フランス国鉄 TGVに乗る 2 - 早朝のパリ・モンパルナス駅
2025.07.27
2024年秋にフランスを訪れた際に、フランス国鉄の高速鉄道TGVに乗る機会があったので、雑感を記してみようと思う。その2は早朝のパリ・モンパルナス駅の様子をば。

フランス国鉄 パリ・モンパルナス駅
2024.9.10/**
早朝のパリ・モンパルナス駅
7時のTGVに乗るべく訪れた早朝6時半のパリ・モンパルナス駅は、すでに混雑していた。パリ14区と15区にまたがるモンパルナス駅は、TGVのほかに在来線を経由する中長距離列車やTER、近郊列車Transilienが発着するセーヌ左岸の一大ターミナル駅である。地下鉄も4路線(4、6、12、13号線)が乗り入れており、多くの人が行き交っている。駅構内のキオスクやカフェなども営業が始まっていて、すでに1日が始動している感じ。
パリ発のTGVは行先・方面ごとにターミナル駅が異なる。リヨンやマルセイユといった南方面はリヨン駅、ベルギー・オランダ方面は北駅、ストラスブールやドイツ・スイス方面は東駅、そしてレンヌやナント、ボルドーといった東方面はここモンパルナス駅が始発となる。TGVにはこのほか、地方からパリを抜けて別の地方に向かう列車もあるが、そういった列車はターミナル駅には入らずに、武蔵野線のような環状連絡線を走ってそれぞれの線区に直通する。

フランス国鉄 TGV
2024.9.10/Paris-Montparnasse
モンパルナス駅は1840年に開業した歴史のある駅だが、再開発に伴う移転やTGV乗り入れの際の大規模改修などで、現在ではきわめて現代的な駅となっている。ホームは駅ビルや人工地盤で覆われているため、全体的に地下駅のような雰囲気。のりばは全部で28あり、頭端式である。歴史ある駅舎を今でも使っている北駅やリヨン駅などと比べると趣はないかもしれないが、頭端式のホームに列車が並ぶ光景は、否が応でも旅情を誘う。やっぱり頭端式ホームはよい。
なお、駅は北側よりポルト・オセアン(Porte Oceane)、パスツール(Pasteur)、ヴォージラール(Vaugirard)という3つの駅を内包しているらしく、前者2つはモンパルナス1、モンパルナス2とも呼ばれる。そのため、TGVの行先や乗車券で「Paris-Montparnasse 1・2」の表記が見られるが、これはそうした事情からのよう。
駅の北東側、1〜9番線がTGV専用ホームとなっていて、前述のようにフランス東部方面への列車が発着する。早朝は各方面に出発していく列車のピーク時間帯のひとつで、次々と列車が出入りしていく。東京駅などでもそうだが、高速鉄道が発着する一角というのは在来線に比べて迫力があるというか、何か特別なオーラが漂っている。好きな空間のひとつだ。
モンパルナス駅の改札
TGVは、主要駅では列車別に改札が行われている。各ホームの出入口付近に自動改札機が設置されているため、その列車の乗車券を持っている人でないとホームに立ち入ることができないようになっている。改札が始まるのは、列車の出発時刻の概ね10〜15分前。なので、余裕を見て早めに駅に来たものの、実のところこれといって特にやることがない。乗車券も、前回の記事で記したようにネット上で購入済みである。

フランス国鉄 TGV
2024.9.10/Paris-Montparnasse

フランス国鉄 TGV
2024.9.10/Paris-Montparnasse
列車の入線するホームは列車の到着直前にならないと決まらないので、発車案内の電光掲示を見ても自分の乗る列車は存在しているものの、のりばの案内は空欄になっている。モンパルナス駅では概ね15〜20分前にのりばが確定するようで、その時間になると電光掲示にも案内が出るようになる。のりばが確定するまで発車案内を何度も確認するのは煩わしい・・・そういう場合はスマホにフランス国鉄公式アプリを入れておけば便利。アプリ上で登録した列車ののりばを、プッシュ通知でお知らせしてくれる。
定時運行維持のため、改札は列車発車時刻の2分前で締め切られる。時間になるとホーム出入口に設置されている扉が閉められ、ホームに物理的に入ることができなくなるので、TGVを利用される際には注意されたし。固く閉ざされた扉の前で、おそらく改札の時間に間に合わなかった人が乗車券片手になにやらワーワー叫んでいる悲しい光景を見てしまった。こういうとき、日本であれば係員がその人の話を聞いた上で多少融通を利かせることもあるだろうが、ここはフランスである。駅係員は我関せず、ガン無視を貫いていた。
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