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フランス国鉄 TGVに乗る 1 - 乗車券の購入あれこれ

2025.05.19

2024年秋にフランスを訪れた際に、フランス国鉄の高速鉄道TGVに乗る機会があったので、雑感を記してみようと思う。その1は乗車券の購入編。

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フランス国鉄 TGV
2024.9.10/Paris-Montparnasse

▲パリ・モンパルナス駅に集うフランス国鉄の高速鉄道TGV。同駅では、主にフランス西部〜南西部に向かう列車が発着する

TGVは全列車で全席指定制である。TGVに乗車する上で強く感じたのは、TGVは事前にインターネットなどで乗車券の購入をして乗る乗り物であるということである。もちろん、公共交通機関である以上、乗車当日に乗車券を持たずに駅に行き、窓口で乗車券を買うこともできるわけだけど、事前に購入している場合に比べて不利となってしまう。

理由は2つ。まず、TGVの運賃体系だ。TGVの運賃は、フランス国鉄の在来線とは別立てで設定され、ダイナミックプライシング制度が採用されている。価格変動制とも訳されるこの運賃体系の大きな特徴は、需要があって混雑する列車の料金は高く、閑散時間帯などで比較的空いている列車の料金は低く設定されている点である。日本ではダイナミックプライシング制度を採用している鉄道事業者は少ないものの、飛行機や高速バス、ホテルの料金、コンサートやスポーツ観戦のチケットなどで広く取り入れられているので、馴染んでいる方もいらっしゃるものと思われる。

実際の料金はどうなっているのか、試しにフランス国鉄の公式Webサイト1)を見てみよう。例えば、5月20日に首都パリから第2の都市リヨンまで乗車するとする。料金は、朝の混雑時間帯に出発する下り列車では113ユーロなのに対し、昼過ぎの列車では46ユーロとなっている。列車によって料金に2倍以上の差が付けられている(※料金は本記事執筆時点、いずれも2等車)。

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フランス国鉄 公式Webサイト

▲TGVの乗車券購入サイトをスクショしたもの。表示されている料金のうち、左は2等車、右は1等車で、ハイフンが表示されているものは満席か設定なし。同一区間の乗車でも、列車によって料金が異なることがわかる(※異なるカテゴリの列車が混ざっている点に注意)

さらに特徴的なのが、料金は早い時期に予約すればするほど安くなる点。上記のパリ→リヨンの例において、2ヶ月先の列車を見てみると、混雑激しい午前中の下り列車でも70ユーロ台で乗車券が購入可能となり、出費を実に4割近く圧縮することができる。すなわち、TGVに乗車する予定があるならば、なるべく早くその予定を確定させて、乗車券を早く買えば買うほどお得なのだ。

あとは単純に、人気のある列車は乗車日を待たずに早い段階で座席が埋まってしまうので、列車に確実に乗りたければやはり事前購入は必須となる。特に、TGVは日本の新幹線とは異なり列車の本数が少ないので、予定していた列車に乗れない場合は旅程崩壊にも繋がりかねない。もとよりTGVは需要に対して供給が追いついておらず、一部の区間ではもはや飽和状態にあると言われている。信号システムの関係でこれ以上の増発を行うことができないため、2階建て車両(TGV Duplex)を積極的に導入してキャパシティの確保に努めているのが現状だ。

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フランス国鉄 乗車券

▲TGVの乗車券をiPhoneのウォレット上で表示させたもの。中央に表示されている二次元コードが乗車券の本体(※一部加工)

購入した乗車券は、二次元コードで発行される。この二次元コードをスマホに保存するなり印刷して持って行くなりして、駅係員や乗務員にいつでも見せられる状態にしておけばOK。乗車当日はホームに直接行って列車に乗ることができる。不慣れな海外の駅で何かをする必要がないのは非常にありがたいところ。

さらに、スマホにフランス国鉄公式のアプリを入れておけば、乗車予定のある列車に関する運行状況(乗車駅の発着番線や遅延情報)がプッシュ通知で送られてくる。iPhoneなら乗車券のデータをウォレットに追加できるので、なおのこと便利。もちろんアプリからでも乗車券の購入も可能となっている。乗車券の購入から乗車までスマホひとつで済ませられる、きわめて今どきのスマートなシステムが構築されている。

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