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2023.11.24

土休日ダイヤで唯一の通勤特急、19年の運行に幕。

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京成3000形 3035編成
2023.11.3/京成臼井

▲現行の通勤特急で土休日ダイヤにおける唯一の存在だった22A26京成上野行。2004年10月ダイヤ改正で登場した列車だったが、来たるダイヤ改正で快速に変更され、約19年の歴史に幕を閉じる
  • [平日]22A26 通勤特急京成上野
  • 始発:成田空港2235 → 終着:京成上野2354
  • ダイヤ:2022.11.26改正
  • 備考:

京成線では、25日にダイヤ改正が実施される。ダイヤ改正前日の記事として、今回も消えてしまう珍列車を取り上げてみよう。土休日22A26通勤特急京成上野行である。土休日に唯一見られる通勤特急だが、ダイヤ改正で快速に変更されることとなり、消滅する。

2002年10月に登場し、朝ラッシュ時間帯の上り列車と夜間時間帯の下り列車を中心に走る現行の通勤特急。その中にあって、平日2250Tと土休日22A26は特異な存在であった。その特徴は、走る時間帯と方向。夜の遅い時間帯に都心に向かって走るというもので、特に土休日の列車は土休日にただ1本だけ走る通勤特急として唯一無二の存在だった。どうしてこの列車は通勤特急だったのだろうか。

この列車はもともと平休共通で特急京成上野行であった。その歴史は古く、登場したのは1983年10月のこと。現在の東成田駅がまだ成田空港を名乗っていた時代である。ダイヤ改正で23時00分発のスカイライナー京成上野行が削減されることになり、その代わりに設定された列車だった。1991年3月には空港ターミナルの直下に新しい成田空港駅が開業し、列車も新・成田空港発となるが、始発駅が変わっても列車は概ね同じ時刻で走り続けた。

長らく特急として走っていた同列車が通勤特急に変更されたのは、2004年10月ダイヤ改正でのことである。変更は平日・土休日ともに実施され、特に土休日の列車は土休日に通勤特急が走るということで大きな話題を呼んだ。現行の通勤特急は3代目となるが、初代と2代目の通勤特急は平日にしか走らなかったはずなので、土休日に初めて走った通勤特急となった(土休日ダイヤの通勤特急は過去に事例があったようです。たいへん失礼いたしました)。

さて、なぜ同列車が通勤特急に変更されたのかは、利用の少ない深夜時間帯における輸送力の適正化という単純な理由による。列車を京成本線の全区間にわたり通過駅のある特急1)として走らせた場合、前後にその通過駅のための各駅停車を走らせる必要が生じる。これを停車駅の多い通勤特急にすることで、前後を走る各駅停車の運行区間を短くし、少しでも列車を減らそうという意図だった。実際に、前後2本の普通が京成成田発から京成臼井発に短縮され、22〜23時台に京成本線末端部を走る列車が利用状況に合わせて削減された。

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都営5300形 5320編成
2022.12.8/京成高砂

▲こちらも同様に夜間上りの通勤特急として運転していた平日2250T。もともとは土休日と同じく京成上野行だったが、2022年2月ダイヤ改正で都営車への運用変更に伴い行先も西馬込行になった。同じく快速京成上野行に変更となるほか、京成車の運用に戻る

前述のとおり、この列車はダイヤ改正で平日の列車ともども快速に変更される。通勤特急への変更から19年を経て、この時間帯の輸送力調整がもう一段階進められる格好だ。快速化によって京成津田沼まで各駅停車となることから、やはり前後を走る各駅停車が不要となるため、京成津田沼以東で2本の普通を削減。この区間において実質的に3本の列車を1本にまとめるという荒業でもって、深夜帯の輸送力を減らすことに成功した。

今回のダイヤ改正では夜間下りの通勤特急においても一部の列車で快速への格下げが行われており、通勤特急の立場が揺らいでいる。コロナ禍以降、京成は快速を増やすことで京成津田沼以東の輸送力の適正化を図る傾向が顕著で、通勤特急の本数はダイヤ改正を重ねるごとに減る一方。特に、夜間の下り列車は今回のダイヤ改正で2本を残すところとなった。ゆくゆくはこの2本も快速化、下り通勤特急はなくなってしまうのではないか・・・そんな予感すら漂わせている通勤特急の今後はいかに。

※11/25記事訂正

  • 1)当時の特急は京成佐倉〜京成成田間無停車。

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