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エトセトラ

2022.05.13

5月11日、京急電鉄は2022年度の鉄道事業設備投資計画を発表した1)。これを読んで、同社の今後の動きを探ってみよう。

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京急1000形 1892編成
2021.5.28/神奈川新町

▲2021年5月にデビューした1000形1890番台。2022年3月までに5編成が導入されているが、今年度の新造はなし
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京急1500形 1501編成
2021.9.24/港 町

▲置き換え進む1500形界磁チョッパ車。今年度は新車なしでちょっとだけ一安心・・・?
2022年度は新車導入なし

まず車両について見てみよう。最も気になる車両の新造については、プレスリリース内をいくら探しても新造の文字はなし・・・というわけで、2022年度は新車を導入しない模様である。京急では毎年度コンスタントに新車を入れているが、年度単位で車両の入籍がないのは1983年度以来、実に39年ぶりのこと。

新車が入らないのは、置き換えの対象がないからと思われる。今のところ1500形鋼製車が廃車候補の最右翼とみられるが、1501編成と1517編成ともに検査期限に比較的余裕がある状態なので、今年度に限っては無理に新車を入れて置き換えを進めることもないという判断だろうか。ただし、新車が入らないからといって必ずしも廃車が発生しないとも限らず、ダイヤ改正等で車両の運用数を減らして廃車が進められる場合もあるので油断は禁物である。

シーメンス製VVVFインバーターが消滅か

新車が入らない分、車両の更新には少し力が入っており、今年度は4両編成2本に対して車体更新を、8両編成2本と4両編成2本に対して機器更新を実施する。気になるのは機器更新で、8両編成2本と4両編成2本というのは2021年度末現在でシーメンス製VVVFインバーターが残っている編成(1041編成と1057編成、1441編成、1445編成)の数と一致する。したがって、この通りに機器更新が実施されるならばシーメンス製VVVFインバーターは今年度をもって終焉を迎える可能性が高い。

1500形を置き換えへ?

今年度の鉄道事業設備投資計画では2022年度以降の取り組みにも触れられており、その中で省エネ⾞両への代替による使⽤電⼒量の削減について言及している。例えば、1500形界磁チョッパ車(アルミ車)を1000形で置き換えた場合、約37%のエネルギー量削減になるとのこと。少なくとも、鋼製とアルミ製にかかわらず界磁チョッパ制御車を淘汰するのは既定路線なのであろう。

既に1000形による1500形の置き換えは始まっているわけなので特に驚くことでもないが、気になるのはやはりその先。はたして1500形の置き換えはVVVFインバーター車にも及ぶのかどうか。さらに、京急からの譲渡車を多く保有することでんは、2021年6月に公表した移動等円滑取組計画書の中で2024年度よりバリアフリー対応の車両の導入を明らかにしている2)が、これと1500形の置き換えとの関連性など、興味は尽きない。

ホームドアの整備を推進

安全対策の面については、ホームドア設置工事を推進する。京急では2010年10月に開業した羽田空港第3ターミナル駅3)を皮切りに2021年度までに9駅に対してホームドアを設置してきたが、2022年度と2023年度の2年で新たに10駅に設置するとして、ホームドアの整備を加速させる。

設置予定駅は梅屋敷と八丁畷、生麦、京急東神奈川、日ノ出町、弘明寺、杉田、金沢文庫、金沢八景。これまで乗降客数の比較的多い主要駅を中心にホームドアを設置していたのに対し、今回発表された分は事故の発生状況を踏まえて普通列車しか停まらない小駅も含んでいるのが特徴的。

ホームドア整備と合わせてホーム固定柵の設置も積極的に行っていくとのこと。2030年代中ごろまでに京急線全駅へのホームドアあるいはホーム固定柵の設置完了を目指すとしている。

連続立体交差化事業など

鉄道事業設備投資計画で言及のある連続立体交差化事業と駅の大規模改修工事については次のとおり。

  • 品川駅付近連続立体交差化事業:品川〜北品川間1.7kmを立体交差化する。2020年度に事業着手しており、2029年度事業完了の予定で工事を進めるとしている。この事業により品川駅は地平化されるとともに2面4線となる予定。
  • 大師線連続立体交差事業:大師橋付近の地下化は2018年度に完成済。引き続き地上部の整備などを行う。
  • 羽田空港第1・第2ターミナル駅引上線新設工事:羽田空港アクセスのさらなる輸送力増強と利便性向上を図るため、羽田空港第1・第2ターミナル駅に引上線を設置する。品川駅の2面4線化と合わせて毎時15本の列車の運行が可能となる。
  • 泉岳寺駅改良工事:駅隣接街区における市街地再開発事業と連携して泉岳寺駅のホーム拡幅などを行う。駅周辺地区の開発による交流人口の増加に対応する。
運賃値上げを検討

このほか、京急では運賃改定を検討していることを明らかにした。運輸収入について新型コロナウイルス感染症の収束後もコロナ前の水準への回復が見込まれないとした上で、連続⽴体交差事業やホームドアの整備などで多額の設備投資が必要なためと説明している。関東の鉄道事業者ではJR東日本と東京メトロ、東急、西武が2023年春の運賃値上げ実施を発表しているが、京急も行うとすればこのタイミングだろうか。

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