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エトセトラ

2023.07.18

立場が逆転した快速特急三崎口行。

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京急1000形 1105編成
2023.2.24/京成立石〜青砥

▲京成押上線を行く京急1000形の快速特急三崎口行。京急車の快速特急三崎口行は2022年2月ダイヤ改正で多数設定されたが、11月ダイヤ改正で一転して平日1本の珍列車になった
  • [平日]1586H 快速特急三崎口
  • 始発:青 砥1548 → 終着:三崎口1731
  • ダイヤ:2022.11.26改正
  • 備考:押上から快特、泉岳寺から1586SH

2022年2月ダイヤ改正で登場した京急線京急久里浜・三崎口発着の京成押上線内優等列車。この運行系統については、以前の記事で多数走る快速特急三崎口行の中で1本だけ存在する平日1654H特急三崎口行を取り上げたところであるが、同年に実施された11月ダイヤ改正で大きな異変が生じることとなった。快速特急と特急の立場がまるで逆転し、今度は快速特急三崎口行が平日に1本のみ見られる珍列車となってしまったのである。その1本が、今回ご紹介する平日1586Hである。

2022年11月ダイヤ改正では京急は自ら「23年ぶりの大幅ダイヤ改正」として、京急線内の日中時間帯の運行パターンを刷新。従来の快特毎時6本体制を捨て、都営浅草線に直通する快特(SH快特)を特急(H特急)に格下げした。これにより、23年ぶりに日中時間帯にH特急が復活したのは既報のとおりだ。

一方、京成側では2月ダイヤ改正より京急久里浜・三崎口からの直通列車の一部を押上線内で快速特急として運転していた。これらの列車、なぜ押上線内で特急や快速ではなく快速特急だったかというと、京急線内での種別である快特に合わせたため。というわけで、11月ダイヤ改正では京急側の変更に合わせて押上線内も特急に変更。快速特急三崎口行だった列車は特急三崎口行として運転することになった。

周りの列車が特急に変更される中、快速特急のままイレギュラー化したのが表題の1586Hである。この列車が特急でなく快速特急なのはもちろん京急線内の種別が快特のため。実は京急の11月ダイヤ改正は日中時間帯の運行パターンを全面的に変更したのではなく、平日9〜10時台上りや16時台下りなどにわずかながら従来のパターンで運行する時間帯が残った。その時間帯に京急線を下る1586Hは京急線内をH特急ではなくSH快特として走るため、始発の青砥の時点の種別も快速特急となっているわけだ。

以上のように、2月ダイヤ改正で登場した京急車の京成線内快速特急は、結果的にわずか9ヶ月でそのほとんどが特急に再変更されることとなった。やはりダイヤは生きものである。日中時間帯に組み込まれた列車だからといって安泰とは限らない。我々はとかく臨時列車や試運転など目先の珍しさに走ってしまいがちになるが、押上線快速特急と特急の逆転現象は日常の記録というものの大切さを改めて感じさせてくれる事例である。

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