2014.08.09
ってことで、帰りの空港行までの時間調整を兼ねて、ソウル駅前のバス乗換センターの様子を小一時間ばかり観察してみた。
バス乗換センターと言っても、基本的にはバス専用レーン上に方面別の乗降ホームが設けられているだけである。韓国では鉄道の駅における駅前広場や駅前ロータリーなどといった概念がほとんど無いらしく、バスはどこでも基本的には道路上に設けられたバス停で客扱いを行なっているので、こういったバスと鉄道の連携を意識したバス乗換センターというだけでも韓国では画期的なことなのだと思う。
以前の記事でもご紹介したようにソウル駅は首都たるソウルの中心駅であり、かつ交通の要所ということで、とにかくバスはひっきりなしに入ってくる。信号のタイミングによって、1つのレーンにバスが3〜4台一気に入ってきては客扱いを行ない、各々の方向に発車していくといったことを繰り返している感じ。一見するとバスの回転率もよく使い勝手の良いシステムのように思えるが、割を食ってるのは特にこれからバスに乗ろうとしている人々である。なんせバスの停車位置が定まってない(同じ路線番号のバスでも数珠つなぎでやってきた1台目だったり3台目だったりするため)もんだから、自分が乗ろうとしているバスの番号をいち早く捉えて、客扱いをしているところへ一目散に向かっていかないと乗り遅れてしまうという怒涛のシステム。これくらいやらないとバスはどんどん溜まっていくし、1本逃したって次のバスはすぐ来る(大抵の路線は高頻度でバスを走らせている)のではあるが、それにしても路線バスって乗るのがこんなに大変な乗りものだったっけかと思わせられる。
そんな中で面白いと感じたのは、バスの前の扉が開いたときに路線の番号の書かれたプレートが飛び出す仕掛けだろうか。路線の番号自体はバスの車体前後面および側面に書かれているのだが、これが数珠つなぎでやってこられるとその番号も確認しづらい。そこで、番号の書かれたプレートを車体から飛び出させることによって、番号確認のしやすさを図っている。このプレートは前扉に取り付けられており、前扉が開くことによって外側に飛び出すという原始的なものだが、視認性もよく、また、車両が路線固定で使われているという点を活かした、大変よい工夫のように思った。
◆ ◆ ◆
なお、今回のソウル訪問では残念ながらバスにはほとんど乗れなかった。乗ってみようとは思っていたのだが、いままでの経験からして現地でバス路線図等が手に入るだろうと高をくくっていたら、結局のところ情報が全く手に入らず、バスがどこをどう走るか全くもって分からなかったためである。どこに連れて行かれるかよく分からないバスに、しかも海外でそれに乗るという度胸はまだ無い。
それでは、韓国の人々はどうやってバスの運行情報を手に入れているかと言えば、それはインターネットである。韓国でよく使われているポータルサイトNAVERやDaumが提供する地図情報サービスなどでは、各路線の運行経路はもちろんのこと、バス停の位置、時刻表(始発のバスおよび最終バスの時刻とバスの運行間隔)、さらにはGPSと連動したバスの現在位置、そしてその車両番号(!)に至るまで、とても充実した情報が手に入る。こうした情報はスマートフォン用のアプリケーションでも提供されており、使い勝手は抜群だ。ぜひとも日本でも同じものを欲しいくらいである。そう言えば、韓国では鉄道においてもインターネットにおされる格好で紙の時刻表が廃刊となっているし、そこのところはやけに合理的なのだ。
・・・このような便利なものがありながら、たいして下調べもせずに韓国へ飛んだのがアレであった。しかし、今はもうソウルのバス路線網の把握のしかたもわかってるし、次にまたソウルへ行く機会があったら今度はバスにガッツリと乗ってみたいものである。
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