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2022.03.02

日中時間帯の京成本線から特急が消えた件について、考察してみよう。

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都営3000形 3042編成
2019.3.2/ユーカリが丘〜京成臼井

▲ダイヤ改正で日中時間帯から姿を消した京成本線の特急。快速への格下げはどのような影響を及ぼしているだろうか

京成電鉄では、2月26日にダイヤ改正を実施した。新型コロナウイルス感染症の感染拡大後における利用状況を反映した運行見直しが主な内容で、減便や種別格下げなど思わず耳を塞ぎたくなるような変更が目立つダイヤ改正となっている。

ダイヤ改正の内容については以前の記事でご紹介したとおりだが、やはり衝撃的なのは日中時間帯に京成本線を走る特急が快速に格下げされたことであろう。概ね10時台後半から平日は15〜16時台まで、土休日は17〜18時台までの特急が京成佐倉発着の快速に変更。この時間帯、京成本線から特急が消え、京成津田沼より先で通過運転を行うのは40分に1本の快速特急だけになった。

さて、特急の快速格下げは京成本線の各駅にどのような影響を及ぼしているのだろうか。区間に分けて状況を見てみよう。

京成上野〜京成高砂

特急の快速格下げによる影響はほとんどないものと思われる。快速が停車する千住大橋はラッキー?

京成高砂〜京成津田沼

下り方向に限り京成小岩で普通が特急に追い抜かれるために特急が有効列車にならなかった江戸川〜菅野の各駅において、特急が快速に変更されて京成小岩で普通と接続するようになったことで状況が改善されている。京成西船・海神も格下げ快速が東中山に停まるため、これを利用すれば対京成上野・日暮里で約10分の短縮。

京成津田沼〜京成佐倉

この区間の特急が停まらない駅から特急を利用するには京成臼井からの普通に乗車して京成津田沼で乗り換えるのが一般的だが、格下げ快速を利用すれば乗り換える必要がなくなる。例えば京成臼井から格下げ快速を利用した場合、所要時間はダイヤ改正前の特急利用と比べて対京成船橋で1分短縮、対日暮里で±0分、対京成上野で1分の増となり、ほとんど変わらない。利便性は京成津田沼での乗り換えがなくなった分だけむしろ向上していると言える。

さらにこの区間で大きいのは、格下げ快速が京成佐倉まで走るという点。京成津田沼以東では格下げ快速が従来の京成臼井発着の普通を置き換えているので、実質的に京成臼井止まりの半数が京成佐倉まで延長したのと同じである。この区間においてこの時間帯に京成佐倉まで用事のある人は大勝利だろう。

京成佐倉〜成田空港

一方、悪い意味で影響が大きいのは京成佐倉〜成田空港の各駅である。京成佐倉まで通過運転をしてくれていた特急がなくなったのだから、利便性の低下は避けられない。空港第2ビルと成田空港に至っては、京成上野から直通する一般列車が消滅してしまった。

西馬込〜成田空港を走る快速が20分おきに走るが、例えば公津の杜からこの快速に乗車しても半数は京成佐倉で優等列車への接続がないため、そのまま快速に乗り続けるほかなくなる。この場合、京成船橋までの利用では快速特急に乗車する場合と比べて所要時間は7分の増。

快速特急非接続の快速で日暮里あるいは京成上野まで利用する場合は悲惨で、青砥で接続する普通京成上野行に乗り換えても日暮里に到着した時点で後続の快速特急が2分差1)まで迫ってくる。それだったら最初から京成佐倉で快速特急に接続する方の快速に乗ったほうがマシで、結果的に日暮里・京成上野までにおいては有効列車が実質的に40分に1本の快速特急しかないという状況に陥っている。

ただし、京成佐倉から上り側まで利用する場合でも快速停車駅間どうしならばこの限りではない。この時間帯の都営浅草線直通の快速が全て成田空港発着になったことで、従来の快速の半数で生じていた京成佐倉での乗り換えが解消されている。快速だけを見れば、特急が京成佐倉〜京成成田で各駅停車化されて快速が京成佐倉折返しに短縮された2006年12月ダイヤ改正以前の状態に戻った。

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都営3400形 3438編成
2021.1.20/京成臼井〜京成佐倉

▲佐倉市内の田園地帯を行く特急京成上野行。やはり特急の消滅は遠距離の利用に対して不利な結果に?

以上、各区間における影響を簡単に見てみた。こうして見てみると、日中時間帯はどちらかというと短距離利用のためのダイヤにシフトしているということが見えてくる。今回のダイヤ改正はいかに優等列車を削減するかということが主題になっていたものと思われるが、新型コロナウイルス感染症の影響で鉄道での遠出がなんとなく控えられている現状では、遠近分離の「遠」を担う優等列車を減らして「近」を手厚くしたくなるのもわかるというものだ。

その中において日中時間帯の特急を快速に格下げするというのは一見すると乱暴だが、ただ闇雲に種別を変更するのではなく、全体の利便性についてきちんと考えられている点は評価すべきだと思う。その結果、遠方利用では利便性の低下は避けられないものの、大勢には影響がないかむしろ利便性が向上しているという事例さえあるのは上で記したとおりである。特急の格下げというネガティブな字面だけで改悪と評してしまいたくなるが、自分がよく利用する区間を精査すれば意外と悪くない結果が出てくるかも・・・?

そしてそもそも、上り方向であれば特急は10時台後半まで運転、下り方向では平日は特急が15時台に復活、土休日は17時台から快速特急が20分間隔での運転になるので、日中時間帯に特急が走らなくなることの影響はきわめて限定的であろうということを最後に付け加えておく。

気になるのは、客足が戻ってきたら特急が復活するのかどうかという点。京王のように特急の種別そのものが格下げされたら目も当てられなかったところだが、幸いなことに特急は特急のまま残っており、復活の可能性を残している。趣味的には、京成本線の華である特急成田空港行にメスが入れられてしまったのは残念至極。ゆくゆくは元のダイヤに戻すことをお願いしたいところである。

  • 1)千住大橋でスカイライナーを待避する普通の場合。同駅でスカイライナーに追い抜かれない普通の場合は6分の差がつく。
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