2016.03.20
京急電鉄では2002年より新1000形を導入しているが、このほど車両デザインを一部変更した1800番台が登場した。3月4日より4両編成2本が営業運転に入っている。この1800番台について、特徴などを簡単にまとめてみよう。
1800番台の最大の特徴は貫通形となっていることで、1800番台どうしを連結した際に貫通幌を取り付け、貫通幌を介して連結している編成間の移動を可能としている。これにより、従来の新1000形では不可能だった4+4の8両編成でも都営線への乗入れが可能となり、京急線内の普通車から都営線直通の快特までフレキシブルな運用に対応しているのが1800番台の売りである。京急において貫通形と言えばやはり先代の1000形を思い起こさせるが、新1000形は1800番台の登場で名実ともに先代1000形の後継車両になったという感じだ。
2006年度に登場した新1000形ステンレス車以来の新顔ということで、1800番台の登場に際しては記念乗車券を発売したり記念貸切列車の運行を実施したりするなどあたかも完全なる新形式の車両が出てきたかのような雰囲気である。しかし、1800番台はあくまでも新1000形ということで、前面は従来の新1000形ステンレス車の顔のまま貫通扉を中央に配したやや強引な表情。床下機器も従来の新1000形ステンレス車の4両編成(1400番台)とほぼ同一となっており、先頭部分以外の中身については従来の新1000形ステンレス車とあまり変わらないようである。一方、外装についてはフィルムの貼り方を変えて、赤いボディに白い帯という従来の"赤い電車"のイメージとなった。
それにしても、ここにきて貫通形の新1000形の登場には驚くばかりである。1800番台の登場が公式Webサイトで発表された12月22日にはTwitterにおいて「新1000形」がトレンドのキーワードに浮上するなど、大きな関心とともに多くの驚きで迎えられた。京急電鉄では近年、新1000形の新造(4連、6連、8連)と1500形チョッパ車のVVVF化改造および6連固定化が進められてきたが、一般的に、車両数と運用数に変化がない場合は固定編成化が進むと予備として使える車両が実質的に減ってしまうことになる。京急では先代の1000形やかつての1500形が4連から8連まで編成を組むことができる車両として重宝されてきたが、車両の固定編成化が進んできたいま、再びそういう車両が必要になったというのが1800番台登場の真意だろうか。
普通車から都営線直通の快特まで運用可能となっている1800番台だが、今のところ4連の扱いで動いており、朝と夕方・夜は特急や快特の増結車に、昼間は横浜方面のエアポート急行に充当されている。エアポート急行充当時には1801編成と1805編成の1800番台どうしがペアとなるように運用が組まれており、4+4の8両編成が見られる。この8両編成は4+4の組成ではあるが、1801編成と1805編成ともに4連の扱いとなっているために貫通幌は使用されていない。同じ4+4の8両編成でも都営線への直通運転が可能な8連としての扱いの時に貫通幌を取り付けるのはかつての1000形と同じようである。貫通幌を取り付けていない状態の4+4編成を見ると貫通形にした意味ねーじゃんと思ってしまいそうになるが、1800番台の特徴は"貫通幌を取り付けられること"ではなくて"貫通幌の使用も可能なことによる運用のフレキシブルさ"なので、これもまた1800番台の使い方のひとつと言える。将来的には1800番台+1400番台や1800番台+他の形式というような8連も見られることとなろう。いずれにせよ新1000形1800番台はまだまだ走りだしたばかり。早いところそのフレキシブルさをフルに発揮して、都営線へ直通、京成線や北総線方面にも顔を出してもらいたいところだ。
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