2014.06.09
KTXに続いて、ソウル首都圏を走る首都圏電鉄の車両たちを見てみよう。なお、諸事情により写真をあまり撮っていないので、車両の外観や駅の様子などは他所のWebサイトを参照してくだされ(ぉ
首都圏電鉄と言っても「首都圏電鉄」という名前の鉄道事業者があるわけではなく、ソウル首都圏を走る通勤電車を総称したものになっている。韓国鉄道公社(KORAIL)、ソウルメトロ、ソウル特別市都市鉄道など8つの鉄道事業者が含まれる。日本に同じようなものがないので想像しにくいかもしれないが、首都圏のJR各線+地下鉄+私鉄の通勤路線群をひとまとめにしたもの・・・となるだろうか。
首都圏電鉄の最大の特徴は、運賃が共通であるところと思われる。複数の事業者を直通する路線はもちろんのこと、異なる事業者どうしの乗換駅においてもほとんどノーラッチ(乗換改札が無い)での乗換えが可能となっている。そのため、乗客は運行事業者の違いを気にする必要がない。これは日本で言うと、前述のJR+地下鉄+私鉄の運賃が共通となっていて、どこで乗換えてもノーラッチで繋がっていると言えばわかりやすいかと思う。それは列車の運行系統の呼称にも現れており、例えばソウルメトロ4号線はKORAILの果川線、さらに安山線と直通運転を行っているが、直通先の果川線・安山線もまとめて4号線と案内される(ラインカラーもまとめてライトブルー)。逆に、KTXやセウマル号、ムグンファ号などの特急列車と首都圏電鉄では運賃体系が異なっており、双方の列車が停車する駅では、同じKORAILの列車でもこれらは別改札でホームも別になっている。
◆ ◆ ◆
さて、海外の鉄道に乗る醍醐味の1つは、日本じゃ聴けない音を出す電車に乗れることだろう。首都圏電鉄を走る電車のうち、いくつかの車両の走行音を録ってきたので、特徴的なものを紹介してみよう。
KORAIL311000系
KORAIL311000系311764 석계→신이문(石渓→新里門)
まずは首都圏電鉄の1号線を走るKORAIL(韓国鉄道公社)の311000系をば。VVVFインバータ(IGBT素子)は韓国の宇進産電製というメーカーのものを採用しているが、日本の東芝と技術提携があるということで、確かに音は何となく全体的に東芝っぽい感じである。この宇進産電製のVVVFインバーターは、KORAILでは標準のものとされているようで、最近製造されたKORAILの車両は全てこのVVVFインバーター装置を搭載する。日本で例えると、JR東海の313系はどこで乗っても同じ音がする・・・みたいなもんだと思う。たぶん。
ソウル都市鉄道5000系
ソウル都市鉄道5000系5268 개화산→김포공항(開花山→金浦空港)
続いて、ソウルの地下鉄のうち5〜8号線を運営するソウル都市鉄道の車両の走行音である。まずは5号線を走る5000系の走行音であるが、この車両はABBというメーカーのVVVFインバーターが採用されている(GTO素子)。ABBはスイスのメーカーということだが、その音は日本の三菱電機製のGTO-VVVFにそっくり。起動時の出だしと停車時の終わりにちょっと間延びするあたりが三菱電機のものとは違うだろうか。
ソウル都市鉄道6000系
ソウル都市鉄道6000系6229 합정→상수(合井→上水)
6号線を走る6000系の走行音である。こちらは日本の三菱電機製のIGBT-VVVFインバーターが採用されている。6000系とは逆に、日本の電機メーカーながら、こちらは日本ではなかなか聞かれない音である。変調のパターンは、同じく三菱電機製のIGBT-VVVFインバーターを搭載する近鉄特急に近いだろうか。
なお、これはソウル都市鉄道に限ったことではないが、車内アナウンスは韓国語と英語の2ヶ国語を標準としており、基本的には全て自動放送である。一部の主要駅ではさらに中国語と日本語が加わる。それにしても日本語の案内を流してくれるのはありがたいのだが、日本語になっていないところ(5000系の音声ファイル内の自動放送では金浦空港の日本語が「キンポ・コンアン」と聞こえる・・・)がちらほらあるのには何とも言えないところ。日本の事業者でも、日本語と英語に加えて中国語と韓国語を放送しているところもあるが、逆に彼らにもおかしなふうに聞こえるところがあったりするのだろうか、気になるところである。
KORAIL空港鉄道2000系
KORAIL空港鉄道2000系2202 인천국제공항→공항화물청사(仁川国際空港→空港貨物ターミナル)
ソウル駅〜金浦空港〜仁川国際空港を結ぶKORAIL空港鉄道2000系の走行音である。VVVFインバーターは韓国・現代ロテム製である(IGBT素子)。同社製のVVVFインバーターはソウルメトロや仁川メトロの車両でも採用されており、韓国内では比較的ポピュラーなもののようだ。
空港連絡鉄道ということだけあって、車内アナウンスは韓英中日の4ヶ国語を標準装備。日本語のアナウンスも上記のソウル都市鉄道のものよりも流暢である。今回のソウル訪問では、仁川国際空港〜ソウル市内の往復にこの空港鉄道を利用してみたが、空港連絡鉄道のくせ(しかも2つの空港を結んでいる)に車内はなんとまあガラガラであった。KORAIL空港鉄道ではこのほか、一部の駅にしか停まらない座席指定制で速達タイプの列車も走らせているが、そちらはもっとガラガラで、この鉄道会社はこんなんで大丈夫なのかと思ってしまう。
関連記事
韓国 ソウル首都圏の交通事情 6 - バスあれこれ@ソウル駅前
さて、ソウル駅前で見かけたバスを適当に掲載してみよう。帰りの空港へ向かう前の時間調整を兼ねてものの2〜30分の撮影といったところだったが、前回の記事でご紹介したようにバスはひっきりなしにしかも...
韓国 ソウル首都圏の交通事情 5 - ソウル駅バス乗換センター
ってことで、帰りの空港行までの時間調整を兼ねて、ソウル駅前のバス乗換センターの様子を小一時間ばかり観察してみた。バス乗換センターと言っても、基本的にはバス専用レーン上に方面別の乗降ホームが...
韓国 ソウル首都圏の交通事情 4 - ソウル市内のバス事情
ソウル首都圏の交通事情、続いてはバスの話題を取り上げてみよう。韓国は鉄道よりもバスの国という感じで、都市内で完結する路線バスはもちろん、都市間バスや高速バス、そしてかの有名な4人組が乗った...
韓国 ソウル首都圏の交通事情 3 - 首都圏電鉄の電車あれこれ2
前回に引き続き、韓国ソウルの首都圏電鉄の電車の走行音を適当にアップしていこう。走行音その2は、ちょっと古めの車両篇である。まずはKORAIL311000系の走行音。311000系は前回の記事でも...
韓国 ソウル首都圏の交通事情 1 - 韓国高速鉄道KTX@ソウル駅
3月のある数日間、お隣の国、韓国に行ってきたので。韓国の、特に首都ソウル周辺の交通事情について適当に記しておきたいと思う。ソウルの空の玄関口、仁川(インチョン)国際空港を降り立った私は。その足で...
最新記事
最新記事
四直珍列車研究 134 - 平日 1681K
京成車の特急泉岳寺行が登場。平日1681Kレは、京成車で運転される特急泉岳寺行である。2023年11月ダイヤ改正で登場した列車となっている。京成車の泉岳寺行は都営浅草線西馬込始発のものは数多く...
京急1000形 「京急夏詣号」運転(2024年)
空とあなたと夏詣。京急電鉄では、6月末より「京急夏詣キャンペーン2024」の実施に合わせて、「京急夏詣号」の運転を行っている。「夏詣」キャンペーンは同社が2019年度より毎年実施しているもので...
都営浅草線 自動放送どうするの問題を考える
都営浅草線の自動放送どうするの問題を考える。列車内における案内として重要なアナウンス。アナウンスでは列車の種別行先や次駅の案内が行われるが、昨今では自動放送が主流となっており、車掌が自らの肉声で...
船橋新京成バス2741号車 「ふなっしー号」
「ふなっしー」なバスが走る。船橋新京成バス2741号車が特別仕様「ふなっしー号」として走ってる。「ふなっしー」といえば千葉県船橋市を中心に暴れている同市で人気の非公認キャラクターだが、2023年...
北総車の京急線内特急運転が復活
約19年ぶりに復活した北総車の京急線内特急運転を見る。京急線に大きな変化をもたらした2022年11月ダイヤ改正。京急自ら「23年ぶりの大改正」としたこのダイヤ改正では、特に日中時間帯の運行...