2021.03.18
京急電鉄では、3月27日にダイヤ改正を行う。今回のダイヤ改正について、京急電鉄や直通各社局のプレスリリース、16日に公式Webサイトで公開された全線時刻表1)などを参照しながら、その内容を見てみよう。
1.平日ダイヤにおける終電繰り上げ
新型コロナウイルス感染症の流行で深夜時間帯の利用状況が変化していることや、夜間における保守作業時間の確保などを目的に、平日ダイヤにおいて終電繰り上げを行う。
終電繰り上げの幅は、品川→京急川崎で9〜17分、京急蒲田→羽田空港第1・第2ターミナルで5分、京急川崎→金沢文庫で20分、金沢文庫→逗子・葉山で約15分、金沢八景→堀ノ内で17〜22分、堀ノ内→浦賀で8分、堀ノ内→京急久里浜で30分、京急久里浜→三浦海岸で17分となり、大師線を除いたほぼ全線に影響が及ぶ。上り終電は逗子・葉山→金沢八景で24分、羽田空港第1・第2ターミナル→京急蒲田で10分の繰り上げ。なお、逗子・葉山発の終電が金沢文庫行に変更される関係で、金沢八景→金沢文庫のみ終電が8分繰り下がる。
終電繰り上げは平日ダイヤのみとなり、土休日ダイヤの変更はない。また、他の事業者で実施されているような始発列車の時刻繰り下げも実施されない。
京成成田スカイアクセス線の上り終電と京急線の下り終電を兼ねた2324Hレアクセス特急→特急金沢文庫行は京成高砂で列車を分割し、2324Haレアクセス特急京成高砂行・2324Hbレ普通品川行として運転されるようになる。車両は直通。同列車は緊急事態宣言の発出に伴い1月20日よりアクセス特急品川行として運転されているが、それも見られなくなる。
2.終電前に神奈川新町行を2本増発
終電繰り上げが実施される一方、3密回避のため終電前に列車の増発が行われる。増発列車として案内されているのは、青砥23時18分発特急神奈川新町行(2386Hレ)と羽田空港第1・第2ターミナル23時48分発エアポート急行神奈川新町行(2412Dレ)の2本。
2386Hレは現行ダイヤで羽田空港第1・第2ターミナル行として運転している列車で、行先変更となる。もともと87H運行は京急蒲田1番線で停泊となる運用だが、2430Dレエアポート急行神奈川新町行の運転取り止めに伴い京急蒲田止となる31H運行と入庫する場所を交換する格好。なお、2386Hレは京成線内快速運転のため、京成線内で快速神奈川新町行2)が見られるようになる。
2412Dレも2313Hレ品川行からの行先変更により神奈川新町行となる。13H運行は現行ダイヤで品川入庫となっているが、代わりに前述の25H運行が同駅入庫となる。
3.品川〜京急蒲田間普通列車(蒲田ローカル)の運転取り止め
新型コロナウイルス感染症の影響で昨年の5月上旬より運休となっている品川〜京急蒲田間の普通列車(通称:蒲田ローカル)が正式に運転が取り止められる。蒲田ローカルはもともと2012年10月ダイヤ改正で日中時間帯の品川方面エアポート急行が快特に格上げされるのに伴ってエアポート急行停車駅を救済するために設定された運行系統だが、8年半で終止符が打たれることになった。品川〜京急蒲田の快特通過駅については、他の区間と同様に普通列車が毎時6本停車するだけとなる。
なお、運用の都合で5月以降も運休を免れていた平日の蒲田ローカル3本(1070レ京急蒲田行、1577レ・1571レ品川行、詳しくはこちら)については、1070レは消滅、1577レと1571レは列車番号を変えて平和島始発に変更される。後者の平和島始発というのはなかなか妙ちくりんな列車だが、新町検車区からの回送の都合でこういう形になったものとみられる。
土休日ダイヤにおいても蒲田ローカルは運転取り止めとなるが、蒲田ローカルへの送り込みを兼ねていた快特京急川崎行増結車4本はそのまま維持される。813Aレ〜903Aレは引き続き京急川崎まで12両編成で運転される。
4.モーニング・ウィング3号を12両編成化(5月6日より)
5月6日より、モーニング・ウィング3号(653Aレ三浦海岸6時9分発品川行)の12両編成化を行う。三浦海岸→金沢文庫を4両編成とし、金沢文庫始発の8両編成と連結して品川まで12両編成で運転する。三浦海岸始発の4両編成には話題の新車・新1000形1890番台が使用される予定で、同車ご自慢のデュアルシートがさっそく活用されることになった。4両編成のウィング号は初登場となる。
これに伴い、715Cレ特急羽田空港行が金沢文庫〜神奈川新町で前4両増結を取り止め、全区間8両編成単独での運転になる。すなわち、モーニング・ウィング3号の12両編成化は、715Cレの増結取り止めで捻出した4両分を活用する格好になっている。
なお、モーニング・ウィング3号の12両編成化をもって1890番台を5月デビューとしている報道も一部で見られるが、京急としてはあくまで同列車に使用するとしか言っていない点に注意。言わずもがな1890番台の強みはロングシート車両として一般の列車にも使用できるところなので、モーニング・ウィング3号の12両編成化とは無関係なタイミングでしれっと営業運転を開始する可能性はなきにしもあらず。
5.イブニング・ウィング20号・22号を臨時列車化
イブニング・ウィング20号(2272Aレ、品川22時17分発三崎口行)と同22号(2276Aレ、品川23時ちょうど発京急久里浜行)を臨時列車化する。運行情報は公式Webサイト「KQuick」や駅の掲示で確認してくださいとのことだが、今のところ運転日の設定はなし。
6.日中時間帯下り普通列車の待避パターンを変更
プレスリリースには記載されていない事項だが、日中時間帯の下り普通列車について、待避パターンが変更される。従来は生麦で快特を、神奈川新町でエアポート急行と快特をそれぞれ待避していたが、新ダイヤでは生麦で快特とエアポート急行を、神奈川新町で快特をそれぞれ待避するようになる。生麦→神奈川新町でエアポート急行が普通に対して先行する格好となり、神奈川新町で普通→エアポート急行の乗換えができなくなる。
◆ ◆ ◆
以上、3月27日のダイヤ改正をざっくりと概観した。社会の情勢を受けてネガティブな内容が目立つのは悲しいところが、新時代の京急を体現した新1000形1890番台がまもなく登場するなど楽しみな面もある。そして、やはり珍列車と呼べるような列車も現れているので、それは別途紹介していくことにしよう。
- 1)全線時刻表 - 京急電鉄公式Webサイト
- 2)京急の全線時刻表では青砥〜押上も特急として掲載されているが、京成側の時刻表では快速となっているので、誤植とみられる。
関連記事
京急線 平和島始発の普通品川行を見る
平和島始発の普通品川行を見る。新型コロナウイルス感染症の影響による利用状況の変化への対応や、夜間における保守作業時間の確保を目的として実施された2021年3月27日ダイヤ改正。そのダイヤ改正に...
京成線・北総線ほか 緊急事態宣言発出に伴う終電繰上げを実施
京成電鉄や北総鉄道などでは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による緊急事態宣言発出に伴い、1月20日より終電の繰上げを実施している。どういった内容なのか見てみよう。終電の繰上げは、新型コロナ...
新型車両 京急新1000形1890番台デュアルシート車を考察する
京急電鉄では、2020年度に新造を予定してた4両編成2本分について、デュアルシートを装備した新1000形1890番台を新たに導入することを発表した。プレスリリースなどからこの1890番台がどう...
京急線 こんにちは逗子・葉山行
こんにちは、逗子・葉山行(9ヶ月遅れ)。3月14日、京急電鉄では以下の6駅について駅名変更を実施した。京急によれば、大師橋、花月総持寺、京急東神奈川、逗子・葉山の4駅は沿線地域の活性化に繋げる...
京急線 蒲田ローカルの運休状況
京急線で日中時間帯に運転されている品川〜京急蒲田間の普通列車、通称"蒲田ローカル"。現在、新型コロナウイルス感染症の影響で運休とされているが、その状況をレポートしよう。世界中で猛威を振るっている...
最新記事
最新記事
四直珍列車研究 134 - 平日 1681K
京成車の特急泉岳寺行が登場。平日1681Kレは、京成車で運転される特急泉岳寺行である。2023年11月ダイヤ改正で登場した列車となっている。京成車の泉岳寺行は都営浅草線西馬込始発のものは数多く...
京急1000形 「京急夏詣号」運転(2024年)
空とあなたと夏詣。京急電鉄では、6月末より「京急夏詣キャンペーン2024」の実施に合わせて、「京急夏詣号」の運転を行っている。「夏詣」キャンペーンは同社が2019年度より毎年実施しているもので...
都営浅草線 自動放送どうするの問題を考える
都営浅草線の自動放送どうするの問題を考える。列車内における案内として重要なアナウンス。アナウンスでは列車の種別行先や次駅の案内が行われるが、昨今では自動放送が主流となっており、車掌が自らの肉声で...
船橋新京成バス2741号車 「ふなっしー号」
「ふなっしー」なバスが走る。船橋新京成バス2741号車が特別仕様「ふなっしー号」として走ってる。「ふなっしー」といえば千葉県船橋市を中心に暴れている同市で人気の非公認キャラクターだが、2023年...
北総車の京急線内特急運転が復活
約19年ぶりに復活した北総車の京急線内特急運転を見る。京急線に大きな変化をもたらした2022年11月ダイヤ改正。京急自ら「23年ぶりの大改正」としたこのダイヤ改正では、特に日中時間帯の運行...