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2010.05.17

"D"の意思を受け継ぐもの・・・

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京急600形 607編成
2010.5.16/八丁畷

▲今改正で登場したエアポート"D"急行、記念すべき1発目は607編成

出出しが某海賊漫画のようになってしまったが、5月16日の京急線ダイヤ改正でエアポート急行が新設された。1999年7月ダイヤ改正で京急蒲田以南から急行が消滅した時、京急は"京浜快特電鉄"などと揶揄されたが、今回は"京浜エアポート急行電鉄"の誕生・・・? ともあれ、まずはエアポート急行の概要をみてみよう。

運転系統

運転の系統は、品川・日本橋方面~羽田空港(以下、品川方面と言う)および羽田空港~新逗子(同じく以下、横浜方面)である。同じエアポート急行を名乗る種別ながら両者の性格は全く異なり、前車は既存の急行を後者の登場に合わせて種別名を変更したもの、後者は今改正で登場した全く新しい種別のエアポート急行である。品川方面から直接横浜方面に向かう列車(またはその逆)は現時点では存在せず、停車駅案内においてもそのような表現になっているので、将来的にも設定するつもりはないようだ。

個人的には、既存の急行をエアポート急行にする必要はなかった、と言うか、してほしくなかったのだが、新設された横浜方面のエアポート急行は、以前に運転されていた急行とは停車駅が異なるため、急行の復活とはしなかった(できなかった)ように思われる。よって、エアポート急行と急行が同時に存在するなどと無駄に種別数を増やすようなことはせずに、既存の急行も半ば巻き添えを食うカタチでエアポート急行に変更となってしまった。

ところで、エアポート急行の新設ばかりに目が行ってしまいがちだが、裏を返せば京急から純粋な急行が消滅したダイヤ改正となったわけである。太平洋戦争時の運転休止期間があるものの、戦前から運転されていた伝統ある種別が消滅した歴史に残るダイヤ改正と言えよう。

車両運用

横浜方面のエアポート急行は、平日の一部に6両編成のエアポート急行が存在するほかは主に8両編成で運転されるようである。列車番号には「D」がつく。8両編成であれば何でもよいようで、今まで日中は昼寝をすることしかできなかった2000形の8連を動かすことができるようになったことはもちろんのこと、かつてのD急行でも見られた4+4の8連というのも存在しているようである。列番にDがつくあたり、また新逗子発着というあたりが、昔のD急行を思い起こさせる。

品川方面は、前述のように既存の急行がエアポート急行になっただけなので、京急車だけでなく直通してくる京成・都営・北総の各社局所属の車両もエアポート急行として走る。しかしながら、16日の時点でエアポート急行の種別幕を装備していたのは京急車のみであり、他の乗入れ車両は何食わぬ顔をして急行を表示していた。新しい種別の登場だというのに、何とも格好の悪いスタートとなってしまった。

待避パターン

横浜方面のエアポート急行は20分に1本の設定で、毎時12本運転されていた既存の普通列車のうち、4分の1にあたる3本をエアポート急行に格上げした格好となっている。京急蒲田付近の複雑な配線を背景として、上り列車と下り列車で待避パターンが異なっているのが特徴である。日中時間帯における待避パターンは次の通り。

  • 【下り】京急川崎で快特と接続・待避、生麦と南太田で普通を追い抜き、上大岡で快特と接続・待避
  • 【上り】金沢文庫で普通と接続・追い抜き、南太田で普通を追い抜き、神奈川新町で快特を待避、子安で普通を追い抜き、京急鶴見で普通と接続・追い抜き

待避パターンだけを見れば、上りの羽田空港行はそこそこ使えそうな印象。ただ、下りのエアポート急行は京急川崎でいきなり快特に抜かれてしまう。そんなもん、乗客は明らかにそちらの方に流れてしまうのでは・・・。

◆ ◆ ◆

余談ではあるが、羽田空港発着だからエアポート急行という名称になっているかと思いきや、1本だけ京急川崎~新逗子間だけを走る空港に行かないエアポート急行(平日1078D)がいきなり設定されているあたり、実に京急らしい・・・。

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