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2022.04.29

京成電鉄、新京成電鉄を完全子会社化へ。

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新京成80000形 80016編成
2020.1.5/二和向台〜三咲

▲京成3100形との共同開発によって登場した新京成80000形。京成と新京成はこれまでもグループ関連企業としてさまざまな連携を行ってきたが、より強固な協力体制を構築するため京成は新京成を完全子会社化する

4月28日、京成電鉄はグループ関連企業の新京成電鉄を完全子会社化すると発表した1)。京成は3月末現在において新京成の株式を44.64%保有、同社を持分法適用関連会社としているが、残りの株式を株式交換により取得することで100%子会社化するとのこと。効力発生日は9月1日。なお、新京成は東京証券取引所スタンダード市場への上場企業だが、完全子会社化に伴い上場は廃止となる。

京成は新京成を完全子会社とすることについて、従来以上に緊密化した連携を図りグループで一体となった経営の遂行を実現させるためと説明している。京成と新京成はこれまでも直通運転の実施や鉄道車両の共同開発、高速バスの共同運行などグループ企業としてさまざまな連携を行ってきたが、各々が上場会社として独立している現状においてそれは必ずしも十分で効率的なものではなかったという。京成以外にも株主が存在する新京成においては利益相反を考慮して京成との取引の必要性や合理性をその都度担保しなければならず、また投下した資本の半分以上が他の株主の利益になってしまうという構造もあった。新京成が京成の完全子会社となることでこうした問題は解消され、迅速な意思決定や経営資源のより効率的な活用が可能となる。

両社はともに千葉県北西部を中心とした運輸業・サービス業を展開しており、この地域における事業基盤の強化や経営資源の相互活用による競争力強化、事業規模の拡大、スケールメリットを活かした効率的な組織体制の実現といったシナジーの創出が期待される。目下、新型コロナウイルス感染症の感染拡大や燃料費の高騰など、経営環境の厳しさは増すばかり。公共交通機関という社会インフラを担う両社にとって強固な協力関係を構築することは、先行きが不透明な情勢の中できわめて妥当な判断であると言える。

なお、新京成電鉄のブランドについては、沿線地域に浸透していることを鑑みて現時点で変更等するつもりはないことが京成から新京成に示されている。組織体制についても具体的な変更は予定していないとのこと。むろん合併するわけでもないので、新京成は9月以降も新京成のままであり、利用者にとって目に見える変化はほとんど生じないものと予想される。

ただし、当然ながら中長期的にはどうなるかわからない。その時々の経営環境により変化が訪れるかもしれないし、例えば今のところ新京成の独自性が取り入れられている車両にしても、将来的には京成と完全に共通仕様になる可能性などは大いに考えられる。

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