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京成3500形 走り続けて50周年

2023.01.06

走り続けて半世紀。

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京成3500形 3512編成
2022.3.6/検見川〜京成稲毛

▲京成における最古参の車両として走る3500形。2022年12月、めでたくデビューから50周年を迎えることとなった

京成電鉄における最古参の車両として走る3500形。そんな3500形は2022年12月、めでたくデビュー50周年を迎えた。1972年12月26日に竣工(入籍)した3504編成(3504〜3501)が車齢50年を達成、3505〜3516の12両も今月末に同じく車齢50年を迎える予定である。走り続けて半世紀、3000系列「赤電」世代以降の車両で車齢が50年を突破するのは旧AE形から足回りだけを引き継いだ3400形を除けば初めてで、まさしく快挙である。

概ね30〜40年程度で廃車を迎える最近の京成車両群の中でも3500形が突出して長寿命となっている理由は、やはりその役回り以外に考えられないところである。2015年3月に3300形が引退してから4両編成で走れるのは3500形と3600形3668編成だけであり、その中でも編成を組み替えて4両編成から8両編成までこなせるのは3500形が唯一となる。4両と6両、8両という3種類の編成長を運用しながらも比較的少ない予備車で車両を回せているのは、これらの共通予備的に使える3500形がいるおかげといっても過言ではなく、その存在は非常に大きい。

また、近年の新車の入れ方も大きく影響していよう。京成では1982年にデビューした3600形以来、現在の3100形に至るまで、新車で導入されるのは6両編成あるいは8両編成であり、4両編成は常に後回しにされてきた。そうした長年の積み重ねが3500形の寿命となって表れている。

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京成3500形 3528編成
2020.9.19/印旛日本医大〜成田湯川

▲2両単位で編成組み換えができるのは3500形の大きな武器で、編成を突発的に組み換えて車両不足の危機を救ってきたことも数知れず。ただし、その機会は年々減少傾向にあり、特に8両編成は2020年9月にイベント列車用として組成された3528-27+3556+34-33という編成が今のところ最後になっている
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京成3500形 3508編成
2022.12.17/京成高砂〜柴又

▲2022年11月ダイヤ改正から始まったワンマン運転では3500形と3600形の4両編成が対象となり、ワンマン運転を行うための改造が実施された。デビューから50年を迎えようとする中で、3000形や3100形など主力車両にはできない役割を新たに担うこととなった

最近の3500形の大きな動きと言えば、デジタルSR無線ワンマン運転への対応であろう。詳細はそれぞれの記事を見ていただくとして、これにより2023年度以降も走る準備が整っている。3500形の活躍がまだまだ見られるのは嬉しい限り。

一方、これらの改造により3500形は事実上の固定編成化が進むこととなった。デジタルSR無線対応とワンマン運転対応はともに必要最低限の範囲でしか実施されていないためで、6両編成の中間に組み込まれる車両はSR無線に非対応、ワンマン運転改造も4両編成4本にしか施工されていない。こうした状況では4両編成は4両編成で、6両編成は6両編成でそれぞれ運用せざるを得なくなるはずで、このことが車両運用全体にどれほど影響を及ぼすか気になるところ。

そして、後継車両の足音も聞こえ始めている。京成が2022年7月に発表した中期経営計画「Dプラン」の中で明らかにした新型車両3200形の特徴は、「編成車両数を変更できる」という仕様。これにより3200形が3500形の置き換えを目的としているのは明白で、いよいよ残りの3500形も本格的に置き換えの対象になってきた。2024年度にも3200形の第1陣が導入されるとして、タイムリミットは2027〜2029年くらいだろうか。

◆ ◆ ◆

以上、3500形についてデビュー50周年を祝うとともに現状を少しまとめてみた。京成においては3500形を最後に車両の大規模更新をやめてしまっており、近年の車両に大きな手を加えずに新車をどんどん導入して置き換えていくという傾向にあっては、3500形のように長生きする車両が出てきづらい状況になっているのは確かである。もしかしたら、車齢が50年に達するのは3500形が最後になる可能性もある。

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