2023.02.19
デビュー20周年を迎えた京成3000形。
成田スカイアクセス線用に導入された3050番台の車両を含めると総勢326両、京成車両群の6割近くを占める3000形。そんな3000形は、2023年2月1日にデビュー20周年を迎えた。2002年度から2018年度まで17年もの長期にわたり導入されたにもかかわらず仕様がほとんど変わらなかった3000形は、京成車の伝統である質実さや実用本位といった点をみごとに体現している。3000形の20周年を記念して、その20年を簡単に振り返ってみよう。
最初の6年で152両の大量増備(2002年度〜2007年度)
2003年2月1日のA13運行。終日にわたり京成本線特急として走り回るこの運用に、デビュー初日の3001編成は入った。「走行音は面白くないし、特徴もあまりない車両だな・・・」。この日、私は昼過ぎに3001編成の初乗車を果たしているが、走り始めた新型車両に対してそんなような感想を抱いたことを思い出す。
3000形導入の目的は、とにかく老朽化した経年の車両を淘汰することであった。2002年度当初の状況では3200形(88両)と3300形(54両)がともに全車健在で、いわゆる赤電世代の見た目も古い車両がまだまだ大量に走っていたのである。3700形のようなチンタラした導入ペースでは、置き換えはとうてい追いつかない。短期間で多くの車両を導入する、それが3000形に課せられた使命であり、それに耐えうる車両であることが求められた。
となれば、技術的に手堅く、コスト的にも無理をしない車両ができあがるのは半ば必然のこと。3000形がきわめて実用本位なのは、まずはこのあたりの状況がそうさせたと言えるだろう。それは初年度から一挙32両もの大量導入を可能にし、その後も3000形の導入はかなりのハイペースで進められた。2007年度まで毎年度24両ずつという今となっては考えられない量の新車が入ってきた。
2007年度までの6年間で導入した車両は152両に及び、この時点で既に3000形は京成での最大勢力になっていた。この間に置き換えられたのは、3150形16両(北総7050形としてリースしていた分)、3200形88両(北総7250形としてリースした分を含む)、3300形14両、3500形(未更新車)24両。車両の陣容は大きく変わり、なにより若返った。これまで親しんだ車両が次々と消えていくのは残念だったが、3000形によって接客のレベルが格段に向上したのは紛れもない事実である。
京成グループ標準車両としての3000形
3000形にはもうひとつ、京成グループ標準車両としての顔があった。3000形の導入が始まった2000年代初頭は、国や車両メーカーが中心となって鉄道車両の標準化が進められた時期と重なる。京成においてもこの流れに沿ってグループ全体で標準仕様の車両を導入しようということで、3000形をベースとした車両が2005年度に北総7500形と新京成N800形、2012年度に千葉ニュータウン鉄道9200形としてそれぞれ導入された。3000形は京成グループ標準車両として会社の枠を超えて活躍の場を広げていった。
これらの車両は、N800形に新京成独自の仕様が一部盛り込まれていたほかは3000形とほとんど同一仕様であり、実質的には3000形の色違いであった。正直なところ乗ってしまえばほとんど3000形と同じなのだが、高砂の複々線などで色違いの車両が行き交う光景は見ていて楽しい。
N800形はデザイン変更も行われているし、3050形も含めてこれだけカラーバリエーションを展開している私鉄の車両はなかなかないのではと思う。ぜひともこれら色違いの車両たちが一堂に会したところを見てみたいものだが、京成トラベルサービスさん、なんとかお願いしますぅ〜〜。
(つづく)
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