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エトセトラ

2023.06.06

京急線、約23年ぶりの大幅ダイヤ改正。

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京急1000形 1081編成
2023.5.31/立会川

▲京急1000形の特急京成高砂行。2022年11月ダイヤ改正で日中時間帯の運行パターンが刷新され、同時間帯に都営浅草線直通の特急(H特急)が走るようになった
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京急1000形 1177編成
2021.10.5/金沢八景

▲今回のダイヤ改正で日中時間帯のエアポート急行はは毎時3本の運転に。減便にはなったものの、上大岡での快特待避が解消されて「使える列車」としての地位向上が図られている

京急線で2022年11月26日に実施されたダイヤ改正は、京急自ら「23年ぶりの大幅ダイヤ改正」と表現1)するほど大きなものであった。その中でもとりわけ大きな内容となったのが、日中時間帯における運行パターンの刷新。1999年7月ダイヤ改正から続いてきた毎時6本の快特を柱とするダイヤを捨て、快特のうち都営浅草線に直通する方の列車を特急に変更するなどした。そんな2022年11月ダイヤ改正ははたしてどういう内容だったのか、特に日中時間帯の変更についていまさらながら見てみよう。

乗車機会と接続性を重視したダイヤ

今回のダイヤ改正の目玉は、やはり日中時間帯に京急久里浜・三崎口から都営浅草線に直通する特急(H特急)が走るようになったことであろう。前述のとおり毎時6本走っていた快特のうち都営浅草線に直通する方の快特(SH快特)の格下げによるもので、合わせて減便が実施されたエアポート急行とともに、20分サイクルで快特1・特急1・エアポート急行1(都心からの空港線直通列車を除く)というダイヤを組んでいる。日中時間帯のH特急は、実に23年ぶりの復活。

京急は今回のダイヤ改正について、乗車機会が増えることによる利便性の向上と待ち合わせ駅での接続改善をポイントとして挙げている。乗車機会の増加は言わずもがな快特の特急化によるものとなるが、それと同時にダイヤの中で特急と普通の緩急接続の機会が多くとられているのも今回のダイヤの特徴となっている。

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京急線 平和島での緩急接続
2023.5.31/**

▲平和島で接続する特急列車と普通列車。今回のダイヤではこうした緩急接続の機会が多くとられているのが特徴となっている

それは、旧ダイヤのSH快特と新ダイヤのH特急を比べてみれば一目瞭然。旧ダイヤのSH快特(下り)が京急川崎と金沢八景、堀ノ内でしか普通列車と接続しないのに対し、新ダイヤのH特急(下り)はSH快特のそれに加えて平和島と神奈川新町、上大岡においても普通列車に接続する。特に、平和島と神奈川新町はこれまで快特がすっ飛ばしていた区間なので、特急と普通が接続することによる救済の度合いは大きい。快特停車駅とその周辺に集中していた利便性を、その他の駅にも広く享受してもらうための再構築を行ったと言えよう。

エアポート急行は前述のとおり毎時3本、20分間隔に減便となったものの、SH快特のH特急化でA快特(泉岳寺発着の線内快特)と生じた時間差を利用する格好で上大岡での快特待避が解消。金沢文庫まで先行するようになり、「使える列車」になった。なお、エアポート急行の減便に伴い、空港線では北総線直通系統の列車を特急化、逗子線では金沢文庫〜逗子・葉山を往復する普通列車(逗子ローカル)を毎時3本新設。それぞれの線区においてエアポート急行が減った分を補って毎時6本の乗車機会を維持している。

大幅ダイヤ改正の真意

それにしても、快特が毎時6本走るダイヤを捨てたのはいったいなぜだろうか。快特の毎時6本体制は1999年7月ダイヤ改正から約23年も続いたわけだから、それはそれで完成されたダイヤだったはずである。

この点について、京急はコロナ禍におけるワークスタイルの変化等、鉄道の利用シーンが大きく変わってきていると説明。その上で、「アフターコロナの沿線を、より便利に、より快適に」ご利用いただけるようなダイヤにしたということのよう。アフターコロナを見据えたダイヤ改正は近年の各鉄道事業者におけるひとつのトレンドとなっているが、京急も例外ではなかったということだ。

その中で、キーとして考えられるのがエアポート急行の処遇であろう。今回のダイヤ改正で日中時間帯のエアポート急行は半減という憂き目に遭っているが、裏を返せばエアポート急行を何とかしたかったということにほかならない。日中時間帯のエアポート急行は毎時6本、10分間隔での運転ではあったものの、前述のように上大岡で快特に追い抜かれていたためにいまいち使いづらい列車であった。コロナの影響で利用者の絶対数が減っているならば、そういった列車を減らしてその分のリソースを他のことに活用したほうがよいと考えるのは自然なことである。

そして、運賃改定との関係だ。京急が10月に実施を予定している運賃改定2)は、昨今他の鉄道事業者が行っているような一律の料金値上げではなく、短〜中距離の乗車については値上げし、長距離の乗車に対しては逆に値下げとなるような料金設定となっている。今回のダイヤ改正の内容は長距離よりも短〜中距離の利用に有利に働いているように見えるわけだが、実のところ来たる運賃改定とのバランスをとっているようにも映る。

◆ ◆ ◆

20分サイクルとなった今回のダイヤは、やはり23年前のダイヤの再来を感じさせるところである。1990年代のダイヤを2022年の状況にアレンジしたような・・・? 他方、コロナによる利用者減を前提にしたダイヤとしたものの、利用者が着実に戻ってきている中で既に実態に合わなくなってきているという声も聞かれる。しばらくは流動的な利用状況が続くと思うが、それにどう対応していくかが鉄道事業者の腕の見せ所だろうか。

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