2023.04.01
2023年2月、京成3000形はデビューから20周年を迎えた。3000形の20周年を記念して、その20年を簡単に振り返ってみよう。その2。その1はこちら。

京成3050形 3051編成・3052編成・3053編成
2010.12.8/宗吾車両基地
成田スカイアクセス線用の3050番台(2010年度)
2007年度までの大量導入から2年半のブランクを経て、2010年7月、成田スカイアクセス線の開業とともに3050形48両がデビューした。同線を走るアクセス特急用として導入された3050形は、3000形7次車として区分されるものの、空をイメージした外装デザインが採用されるなど3000形の中でも文字通り異色の存在であった。
3050形は今でこそ3000形の一形態である感が強いが、登場当初はその番台区分や新しいデザイン、LCD案内表示器、運転状況記録装置、スクリュー式のコンプレッサなどの新機軸から、新形式車両並みの印象を抱いた人が多かったと思う。なによりも、3050形が3000形ばかりが導入されて食傷気味だった心を満たしてくれたのは確かだった。

京成3050形 3054編成
2020.11.27/京成高砂
そんな3050形だが、成田スカイアクセス線での活躍が長く続かなかったことは周知の事実である。2019年度より3000形の後継車輌となる3100形が成田スカイアクセス線用として導入され、3050形は押し出される格好で順次京成本線に転用。同社にとって稼ぎ頭である成田スカイアクセス線に新車を投入したいという意向が働いたものとみられるが、まさか10年そこらで職を追われることになろうとは・・・。3050形のうち3056編成のみが現在も成田スカイアクセス線用として運用されているが、この編成も3157編成が導入され次第、京成本線に転用になるものとみられる。
3000形、さらに増え続ける(2012年度〜2018年度)
2012年度より成田スカイアクセス線の開業準備で止まっていた3000形の製造が再開。 2008年度までのペースより少し落ちたものの、増備はコンスタントに続けられていった。6両編成と8両編成が必要に応じて導入され、旧来の車両をどんどん置き換えていった。2015年度には3300形が、2016年度には3500形未更新車がそれぞれ全廃。さらに、同じく2016年度から3600形の置き換えも始まった。もしかして、このままいけば京成の通勤型車両は全部3000形になっちゃう??

京成3000形 3026編成
2014.8.19/大森海岸
・・・ということすら頭に少しよぎったところで、2018年度に新形式車両(3100形)の導入が発表されて、3000形の製造は打ち止め。結果的に、導入された車両の数はノーマルな3000形だけで278両、3050形を合わせて326両、京成グループ標準車両として姉妹車両である北総7500形や9200形、N800形も含めると388両にも及ぶこととなった。よくもまあ、ここまで飽きずに同じものをつくり続けたものである。
3000形の今後
さて、3000形の増えっぷりを振り返ったところで同車の今後について少し考えてみよう。今後・・・とは言っても、3000形が主力として君臨する期間がもうしばらく続くことは明らかであろう。最終増備車である14次車に至ってはまだまだ車齢4年、あと30年くらい走ってくれるはずだ。目下のところ動きがあるとすれば、3700形で実施されたような車体改修が3000形でも行われるかどうか。導入から20年となる1次車あたりは、そろそろそうしたタイミングに差し掛かっていてもおかしくないものと思われる。
他方、大量に導入された時期があるということは車齢がその付近に集中しているということでもあり、今後これは車両の置き換えを計画する上で不安要素になるものと考えられる。4両編成どうするの問題が新型車両3200形によって解決されようしている今、次の課題は大量の3000形をどうするの問題だろうか。はたして十数年後、どういった答えが見られるか。

都営3000形 3042編成
2019.3.2/ユーカリが丘〜京成臼井
◆ ◆ ◆
私が当初3000形に対してあまり良い印象を受けなかったのは、前編の冒頭で記したとおりである。さらに言えば、こんなのが「3000形」の2代目なの・・・? とすら思ったことを白状する。生半可な車両が3000形を名乗っては、相互直通運転の礎を築いた偉大な先代に失礼だから。
しかし、結果的にこれは大きな間違いであった。特徴がないことこそ汎用型車両の強さであり、ゆえにグループ全体で388両という数字を積み重ねることができたわけである。16年も導入し続けながら大きなマイナーチェンジもなくほぼ同一仕様で導入しきったことも、当初から完成度が高かったことの現れにほかならない。2代目・3000形もまた、京成車両史に大きく刻まれる車両になったわけである。
そうした点を見抜けなかったことについて反省するとともに、3000形にはこれからもお世話になりますよということで、文を〆る。
(完)
- 京成
- タグはありません
関連記事
京成3000形 「桜に染まるまち、佐倉」ヘッドマーク(2023年)
今年も桜に染まるまち、佐倉。京成電鉄とちばグリーンバス、佐倉市では、3月中旬より佐倉市への誘客を目的とした観光キャンペーン「桜に染まるまち、佐倉2023」を実施している。佐倉と言えば、千葉県屈指...
京成3000形 「ありがとう! さようならシャンシャン」ヘッドマーク
ありがとう、シャンシャン(2年ぶり2回目)。京成電鉄では、12月下旬より3000形に「ありがとう! さようならシャンシャン」ヘッドマークを掲出している。上野動物園のジャイアントパンダ・シャンシャン...
京成3000形 「質実さと実用本位」を貫いた20年
デビュー20周年を迎えた京成3000形。成田スカイアクセス線用に導入された3050番台の車両を含めると総勢326両、京成車両群の6割近くを占める3000形。そんな3000形は、2023年2月1日...
京成3000形 「パンダ来日50周年記念」ヘッドマーク
パンダが日本に来てから半世紀。京成電鉄では、10月下旬から12月末まで3000形に「パンダ来日50周年記念」ヘッドマークの掲出を行った。1972年10月に日本で初めてジャイアントパンダ「カンカン...
京成3500形 走り続けて50周年
走り続けて半世紀。京成電鉄における最古参の車両として走る3500形。そんな3500形は2022年12月、めでたくデビュー50周年を迎えた。1972年12月26日に竣工(入籍)した3504編成...
最新記事
2025.05.29
京成線 駅スタンプを集めてみた(2025年追加分)
京成線の駅スタンプを集めてみた。京成線の一部の駅に設置してある駅スタンプ。2019年3月に登場した現在のバージョンは、翌2020年3月に設置駅が追加されたものの、その後はコロナ禍やら何やらが...
2025.05.24
京成電鉄「2025年度 鉄道事業設備投資計画」を読む
今年も大型連休が終わり、鉄道各社から設備投資計画が発表される季節がやってきた。京成電鉄でも22日に発表があったところなので、これを読んで今後の動きを探ってみよう。また、21日には中期経営計画...
2025.05.19
フランス国鉄 TGVに乗る 1 - 乗車券の購入あれこれ
2024年秋にフランスを訪れた際に、フランス国鉄の高速鉄道TGVに乗る機会があったので、雑感を記してみようと思う。その1は乗車券の購入編。TGVは全列車で全席指定制である。TGVに乗車する上で...
2025.05.14
京成線 みどり台駅に「みどりの日」仕様の駅名標が登場
京成千葉線みどり台駅の駅名標が「みどりの日」仕様に。5月上旬より、京成千葉線みどり台駅において「みどりの日」仕様の特別デザイン駅名標が登場している。これは、ファッションEC「ZOZOTOWN」を...
2025.05.10
京成線 市川真間駅が「市川ママ駅」になる(2025年)
市川真間駅が「市川ママ駅」になる。京成電鉄と京成バスでは、4月下旬より市川真間駅と同バス停において「市川ママ駅」特別装飾を実施している。駅名の読みが「いちかわまま」であることにちなんで母の日に...