KSWeb

鉄道やバスなど、公共交通に関するディープな話題をお届けしています。

etc...

エトセトラ

2023.03.08

さようなら、都営5300形。

D33317.jpg

都営5300形 5320編成
2019.12.27/京成臼井〜京成佐倉

▲5300形は5500形へのデジタルSR無線対応工事の予備車として5320編成のみが残っていたが、2月23日の07T運行をもって運用離脱。5300形は引退した

都営5300形で最後の1編成となっていた5320編成。そんな5320編成は2月23日の07T運行以降運用に入っておらず、その動向に注目が集まっていたところだが、このほど東京都交通局は5300形の引退を記念した「ありがとう5300形 都営まるごときっぷ」の限定発売を発表1)。その中で2月中に営業運転を終了していたことが明言され、同編成の運用離脱が確定することとなった。これにより5300形は全編成が引退、32年間の活躍に終わりを告げた。

5300形は都営浅草線開業時から走っていた5000形の置換え用として1991年3月にデビュー。VVVFインバーター制御やLED式の行先表示、自動放送など当時の最先端となる技術を採用し、1995年度までに導入された26編成と1997年度に追加で入った1編成を加えた27編成が運用に入った。VVVFが奏でる独特のサウンドや\にゃーん/と表現される警笛、高速域での惰性運転時における駆動装置の激しい振動など、何かとクセが強い車両であった。

5300形が四直各線内で八面六臂的な活躍を見せていたのはもはや説明不要であろう。とにかくコイツはどこにでも出現する。北は京成線の成田空港や北総線の印旛日本医大、南は京急線の三崎口や逗子・葉山、そして時には京成上野など、芝山鉄道線と京成成田スカイアクセス線を除いて8両編成が入れるところならどこでも入った。電車に乗る際、駅のホームに滑り込んでくる5300形に対して「お前かよ・・・」となった方も多いはず。複雑に絡み合う四直の車両運用の中で、各社局間のパイプ役として重宝された。

D00844.jpg

都営5300形 5317編成・5311編成
2009.3.26/京成立石〜青砥

▲京成押上線を行き交う5300形。5300形は5314までの編成とそれ以降の編成でスカートの長さが異なる。この違いはどちらがよりカッコいいかなどを巡って時に論争を巻き起こした
N12637.jpg

都営5300形
2008.11.8/馬込車両検修場

▲馬込車両検修場の5300形たち。5500への置き換えで、この風景も過去のものに

5500形が27編成出揃った2021年9月以降も1編成だけ残った5320編成は、5500形へのデジタルSR無線対応工事に伴う予備車として扱われていたとされる。予備車とは言っても日々運用入り。2022年2月ダイヤ改正では都営車のアクセス特急運行開始に伴い運用上の制約が生じることとなったが、これ以降も変わらぬ姿で直通各線に顔を出し、その健在っぷりをアピールした。都営浅草線内各駅のホームドア輸送にも活用され、同線のバリアフリー化にも貢献。結果的に孤軍奮闘の期間は1年5ヶ月にも及んだが、よくここまで残ったものだと思う。

最後は、ヘッドマークなどの装飾やさよなら運転のない静かな終わり方であった。過去、5000形と5200形が盛大なさよなら運転とともに引退したことをふまえれば、5300形にも何らかの形で引退への花道を飾ってほしくはあったが、本来であれば5500形が27編成出揃った時に引退していてもおかしくなかったはずで、5500形へのデジタル無線対応という事情で与えられたアディショナルタイムが5300形にとっての長〜いさよなら運転の期間だったと思えば、それで十分と言えるだろうか。なにはともあれお疲れさまである。

関連記事

最近、都営車がやたらと京成本線を走っている件

都営車の京成本線乗入れ、増えすぎィ!最近、京成本線で都営車をやたらと見かけるようになったと感じることはないだろうか。そうだとしたら、あなたのその感覚は正しい。なぜならば、現行となる2022年2月...

最近、都営車がやたらと京成本線を走っている件
都営5300形 孤軍奮闘する5320編成

孤軍奮闘する5320編成。東京都交通局では、2017年度より浅草線の第三世代となる新型車両5500形を導入、5300形の置き換えを実施したところである。5500形は2021年9月にも全27編成の...

都営5300形 孤軍奮闘する5320編成
都営5500形 全27編成の投入完了

都営5500形、全27編成の投入が完了。東京都交通局では2017年度より新型車両5500形を導入しているところであるが、このほどそのラストナンバーとなる5527編成がお目見えしている。同編成は...

都営5500形 全27編成の投入完了
都営5300形「浅草線開業60周年記念」ヘッドマーク

祝・都営浅草線開業60周年。東京都交通局では、2020年12月4日に浅草線が開業60周年を迎えたことを記念して、同日よりヘッドマーク車両の運行を実施している。ヘッドマークを掲出しているのは...

都営5300形「浅草線開業60周年記念」ヘッドマーク
都営浅草線 5500形導入と5300形の置き換え状況

増える5500形、減る5300形。東京都交通局では2017年度より浅草線に5500形を導入している。東京都交通局では2017年度より浅草線に5500形を導入している。5500形は2018年6月の...

都営浅草線 5500形導入と5300形の置き換え状況

最新記事

四直珍列車研究 134 - 平日 1681K

京成車の特急泉岳寺行が登場。平日1681Kレは、京成車で運転される特急泉岳寺行である。2023年11月ダイヤ改正で登場した列車となっている。京成車の泉岳寺行は都営浅草線西馬込始発のものは数多く...

四直珍列車研究 134 - 平日 1681K
京急1000形 「京急夏詣号」運転(2024年)

空とあなたと夏詣。京急電鉄では、6月末より「京急夏詣キャンペーン2024」の実施に合わせて、「京急夏詣号」の運転を行っている。「夏詣」キャンペーンは同社が2019年度より毎年実施しているもので...

京急1000形 「京急夏詣号」運転(2024年)
都営浅草線 自動放送どうするの問題を考える

都営浅草線の自動放送どうするの問題を考える。列車内における案内として重要なアナウンス。アナウンスでは列車の種別行先や次駅の案内が行われるが、昨今では自動放送が主流となっており、車掌が自らの肉声で...

都営浅草線 自動放送どうするの問題を考える
船橋新京成バス2741号車 「ふなっしー号」

「ふなっしー」なバスが走る。船橋新京成バス2741号車が特別仕様「ふなっしー号」として走ってる。「ふなっしー」といえば千葉県船橋市を中心に暴れている同市で人気の非公認キャラクターだが、2023年...

船橋新京成バス2741号車 「ふなっしー号」
北総車の京急線内特急運転が復活

約19年ぶりに復活した北総車の京急線内特急運転を見る。京急線に大きな変化をもたらした2022年11月ダイヤ改正。京急自ら「23年ぶりの大改正」としたこのダイヤ改正では、特に日中時間帯の運行...

北総車の京急線内特急運転が復活