KSWeb

鉄道やバスなど、公共交通に関するディープな話題をお届けしています。

etc...

エトセトラ

2023.09.23

3月18日に開業した京葉線幕張豊砂駅。先日、訪れる機会があったのでレポートしてみたいと思う。幕張豊砂駅の最遅レビュー。

X85847.jpg

幕張豊砂駅 全景
2023.9.18/**

▲イオンモール幕張新都心側から見た幕張豊砂駅。駅前のバスターミナルは当初「イオンモール幕張新都心バスターミナル」バス停として供用開始した(後に「イオンモール幕張新都心ファミリーモール前」に改称)が、新駅開業に伴い「幕張豊砂駅(イオンモール幕張新都心ファミリーモール前)」に改称された
30年の時を経て開業した幕張豊砂駅

京葉線新習志野~海浜幕張間に開業した幕張豊砂駅。駅は幕張新都心の西側、千葉市美浜区豊砂と習志野市芝園からなる幕張新都心拡大地区と呼ばれる地区に位置する。

拡大地区への新駅は、1991年に千葉県がJR東日本に設置を要請したのが発端とされる。1994年には新駅設置のための準備会が設立されたが、同地区はバブル崩壊の影響もあって開発がほとんど進まず、広大な空き地が広がる地区に新駅なんて夢のまた夢。新駅設置の話はいったん立ち消えとなっていた。

潮目が変わったのは、やはり2013年末にイオンモール幕張新都心が開業したことであろう。日本最大級の規模を誇るショッピングモールがこの地にできたことで街に大きな回遊性が生まれ、新駅設置の機運が高まった。駅予定地にはバスターミナルも整備され、あとは駅ができるのを待つばかりであった。

こうして2017年12月に千葉市と千葉県、イオンモールからなる幕張新都心拡大地区新駅設置協議会が改めて設立され、JR東日本1、千葉県1、千葉市1、イオンモール3の割合で合意した費用負担の下、新駅設置が具体的に進められた。2023年3月、最初の要請から30年以上の時を経てようやく駅が開業したのである。

貨物線の計画の名残をとどめる駅構内

駅は2面2線。複線で2面2線というと通常は相対式ホームを思い浮かべるところだが、地平を走る下り線と高架の上り線が同居する、ほかでは見られない構造となっているのが当駅最大の特徴であり、面白いところである。なぜ上り線だけが高架なのかというと、かつてこの付近に貨物駅を設置する計画があったことの名残。駅があるのは、貨物駅との分岐において平面交差を避けるため上り線だけ高架を走る箇所となっている。その後の計画変更で貨物駅は幻となるわけだが、京葉線がもともと貨物線として計画された頃の趣きが駅の構造から感じられる。

X85813.jpg

幕張豊砂駅 改札内コンコース
2023.9.18/**

▲駅構内の様子。改札口と同一フロアに下り列車が発着する一方、高架の上りホームに繋がる階段・エスカレータがある
X85796.jpg

幕張豊砂駅 1番線ホーム
2023.9.18/**

▲地平の下りホーム。目の前には京葉車両センターの留置線群が広がる

駅名については、千葉市に在住または在勤、在学する人を対象にした公募を行い、その中から決定された。1位:幕張新都心、2位:新幕張、3位:幕張ゲートウェイという結果の中で13位の幕張豊砂が選ばれたわけだが、3位の幕張ゲートウェイはともかく、1位の幕張新都心にしても海浜幕張を差し置いて地域の代表ヅラした名称をあてるわけにもいかないので、シンプルに地域の名前がとられた駅名になったのは妥当なところだと思う。イオンモール前などと商魂丸出しなものにならなかったのもよかった。なお、駅自体は豊砂ではなく浜田にある。

当駅は特に幕張メッセやZOZOマリンスタジアムでのイベント開催時における海浜幕張駅の混雑緩和に期待する向きもあるが、現状ではイオンモールやコストコへの買い物や周辺の工業団地への通勤利用がせいぜいといったところだろう。駅の北側にある運転免許センターについても直線距離では近くて便利そうに見えるが、アクセスするには道路の関係で大きく迂回する必要があり、結局こちらも今のところ海浜幕張の方が利便性が高い。

勝手にE231系・209系撮影会

幕張豊砂駅の最大の魅力は、やはりその立地。京葉線と武蔵野線の車両を管轄する京葉車両センターに隣接し、特に下りホームからは留置線群に並ぶ車両をアイレベルで眺めることができる。本線と留置線を隔てる塀や柵もなく、車両を観察するのにこれほど条件の整った場所もなかなかないのでは。

X85843.jpg

JR東日本 E231系・209系
2023.9.18/幕張豊砂

▲武蔵野線で運用されるE231系と209系がずらりと並ぶ
X85803.jpg

JR東日本 E231系・209系
2023.9.18/幕張豊砂

▲E231系と209系の並び。こうして並んでくれると両形式の差異がよく分かる

ずらりと並んだ車両はなんともフォトジェニック。カメラを構えずにはいられないところだ。昨今、車両基地内で撮影会を行うツアーが隆盛だが、ここならいつでも勝手に撮影会が開催できるぞ。

  • JR東日本
  • タグはありません

関連記事

JR東日本E231系マト139編成 横須賀色(スカ色)で常磐線を走る

スカ色のE231系が常磐線を走る。JR東日本松戸車両センターに所属するE231系マト139編成がクリームと青の通称:横須賀色(スカ色)として走っている。これは、今年で開業から120周年を迎えた...

JR東日本E231系マト139編成 横須賀色(スカ色)で常磐線を走る
山手線 高輪ゲートウェイ駅でE235系を撮る

話題の新駅、高輪ゲートウェイ駅で山手線のE235系を撮る。2020年に3月に開業した高輪ゲートウェイ駅。田町車両センターの跡地にできたこの新駅は、山手線で実に半世紀ぶりの新駅であること、隈研吾氏...

山手線 高輪ゲートウェイ駅でE235系を撮る
横須賀・総武快速線 E217帝国崩壊の始まり

E217系、終焉へのカウントダウンが始まる。12月21日、E235系が横須賀・総武快速線で営業運転を開始した。同線はE235系にとって山手線に続く第2の投入線区となり、分割・併合を伴う15両編成...

横須賀・総武快速線 E217帝国崩壊の始まり
さようなら 武蔵野線205系

さようなら、武蔵野線の205系。10月19日、武蔵野線の205系として最後の1本となっていたケヨM20編成が運用を離脱。武蔵野線を走る205系は終了した。武蔵野線の205系と言えば、当時の豊田...

さようなら 武蔵野線205系
さようなら 山手線E231系500番台

山手線の世代交代、完了す。かねてよりE231系500番台からE235系への置き換えが進められていた山手線だが、このほどE231系として最後まで残っていたトウ506編成が中央総武線への転用改造の...

さようなら 山手線E231系500番台

最新記事

京成線 京成成田駅にイラスト入り駅名標が登場

京成成田駅にイラスト入りの駅名標が登場。京成線の京成成田駅にイラスト入りの駅名標がお目見えしている。登場したのは、3月末あるいは4月頭の模様。成田と言えば真言宗智山派の大本山のひとつ成田山新勝寺...

京成線 京成成田駅にイラスト入り駅名標が登場
北総7300形 臨時特急「ほくそう春まつり号」運転(2024年)

今年も春がやってきた。4月21日、北総鉄道が主催する「ほくそう春まつり」の開催に合わせて臨時特急「ほくそう春まつり号」が運転された。昨年、京成本線の八千代台始発として5年ぶりに運転された当列車...

北総7300形 臨時特急「ほくそう春まつり号」運転(2024年)
千葉シーサイドバス路線図 2024年4月1日版

当Webサイトでは、2023年3月の「千葉シーサイドバス路線図 2023年3月1日版」と題する記事にて千葉シーサイドバスの路線図を公開していたところであるが、約1年ぶりに改訂版を発行する。千葉...

千葉シーサイドバス路線図 2024年4月1日版
京成グループ 車両の動き(2023年度)

京成グループにおける2023年度の車両の動きをまとめてみよう。まずは京成。ここ数年は列車無線のデジタル化に伴う予備車の存在や2度にわたる脱線事故の影響などでイレギュラーな車両の動きが続いていたが...

京成グループ 車両の動き(2023年度)
北総7500形 「北総1期線開業45周年記念」ヘッドマーク

北総線開業45周年記念。北総鉄道では、3月上旬より7500形おいて「北総1期線開業45周年記念」ヘッドマークの掲出を行っている。表題のとおり北総1期線(新鎌ヶ谷〜小室)の開業45周年を記念した...

北総7500形 「北総1期線開業45周年記念」ヘッドマーク