避する。続いて、京急蒲田駅の切り欠きホーム5番線に入線して普通と快特を待避。ようやく平和島まで走って、同駅より営業運転を開始する。
京急川崎からの動きはダイヤ改正以前の蒲田ローカルと同じなので、1571レ・1573レも京急蒲田から営業運転をしようと思えばできるものと思われる。そうでない理由は5番線で客扱いを行いたくないということだろう。この時間帯の普通は全て6番線発着なので、1571レ・1573レを京急蒲田始発にすると、この2本だけイレギュラー的に5番線からの発車となってしまう。乗客の混乱を招くし、いわゆる蒲田ダッシュ2)も誘発してあまりよろしくない。
それだったらもう品川まで全区間回送でもいいような気がするけど、蒲田ローカル自体がもともとは品川〜京急蒲田間のエアポート急行停車駅のための救済列車だったので、やはりそれを廃止してしまうことに対する負い目がある・・・? 京急蒲田の次に始発列車が設定可能な平和島から営業運転を行っているのは、京急のせめてもの罪滅ぼし(?)ということだろうか。
- 1)品川〜平和島間回送。品川から営業運転すると後続の快特に追いつかれてしまうので、平和島まで回送で逃げて営業運転を行っていた。
- 2)京急蒲田駅の切り欠きホーム2番線・5番線に停車している列車に急いで乗り換えること。ホームが離れているくせに乗り換え時間が少ないため、走らないと間に合わない。
- ツイート
- #
関連記事
京急線 2021年3月27日ダイヤ改正
京急電鉄では、3月27日にダイヤ改正を行う。今回のダイヤ改正について、京急電鉄や直通各社局のプレスリリース、16日に公式Webサイトで公開された全線時刻表などを参照しながら、その内容を見てみよう...
京急線 こんにちは逗子・葉山行
こんにちは、逗子・葉山行(9ヶ月遅れ)。3月14日、京急電鉄では以下の6駅について駅名変更を実施した。京急によれば、大師橋、花月総持寺、京急東神奈川、逗子・葉山の4駅は沿線地域の活性化に繋げる...
京急線 蒲田ローカルの運休状況
京急線で日中時間帯に運転されている品川〜京急蒲田間の普通列車、通称"蒲田ローカル"。現在、新型コロナウイルス感染症の影響で運休とされているが、その状況をレポートしよう。世界中で猛威を振るっている...
京急線 さようなら新逗子行
さようなら、新逗子行。3月14日に予定されている京急線の駅名変更まで残すところ1週間。駅名変更は羽田空港国際線ターミナル(→羽田空港第3ターミナル)と同国内線ターミナル(→同第1・第2ターミナル...
京急線 座席指定サービス「ウィング・シート」に乗る - 考察編
京急線の座席指定サービス「ウィング・シート」に乗ってみた。京急線にて2019年10月ダイヤ改正で新設された、座席指定サービス「ウィング・シート」。サービス開始からもうすぐ3ヶ月が経とうとして...
最新記事
新京成線 2024年3月23日ダイヤ改正
新京成線、久しぶりにダイヤ改正を実施。新京成電鉄では、3月23日にダイヤ改正を実施した。平日朝における列車増発と夜間時間帯の運転間隔見直しが主な内容となっている。それぞれについて内容を見てみよう...
京成3700形 機器更新車が登場
京成3700形に機器更新車が登場。デビューから今年で33年を迎える京成3700形。ここ最近は、車体改修工事の実施や脱線事故とそれに伴う廃車、北総鉄道へのリース・返却など何かと話題に事欠かない車両...
四直珍列車研究 132 - 平日 2300
押上線の6両編成、しれっと復活してしれっと消える。平日2300レは、かつて運転されていた普通押上行である。2022年2月ダイヤ改正で設定された、押上線を走る唯一の6両編成の列車であった。押上線の...
国鉄型車両を訪ねて 26 - JR東日本201系 通勤快速成東・勝浦行
さようなら、「なるかつ」。「へー、京葉線なのに勝浦まで行くヤツがあるんだ。」ある時に時刻表の京葉線のページを眺めていて「発見」した勝浦という文字は、私の中で驚きとともにやけに魅力的に映った...
北総線 タブレット端末を活用した自動放送を導入
北総線で自動放送始まる。北総鉄道では、2月16日より列車内における自動放送の使用を開始した。対象となるのは、他社局線からの直通車両を含む北総線の全ての列車となっている。京成線と京急線で実施して...